2019年06月26日

「東方食見聞録」森枝卓士

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タイトルからわかるように東アジアの食を記録したエッセイです。
フィリピン、台湾、韓国。
もちろん観光客向けの店よりも地元の人たちが通う店、あるいは家庭の料理を取材しておられます。
しかしそういうアジアの一般的な料理というのはなんというか、雑草的なパワーがありますね。
生きる根本としての食、といった気取らない強さを感じます。
掲載されている写真はすべてカラー。
見ているだけでお腹がいっぱいになるような迫力です。
ラベル:グルメ本
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2019年06月24日

「ラスト・ワルツ」柳広司

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シリーズ第4弾。
4編収録されています。
表題作はないのですが、「舞踏会の夜」が該当しますかね。
五條顕子は華族に生まれ、日常の息苦しさに退屈し、10代の頃から何度も家出を繰り返してきた奔放な娘です。
父親が勝手に決めてきた婚約相手は蜥蜴のような顔をした加賀美正臣陸軍大佐。
もちろん両家にとって思惑のある政略結婚であり、愛などありません。
加賀美は顕子になど興味はなく、「お互い、好きにするさ」と顕子がどこで何をしようが一切文句を言うことはありませんでした。
そんな顕子が舞踏会である人物を探していたのですが、その前に現れたのは・・・・。
いつもながらスパイたちのストイックな世界が描かれています。
どこの誰とも素性の知れない男たちの暗躍というか活躍といいますか。
当然のことながら全編にさりげなく漂うのが陸軍のスパイ養成機関である『D機関』の総帥である結城中佐の存在感。
直接これといって登場せず、ここまで存在感を漂わせるキャラというのもたいしたものです。
この「舞踏会の夜」でも顕子に接点のある男として結城中佐らしき人物が登場しますが、敢えて誰とも記されていません。
その他のスパイたちも名前はあるもののもちろん偽名であり、実はどこの誰であるなどという野暮な説明などあるわけもなく、物語の中だけではなく読者に対してもその“秘密主義”が貫かれているのがクールなんですよね。
ところでこれが最終作になるのでしょうか。
この作品が単行本として出たのが2015年。
それから4年。
もうこれで終了ですかね。
まだ読みたい気もしますが、だらだら続けて緊張感がなくなってしまうのもね。(笑)
ラベル:小説
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2019年06月22日

「美人の時代」井上章一

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美人と不美人、どちらがトクか。
これはもう当然美人なわけですね。
まだ女性が社会進出していなかったころ、結婚して家庭に入るのが女の幸せと思われていました。
ヘタに高学歴なんかだったりするとせっかくの器量が台無しになって嫁に行き遅れてしまう。
なので勉強なんかしなくていいと。
しかし不美人は結婚が難しいので、勉強して仕事を身につけたほうがいい。
というわけで、いわゆるキャリアウーマンというのは不美人が多かったわけです。
器量はよくなくとも仕事が武器になりました。
ところが現在のように女性が社会進出する時代になりますと当然美人もわんさかと溢れてくるわけでして、そうなるとやはり不美人のキャリアウーマンよりも美人のキャリアウーマンのほうが注目されることになります。
フェミニストからすればふざけるなということになるでしょうが、やはりこれは厳然たる事実でしょう。
さて、女性の顔に怪我をさせた場合、美人と不美人では賠償額に差が出るのでしょうか。
美人と不美人では弁護士の攻め方も変わってくるのか。
裁判官の心証は。
著者は弁護士にインタビューします。
その答えは・・・・。
ラベル:エッセイ
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2019年06月20日

「スイートトラップ」水城夕

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会社の休憩室で付き合って1年になる彼から別れを告げられた真梨乃。
その様子を見て冷笑したのは新入社員の相馬陸です。
その夜同僚の早希子とヤケ酒を飲み帰宅した真梨乃はまだ飲み足りず、自宅でも飲み続けて酔っぱらって部屋を出ると隣の部屋の健二とばったり。
健二は真梨乃の中学時代の後輩です。
健二の部屋になだれ込んだ真梨乃は一夜を過ごしてセックスしてしまうのですが、翌朝起きてみるとそれは健二ではなくなぜか相馬陸で・・・・。
もうなんといいますか、ムチャクチャな小説です。(笑)
弟と暮らしている部屋の隣には中学時代の後輩、反対側の隣には同じ会社の相馬陸。
今まで隣に陸が住んでいたことに気づかなかったというのは100歩譲っても、いくら酔っぱらっていたとはいえ健二と間違えてセックスするか。
健二だとわかっていても普通しないでしょ。
そのあとは陸に誘われるままに会社でもしてるし。
ただのヤリマン女です。
設定もなぁ。
皆のいる会社の休憩室で別れを告げる彼氏というのもどうかと思いますし、同じ会社でありながらその彼氏は二度と出てきません。
まあいいですけど。
住んでいるマンションの部屋の両隣に中学の後輩と同じ会社の新入社員というシチュエーションもなんともいやはやですし、真梨乃が勤める大手商社に徒歩で通えるというくらいですからかなり都会にあるマンションですね。
相当いい暮らしです。
健二は真梨乃の中学時代の後輩のはずなのですが、なぜか真梨乃の高校時代、同級生の中に健二に思いを寄せる女の子がいたとか。
わけわからん。
文章もなぁ。
「嘆息」という言葉が何十回出てくることか。
なにかあれば主人公は嘆息します。(笑)
ストーリーに至ってはラストの展開に椅子からずり落ちそうになりました。
恋愛小説がいきなりミステリーに変貌し、しかもとんでもない衝撃の真実。
なんですかこのバカミスっぷりは。
唖然としました。
書くほうも書くほうですが、これを通した編集者も相当なものです。
以前に読んだ作品もたいがいでしたが、これはさらに磨きがかかっています。(笑)
恐れ入りました。
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2019年06月18日

「シェフの哲学 食の探求から 三つ星レストランの運営まで」ギィ・マルタン

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ギィ・マルタン。
パリの三つ星レストラン「グラン・ヴェフール」の料理長です。
日本でもミシュランの星がどうこう言われていますけども、フランス版の星とは格が違います。
プロ野球と草野球ほどの違いがあると私は思っていますけどね。
なのでパリで三つ星ともなるとそれはもう相当なものです。
そんな三つ星シェフが語る料理、店の経営、舞台裏。
それはいったいどのようなものなのか・・・・。
料理人が書いた本というのは何冊もありますけども、だいたいパターンが決まっているんですよね。
少年時代、料理との出会い、海外での修行、いよいよ独立、とか。
この本もまたそれらに当てはまりはしますが、もっと料理や経営についてシビアに専門的に語られています。
むしろこれはプロの料理人向けかもしれません。
レシピもびっしり掲載されていますが、ちょっと家庭で再現するのはしんどいですね。
文章はいかにも翻訳調でもうちょっとどうにかならないかとも思いますが、文学ではなく料理の専門書と考えればこれでいいのかもしれません。
ラベル:グルメ本
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