2019年08月19日

「晴追町には、ひまりさんがいる。 はじまりの春は犬を連れた人妻と」野村美月

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優等生だったはずの春近はなぜか本命の大学も滑り止めの大学も落ちて、ようやく二次募集でそこそこ名の通った大学に受かります。
そんな春近に気を遣う家族がプレッシャー。
そして東京の片隅にあるキャンパスには片道2時間もかかってしまいます。
うんざりです。
しかも隣に越してきた新婚夫婦の奥さんは、春近が高校生のときナンパされ一夜限りの関係を持った女性でした。
相手は春近を覚えていないようですが、そんな状況で毎日を過ごすなんてたまったものではありません。
春近は逃げ出すように家を出て、一人暮らしを始めます。
引っ越した先は晴追町。
その町で春近はひまりさんという人妻と出逢います・・・・。
なんともほのぼのとしていますねぇ。
この作者の作品を読んだのは2冊目なんですが、以前に読んだ作品でも思ったのは、とてもほんわかとして優しいんですよね。
歳上の人妻に憧れる春近、それに対してのひまりさん。
そして重要な存在がひまりさんが飼っている有海さんというサモエド犬です。
有海さんというのはひまりさんの旦那さんの名前です。
現実には旦那さんは仕事でずっと家を空けており、年に一度しか帰ってこないということなんですが。
ひまりさんのそばにはつねに有海さん(犬)の存在があり、その行動はひまりさんのすべてを知り尽くしている人間のよう。
もしかして旦那の有海さんはもうこの世にいなくて、犬の有海さんに魂が乗り移っているのかな、なんて思いましたが。
サークルで仲良くなった巴崎という女子もやはり叶わぬ恋をしています。
そして先輩の天満と彼女の夜理子の恋。
そのような様々な恋愛を見ながら。
春近、優し過ぎるなぁ・・・・。
ラベル:小説
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2019年08月17日

「牛への道」宮沢章夫

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エッセイ集です。
ほんの些細なところに目をつけて掘り下げる。
笑いを狙ったエッセイの、これはひとつのパターンですね。
ただどういうところに目をつけるか、それをどのように掘り下げるかが文才と言いますかセンスなわけで。
言語感覚といいますか。
そういうことで言えばこの著者は非常に優れたセンスをお持ちです。
爆笑というほどの炸裂感はないのですが、そこそこ笑えます。
ただご本人が意識しているのかしておられないのかわかりませんが、ひとつのツボといいますかパターンを使いまわししている感があり、ややあざといかなという気がします。
まあそれが著者のセンスであり文体だと言ってしまえばそうなんでしょうけど。
誰しも自分なりの型がありますからね。
後半の章は書評です。
といってもやはりただの書評ではなく、その本をきっかけに展開する笑える話が読ませどころです。
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2019年08月15日

「観光」ラッタウット・ラープチャルーンサップ

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母の最近の行動がどうもおかしい。
バスルームで倒れた母を息子は病院に連れて行きます。
網膜剥離。
相当悪化しており、いまとなっては手遅れで、失明は免れません。
まだなんとか目は見えるものの、見えなくなるのは時間の問題です。
息子は景色の美しいリゾート地へ母と旅行に出かけます・・・・。(観光)
短編集です。
どれも人生の一部分を切り取ったような、さりげない内容です。
淡々とした文章がそう思わせるのでしょうか。
しかし内容は濃い。
表題作「観光」の母と息子のやりとり。
母を思う息子、息子を思う母、ぐっときますね。
最後に収録されている「闘鶏師」はボリューム的に3分の1を占めています。
それだけに他の作品のようなさりげなさはなく、真正面から書いてるなという気がしました。
闘鶏に入れ込んだ男の誇り、破滅。
それを娘の視線から描いているのが切ない。
必ずしも真っ当な考えやそのような人間が世の中で勝利するわけではないんですよね。
悔しいことですが。
さて、この作家、訳者によりますと現在行方不明で連絡が取れないとのこと。
なんとまあ。
カズオ・イシグロのように大きな作家になれる器の人なのに。
ぜひとも復帰していただきたいものです。
ラベル:海外小説
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2019年08月13日

「芸人学生、知事になる」東国原英夫

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お笑い芸人だったそのまんま東氏が東国原英夫として宮崎県知事になったのは誰もが知る話。
もちろん何もなくいきなりそのようになったわけではなく、きっかけがあります。
この本はそのきっかけからスタートしています。
それは98年のこと。
出入りした風俗店で働いていた16歳の少女が捕まり、その少女が東氏を相手にしたことがあると証言したため、警察から任意で捜査に協力してほしいとの連絡がありました。
もちろん東氏は実際の年齢など知らず、店では19歳として紹介していたようです。
東氏に法的な罪はないのですが、マスコミが黙っていません。
東氏はやむなく謹慎することになります。
そんな謹慎期間中に勉強をやり直そうと大学進学を決意。
見事、早稲田の二文に合格します。
卒業して今度は同じく早稲田の政経へ。
ここで本格的に地方自治に目覚めるわけですね。
そしていよいよ故郷である宮崎県の知事選へ・・・・。
少しの時間も惜しんでの、ものすごい努力がうかがえます。
途中からは仕事にも復帰し、その中での大学生生活です。
東京と宮崎を何度も行き来し、現地の施設や県会議員選挙活動の同行取材など。
そして毎日欠かさず20キロのランニング。
当然睡眠不足にもなり、血尿まで出たといいます。
マスコミからバッシングされ犯罪者のようにホテルを転々とする生活。
そんな中で価値観も自分も見失い、落ち込んだ日々。
しかしそんなことさえバネにして人生をやり直すきっかけとしたなんてすごいことです。
著者の生真面目な考え方、人生観も知ることができ、ちょっと感動の一冊でした。
ラベル:エッセイ
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2019年08月11日

「どこへ行っても美味珍味」渡辺文雄

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食通として知られ、「くいしん坊!万才」の初代リポーターとしても有名な著者。
この本は日本各地の食べ歩きエッセイであり、また旅のエッセイでもあります。
旅も食べ物もやはり出会いですよね。
ただ単にこんなの食べましたでは面白くもないし味わいもない。
いろんな人に出会い、地元ならではの食べ物を紹介され、味わい、唸る。
その土地に行かなければ出会えない食材や料理に出会うのも旅の楽しみでしょう。
しかし旅番組やグルメ番組などで食べ歩くのもなかなか大変なようで。(笑)
ラベル:グルメ本
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