2020年01月28日

「新野新の味ばなし あの人・この人 トーク50人」新野新

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まず著者の新野新という名前が懐かしい。
一時はよくテレビにも出ておられましたし、やはり関西の人間にとってはラジオ番組「ぬかるみの世界」でしょう。
ちょっとカマっぽいキャラクターでお馴染みでした。
さて本書はインタビュー集です。
朝日放送出版の「料理手帖」誌に連載していたのをまとめたようで。
「料理手帖」というのは知らなかったのですが、名前からして当然料理誌でしょうね。
なので各界の著名人に食にちなんだインタビューをするという企画だったのでしょう。
ほんといろんな人が登場しています。
それはいいのですが、内容がなんとも中途半端。
まず食についてのインタビューとしては、それにまつわる話がわずかしかありません。
ではインタビュー集としてどうなのかといいますと、インタビューしている割には著者の推測やら見解がメインです。
なぜかといいますと、著者自らインタビューしていないんですね。
古川嘉一郎という人が取材し、著者がそれを文章にしておられる。
メモだか録音だかはわかりませんがそんなことで書いておられるので、会ったことのない人などは印象も書けないでしょう。
想像で書いておられるわけです。
人物の評論ならそれでもいいでしょう。
必ずしも本人に会う必要はありません。
俳優や芸人の仕事ぶりを客観的に評論する。
あるいは、この人は芸の上ではこうだが実際はこうではあるまいかと推測する。
かまいません。
しかし自ら取材していない人のことをこのような形で書くのはどうなのかと。
ちょっとこれは食というテーマについても登場しておられる人についても無責任ではないですかね。
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2020年01月26日

「熱中ラジオ 丘の上の綺羅星」嘉門タツオ

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大阪は千里の丘の上にあった毎日放送(MBS)。
そこからは『ヤングタウン』、通称ヤンタンというラジオ番組が発信されていました。
(今も番組はありますが)
当時の中・高・大学生から絶大に支持され、またこの番組から数々のスターが生まれました。
桂三枝(現・文枝)、笑福亭仁鶴、笑福亭鶴光、谷村新司、明石家さんま、紳助・竜介・・・・。
そんなヤンタンを聴いて育った世代に嘉門タツオがいました。
当時金曜日を担当していたのが笑福亭鶴光。
オールナイトニッポンにも登場して、飛ぶ鳥を落とす勢いでした。
そんな鶴光にタツオはゲリラ的に鶴光をつかまえ、弟子入り志願し入門します。
芸名は笑福亭笑光。
内弟子生活の始まりです。
そしてなんやかんやありつつ、なんとヤンタンのメンバーに大抜擢。
メインは原田伸郎、アシスタントはヤンタンファンなら忘れられないあのアニメ声の大津びわ子。
タツオは笑福亭笑光として順調なスタートを切るのですが・・・・。
当時は深夜のラジオがすごく盛り上がっていた時代でした。
現在のようにインターネットなんてありません。
ビデオやテレビゲームなんてのもなく、一部の若者の深夜の楽しみといえばラジオでした。
受験生が勉強しながらというのもパターンでしたね。
私もヤンタンはよく聴きました。
好きだったのは金曜日の谷村新司、ばんばひろふみ、佐藤良子。
その当時はこの日が一番人気でした。
サニーこと桂三枝が司会していたのは土曜日。
ここで私は初めて明石家さんま、紳助・竜介を知りました。
さんまはチャッピーなんて名乗ってましたね。
まだ貧乏だったような話をしておられました。
紳助・竜介の漫才は抜群に面白かった。
まだどちらもブレイクする前だったので、さんまにしろ紳竜にしろテレビでは観たことがなく、声だけでどんな人だろうと思いながら聴いていました。
懐かしい・・・・。
それはともかく本の内容に戻りまして、笑光は師匠の奥さんとぶつかり合うようになり、言うことも聞かなくなってやがて破門。
傷心したタツオはあちこち旅に出かけます。
そんな中で、いまさら落語には戻れない、でも歌で笑わせることならできるのではないかと開眼します。
ヤンタンのプロデューサーだった渡邊一雄氏の世話になり、またヤンタンでデビューし憧れの存在だった金森幸介氏の歌に励まされ、タツオは再デビューを果たします。
これは実話であり、嘉門タツオの自伝小説です。
ラストにはぐっとくるものがありました。
しかし人生というものは本当にどうなるかわからないものですね。
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2020年01月24日

「ごはんの力 素人庖丁記4」嵐山光三郎

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素人庖丁記シリーズ第4弾。
今回は「ごはんの力」ということですが、特にごはんに特化している内容ではなく。
表題作ではなんといっても炊きたての新米のうまさについて語っておられます。
米のブランド、とぎ方、炊き方。
そこから著者のチャーハンの作り方とかに話が移行するのですが、このあとごはんピザ、ごはんのたこ焼きなどという話になり、いつもながら食欲をそそられません。(笑)
この著者が紹介するレシピはたいがい食欲をウンザリさせるのですが、本気なのかネタなのか。
どちらもなのでしょうけど。
真っ当な食べ物の話を期待して読みますと「ふざけんな」となりますが、でもシニカルに本質を突いていたりして苦笑しながらも頷いたりします。
創作料理を超えて、グルメブームを嘲笑しておられる意図があります。
でもたしかに、そんな気取った食べ方よりも、ぶっちゃけこうしたほうが美味しいやんけ、みたいなことはありますよね。
誰も言いませんが、この著者はしっかりと言います。(笑)
ラベル:グルメ本
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2020年01月22日

「花だより みをつくし料理帖 特別巻」高田郁

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全10巻で完結したシリーズの特別巻です。
あれから4年後。
澪は源斉と所帯を持ち、江戸を離れて故郷の大坂で料理屋を営んでいます。
そんな澪のことが夢にまで出てくる「つる家」主の種市。
澪のことが気になるのは戯作者の清右衛門も同じなようで。
清右衛門、版元の坂村堂、種市は澪に会いに行くために東海道を五十三次、大坂を目指します・・・・。(花だより)
澪と恋愛した御膳奉行の小松原こと小野寺数馬。
お互い口には出さなかったものの、相思相愛の仲でした。
しかし立場が違います。
これはまず小野寺の妻となった乙緒の心情を酌みつつ、その先にある小野寺の心情を酌みたいですね。(涼風あり)
あさひ太夫こと野江は、現在大坂で「高麗橋淡路屋」を再建しています。
商売は順調です。
ですが女主人として続けていくには期限があります。
男を主人に立てないと店を存続できない。
野江はどのように決断したのか・・・・。(秋燕)
正体不明の疫病が大流行します。
澪の夫である源斉は全力を尽くしますが、ことごとく患者を亡くしてしまいます。
落ち込み、過労で倒れてしまう源斉。
澪は店を休んでまでも、源斉の看病に尽くします・・・・。(月の船を漕ぐ)
さすがのレベルですね。
相変わらず読ませてくださいます。
巻末の「みをつくし瓦版」を読みますと、いよいよこのシリーズはこれが最後のようですね。
しょうがない。
澪たちのその後が知れただけでも喜びとしなければ。
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2020年01月20日

「太陽がイッパイいっぱい」三羽省吾

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3流私立大学4回生のイズミは解体現場で働いています。
もともとのきっかけは当時付き合っていたフェラチオ上手な彼女がどうしても海外旅行に行くと言い出し、しょうがなくピザ屋のバイトを辞めて稼げる日雇いに出たのでした。
結局彼女とは別れたのですが、現場で汗を流し、仕事帰りに飲むビールの旨さが病みつきになり、フェラテクだけで付き合っていた彼女などどうでもよくなり、大学もほったらかしにして「マルショウ解体」の一員となります・・・・。
ナニワのガテン系小説ですね。
作者は実際に大学卒業後就職した会社を3年で辞め、肉体労働のバイトをしておられたそうです。
なので解体現場の描写が実にリアル。
作業はもちろん、体の節々の痛みまでも伝わってくるようです。
仕事の後ガード下の立ち飲み屋で仲間とウダウダしゃべりながら飲むなんてのも実感ありますね。
その仲間というのが巨漢でマッチョなカン、肉体労働者には見えないイケメンのクドウ、会社をリストラされたワケありのハカセなど、「マルショウ解体」のメンバー。
これらキャラクターたちが実にいい配分です。
特にカンは準主役。
この男が起こす騒動がこの物語のメインだったりします。
夜のミナミで暴れて走り回るシーンなど、毎日のようにこの界隈を徘徊している私にとっては光景が目に浮かびましたね。
喧嘩のシーンも迫力ありました。
女の子も登場しますし、「マルショウ解体」の経営状態の問題など、いろいろとエピソードも盛り込まれています。
いいエンターテイメント小説でした。
いつも書店で目にしていた本なのですが、なんだかタイトルが軽くて手を出さなかったんですよね。
なぜか手を伸ばし購入したのですが。
解説が北上次郎だったというのも多少影響あるかもしれません。
氏の好みはけっこう私と合いますもので。
読んでみて大正解でした。
ただひとつ難癖をつけるならば、男性器を“ちくわぶ”と例えた章。
大阪でそれはあり得ません。
ちくわぶに馴染みのない大阪人が例えに“ちくわぶ”を持ち出すことなど絶対にない。
食べたことも見たこともないという人がほとんどですから。
ここが目立ってリアリティを損ねていました。
ラベル:小説
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