2011年03月31日

3月の一冊

今月は11冊。

ようやくペースが戻ってきたようです。

でもペースなんて読む本にもよりますし、冊数を誇るのが目的でなし。

それよりも面白い本と出合うほうが大切であります。

今月のラインナップは以下の通り。

「鉄人の昼めし 達人の晩めし」藤生久夫 
「逃亡日記」吾妻ひでお
「乳と卵」川上未映子
「続々 食べ物さん、ありがとう」先生=川島四郎 生徒=サトウサンペイ
「居酒屋兆治」山口瞳
「豊饒のナイル、ルクソールの食卓 エジプトグルメ紀行」吉村作治
「感情教育」中山可穂
「龍をみたか」三田誠広
「レストランの秘密」別冊宝島編集部 編
「吉原手引草」松井今朝子
「河童のタクアンかじり歩き」妹尾河童

「逃亡日記」はあまり露出しない(?)吾妻氏が頻繁に登場(写真)するので、ファンにとってはそれなりに貴重な一冊。

「乳と卵」、これに芥川賞を与えていいのかなぁという気はします。

大阪弁でかなり得していますね。

石原慎太郎氏の言い分にも一理あるかと。(笑)

「居酒屋兆治」、連作風ではなく、太い幹を一本すばっと通して長編で読みたいと思いました。

「感情教育」、さすがの中山可穂です。

でもこの熱さに白ける人もいるだろうなという気はします。

私は強く支持しますが。

「龍をみたか」、あまり資質ではないジャンルに手を出さないほうがいいと思いますが。(笑)

「吉原手引草」、吉原の世界を実に興味深く読むことができました。

ラストの謎明かし(葛城がなにをやったのか)は長く話を引っ張ったわりには・・・・の感がありますが。

それよりもそれぞれの語り手により、吉原という世界や葛城という花魁を浮かび上がらせるプロセスを楽しむべきなんでしょう。

今月の一冊ですが、やはりこれは「感情教育」中山可穂ですね。

頭ひとつ抜きん出ていました。

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posted by たろちゃん at 19:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 今月の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月30日

「河童のタクアンかじり歩き」妹尾河童

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タイトル通り、著者が日本各地のタクアン事情を取材して回るというコンセプトです。

しかしちょっとツッコミが甘いというか、それに徹し切れていないんですよね。

やたらタクアン以外の話に逸れる。

そのあたり著者も自覚されていますけども。

それはそれで面白いんですけどね。

著者による精緻なイラストが綴じ込み風に入ってまして、これは必見です。

タクアンといえば日本人にとって欠かせない食糧です。

でも最近はそんなこともなく・・・・。

この本が単行本として刊行されたのが1983年です。

この時点ですでにタクアン離れが語られています。

ましてや今は・・・・。

保存食として次がれてきた食糧が、現在では意味を成さなくなってきているということです。

だからといってそれらの食文化が途切れてしまうのはあまりにももったいない話です。

現在のタクアン、というか漬物全体がひどいですよねぇ。

でもそんな中にあって、昔ながらの製法を守ろうとしている企業もあるようです。

ぜひぜひ昔ながらの美味しいタクアン、そして漬物全般を守り通して欲しいと思いました。

ラベル:グルメ本
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2011年03月27日

「吉原手引草」松井今朝子

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吉原の葛城は十年に一度といわれた花魁です。

そんな葛城が全盛を誇っていたときに突如姿を消しました。

いったい彼女に何があったのか・・・・。

話のメインとなるのはもちろん葛城なのですが、彼女に直接スポットを当てるのではなく、ある人物がいろんな人たちから彼女についての話を訊いて回るという構成になっています。

「引手茶屋 桔梗屋内儀 お延の弁」、「舞鶴屋見世番 虎吉の弁」というふうに、十七ある章すべてが周りの人たちが語る葛城の姿です。

そのように徐々に外堀を埋めていくようにして、葛城がどういう花魁であったのか、いったいどのようなことをしでかしたのかを浮かび上がらせていきます。

なので文章はすべて口語体。

もちろんその時代、そしてそれぞれの生業による独特の言葉遣いなので、最初はこの調子で最後まで付き合うことになるのかとちょっと気が滅入ったりもしましたが(笑)、口調の使い分けの芸も細かく逆に魅力となっていきました。

聡明でありながらどこか憂いのある葛城。

そんな葛城の起こした事件とはなんなのか、なぜそのようなことをしたのか、じれったく最後の最後まで明かされません。

そんな話運びにぐいぐいと引き込まれました。

そして吉原の内情についても興味深く読むことができました。

ラベル:時代小説
posted by たろちゃん at 16:57| Comment(1) | TrackBack(0) | 『ま』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月23日

「レストランの秘密」別冊宝島編集部 編

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飲食店の裏話が書かれた本です。

とくに目から鱗な話はありませんでしたが、改めて客の見えないところではどんなことをしているかわからないなと。(笑)

もちろん良心的な店もたくさんあるでしょうけど。

中に用語集のコーナーがありまして。

簡単に各ジャンルの言葉を紹介しておられます。

フランス料理なら「アペリティフ」とか、イタリア料理なら「アンティパスト」とか。

和食の紹介で「向付け」について、「お膳の向こう側にあることからつけられたらしい。刺身類が多い気がします。詳しくはわかりません。日本料理にに詳しい人、ぜひ教えてください。」って読者にそれを教えるのがあなたの役目でしょうが。(笑)

情けないライターもいたものです。

ラベル:グルメ本
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2011年03月21日

「龍をみたか」三田誠広

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主人公の白鳥啓介は、まったく世間を知らない純粋無垢な青年。

小説の原稿を持って九州から上京するのですが、その小説がA賞という権威ある文学賞を受賞します。

うっとりするような美青年ということもあり、あれよあれよという間にテレビだ映画だとマスコミにひっぱりだこ。

純粋な主人公とそれを利用しようとする周りの連中とのドタバタ劇です。

こういう文壇を扱った小説に筒井康隆の「大いなる助走」があります。

どうしてもそれと比べてしまうことになるのですが・・・・。

どうも上辺だけでドタバタしているだけという印象です。

もっと加速がついてどんどん突っ走るような展開が欲しかったのですが。

巻末の対談で作者はこの作品の意図や仕掛けについて語っておられるのですが、それはわかるとしましてもやはり小説として面白くないことには・・・・。

いまいち読後に満足感を感じられない作品でした。

ちなみに登場人物に三上三千輝という作家が登場します。

4人の名前を組み合わせていますが、誰だかわかります?(笑)

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 17:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 『み』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする