2019年11月17日

「テロリストのパラソル」藤原伊織

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全共闘で活動し、思いがけない事故で人を死なせ、指名手配になっていた島村。
事件は時効を迎えていますが、今も名前を変えてひっそりと暮らしています。
現在はアル中のバーテンダー。
ある日、昼の公園でいつものように酒を飲んでいたら爆弾テロがおきます。
事件に巻き込まれるとやっかいなことになると判断した島村はとっさにその場を離れるのですが、ウイスキーの瓶とカップを忘れます。
この事件に関係ないとはいえ、それらに残された指紋から自分のところに警察がたどり着くのは時間の問題です。
やがて島村は知らない間に自分がこの事件に巻き込まれていることに気付きます。
学生時代一緒に活動していた仲間や恋人がこの事件に巻き込まれ死亡していたり、ヤクザが関わってきたり、昔の恋人の娘が訪ねてきたり。
島村の生活が一変します。
自分に関わる人物が被害者の中にいるということで、島村は犯人を捜すことになるのですが。
犯人はどのような目的でこのようなことをしたのか。
単なる無差別なテロなのか。
じわじわと真実に近づいていくのですが・・・・。
そうですね、5分の4くらいまではけっこうワクワクしながら読みましたかね。
でもラストの展開がどうも。
偶然も含めて何から何まで一か所に収斂し過ぎです。
いくらなんでもの感ありです。
伏線の回収による収束感とはまた違うんです。
ご都合主義の羅列です。
途中まではよかったのに最後で白けてしまいました。
ラベル:小説
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2019年11月15日

「不肖・宮嶋 死んでもカメラを離しません」宮嶋茂樹

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「死んでもカメラを離さない覚悟だが、死んだら写真が撮れないから、生きていたい」というカメラマン、不肖・宮嶋のスクープの数々。
しかしその裏にはバカバカしい涙ぐましい努力と執念があるのでした・・・・。
まず最初に出てくるのが東京拘置所内にいる麻原彰晃のスクープ。
10日間のハリコミで拘置所内を移動する麻原の姿をバッチリと捉えます。
他には、ハマコーの背中にはびっしり刺青があるという情報。
フライデー編集次長の「写真を撮ったやつに1000万円出そう」との言葉を信じ、なんとかハマコーの上半身裸を狙いに行くのですが、さて結果は。
成田闘争にも突撃しておられます。
現場はほとんど戦場です。
乗っていった車は廃車状態。
這々の体で帰ってきて写真を現像したものの、ろくな写真がありませんでした。
人肉を食べた佐川一政を追跡したりもしておられます。
とんでもない修羅場をくぐっておられるのですが、それを大いに笑わせて読ませるのがこの著者のバカな凄いところです。
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2019年11月12日

「すきやばし次郎 鮨を語る」宇佐美伸

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「すきやばし次郎」。
ミシュラン3ツ星の高級鮨屋です。
職人は小野二郎。
この本の取材時で84歳。
2019年現在でなんと94歳。
ミシュラン3ツ星の最高齢料理長としてギネス世界記録にも認定されているとか。
そんな鮨職人が半生を語ります・・・・。
店については賛否両論ありますが、鮨のレベルに関してはやはり文句なしなようで。
そんな最高峰の鮨職人はどのような修行をし、人生を送ってきたのか。
もちろん鮨そのものについての考えもみっちりと語っておられます。
「すきやばし次郎 旬を握る」という里見真三による名著もありますが、こちらは握りの原寸大のカラー写真やマグロの断面図など多量の画像を掲載し、技術といいますか仕事について多くのページを割いた本です。
この「鮨を語る」のほうはもっとソフト面について取材しているといいますか。
しかし鮨職人としてここまで取り上げられる人物というのは他にはいないですね。
ラベル:グルメ本
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2019年11月10日

「ようこそポルトガル食堂へ」馬田草織

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ある料理本がきっかけとなってポルトガルに料理探訪を決めた著者。
いろんな料理や風景が紹介されている中で、ノックアウトされたのが仔豚の丸焼き(レイタォン)。
「この仔豚を現地で食べたい」とポルトガル料理の取材が始まったそうです・・・・。
こういうのを読みますと、ほんと行動力があるんだなと感心します。
なかなか女性一人で知らない国へ行けるものじゃないですよ。
(“女性一人で”なんて書くと、女をバカにするななんて怒る人も出てきそうですが)
ガイドブック片手に店を訪問するというのではなく、いろんな人の家庭にお邪魔したりしておられます。
出不精で人見知りするビビリの私にはまず無理です。(笑)
まあ私もフランス料理に興味を持って本場の料理を食べたいと何度かパリを訪れ、レストラン巡りをしましたけども。
しかしそれはミーハーな観光客レベルの話ですからね。
この著者のようにとことん料理やその国に惚れ込んで通い詰めるというにはほど遠いものでした。
ポルトガルという国、そしてその料理やワインにたっぷりと愛を込めたエッセイです。
ラベル:グルメ本
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2019年11月08日

「恋歌」朝井まかて

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師の中島歌子が病に臥せ、留守宅の書類の整理を依頼された三宅花圃。
そこで花圃は歌子の手記を見つけます。
手記には歌子の壮絶な知られざる過去が記されていました・・・・。
中島歌子という人は樋口一葉の師として知られた歌人です。
花圃はその弟子で小説家。
物語はただ歌子が過去を語るのではなく、弟子が師の半生を読むという形式です。
時代は幕末の江戸。
商家の娘として育った歌子ですが、水戸藩士である林忠左衛門以徳の家に嫁ぎます。
尊王攘夷を掲げて活動する以徳ですが、やがて水戸藩で内乱が起き、歌子も投獄されてしまいます。
それでもひたすら行方の知れない以徳を思い続ける歌子。
波乱の人生です。
明治生まれのちゃらちゃらした若い娘たちに自分たちがどれだけ苦労してきたか、今の時代を作ってきたのは誰なのかというのを語って聞かせるという、いつの時代にもあるテーマでもあります。
この国をよくしようと命を賭けた男たちがいたのだと。
それを支え耐え忍んできた女たちがいたのだと。
静かに、しかし力強く訴えます。
弟子の樋口一葉に比べるとさほど一般に名前の知られていない中島歌子。
そんな人物に光を当てた佳作です。
ラベル:時代小説
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