2011年03月16日

「感情教育」中山可穂

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当然女性同士の恋愛を描いた内容です。

第一章では那智という女性について書かれます。

母親は産院で那智を産み、その日のうちに姿を消します。

那智は乳児院に引き取られ、その後田川夫妻の養子となります。

結婚し、一級建築士の資格も取り、れいという女の子にも恵まれました。

第二章では理緒という女性です。

水商売の女と遊び人の男のあいだに生まれました。

ヤクザの親分の養子になったり、母親の実家の寺に引き取られたり。

学生時代に芝居にのめり込みますが、卒業してフリーライターとなります。

第三章ではその二人が出会い、ここからいよいよ核心に入っていきます・・・・。

う~ん、中山可穂、すごい。

これは相当気合を入れて書かれた小説だなと。

読まされましたねぇ。

ただ納得できなかったところもあります。

那智と理緒の母親が同じ名前という設定。

そして二人の体がそっくりだということ。

読み手としては、「え、もしかして・・・・?」なんて思いますよね。

でもそれについてはまったくの偶然なようで?

そんなぁ・・・・。(笑)

那智と子供についても・・・・う~ん、ああいう着地点しかなかったのかなぁ。

やはり恋愛が優先されているのはしょうがないのか・・・・。

だからこその話だといえますが。

これは読み手としても苦しいところですね。

しかし中山可穂、なぜここまで真摯で純粋で熱い恋愛を書くことができるのでしょうか。

やはり女性同士の恋愛だからであり、それを知り尽くす中山氏なればこそです。

ミーハーに男同士の恋愛などを描いたボーイズラブ小説とは次元が違います。

中山可穂、渾身の長編です。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 17:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 『な』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月14日

「豊饒のナイル、ルクソールの食卓 エジプトグルメ紀行」吉村作治

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テレビでもお馴染みの「古代エジプト」研究家の吉村作治氏。

そんな立場とご経験からグルメ紀行を書かれました。

昨今、日本は当然のこととして、フランスやイタリア、中国などグルメな話題には事欠きません。

食通を自認する人たちは大勢いらっしゃいまして、それらの国のグルメ情報に関しては我こそはとウンチクを披露なさっておられます。

しかしエジプトの食についてはなかなかそのような人はおられませんし、接することがありませんよね。

このジャンルについて語れるのはやはり吉村氏でしょう。(笑)

なるほど、ご経験に基づいていろんなエジプトの食文化をご紹介なさっておられるのですが、私が感じたのは「食いしん坊」ではないなということ。

羊肉が好きではないとおっしゃいます。

カエルの肉を敬遠されます。

それってどうなの、と思うんですよね。

もちろん個人の嗜好ですからそれはしょうがないのですが、一応グルメ紀行と名乗った本なのですからそんな一般的な嗜好で語られても、と思うのです。

やはり読む側としては、どんどんいろんな食材を興味津々積極的に食べまくるというような内容のほうが読んでいて痛快です。

例えば小泉武夫氏のような。

エジプトの食文化を紹介するということでは貴重な本だと思います。

ただ食べ歩きを楽しむということについては若干不満がありました。

ラベル:グルメ本
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2011年03月12日

「居酒屋兆治」山口瞳

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「兆治」という名のこじんまりとしたモツ焼き屋を営んでいる藤野伝吉。

よく言えば一本気、悪く言えば頑固で融通の効かない性格ゆえ、会社に馴染めず脱サラしてこの店を始めました。

誰もが本名ではなく、彼のことを兆治と呼びます。

そんな兆治と店に集まる客たちとの人間模様を描いています。

連作短編形式になっており、それぞれの章が独立したエピソードとなっています。

あえて芯が通っているといえば、さよという女性の存在。

兆治が昔付き合っていた女性です。

さよの幸せのため兆治が手を引く形で別れ、さよは地元の地主の息子と結婚しました。

しかし彼女は家を出ます。

そんな彼女がふと兆治の前に現れ・・・・。

派手な話ではありません。

朴訥淡々とした小説です。

会話のやり取りが誰が誰かよくわからなかったり、唐突に時間が飛んだりという文章にちょっと戸惑いましたけども。

たしか映画化され高倉健が役をやっておられたと思いますが、なるほどイメージは合いますね。

映画は未見ですので、どのような画になっているのか観てみたい気がしました。

ラベル:小説
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2011年03月09日

「続々 食べ物さん、ありがとう」先生=川島四郎 生徒=サトウサンペイ

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シリーズ3冊目。

これが最終巻となります。

書かれている内容はもちろんそんなに変わりません。

ころころ変わるほうがおかしいですよね。(笑)

やはり青野菜の重要性、そして日本人に不足しがちなカルシウムを補うこと。

肉よりも魚のほうが優れていること。

それらご自分の学説をひたすら自身で実行し、証明してこられた川島先生。

マラリアでさえねじふせてこられたのですが、91歳でお亡くなりになりました。

胡散臭い食事健康法やダイエット法がまかり通る昨今、ぜひ川島先生にはもっともっとご活躍いただきたかった。

巻末にはイラストを担当し永く川島先生とお付き合いのあったサトウサンペイ氏を始めとして、元秘書や編集者の方々の座談会も収録されています。

ラベル:グルメ本
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2011年03月07日

「乳と卵」川上未映子

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「ちちとたまご」ではなく「ちちとらん」と読みます。

卵を「らん」と読むとイメージされるのが卵子という言葉。

そう、これはまさしくおっぱいと卵子の話です。

東京に住む主人公のところに大阪から姉の巻子が娘の緑子を連れてやってきます。

巻子の目的は豊胸手術を受けるため。

緑子はまったく言葉を発せず、会話は筆談のみ。

巻子がやたら胸にこだわるように緑子は生理にこだわっています。

こだわるというか嫌悪しているんですね。

女性の象徴である乳に憧れを持つ母親、やはり女性の象徴である生理を嫌う娘。

対照的な組み合わせです。

主人公の一人称の文章と緑子の日記で交互に話が進みます。

乳や生理といったことでそれぞれが女性ということを否が応でも見つめなければならなかったり、母親と打ち解けたいけども打ち解けられないといったような娘のジレンマが描かれていたりという内容ですが、私にとってはこれはまあそんなに大した話ではないかと思います。

この小説のウリはやはり大阪弁を交えた、たたみかけるようなその文章でしょう。

句点が少なく読点でつないでいく文章は読んでいて息が苦しくなります。(笑)

しかしこれがなんとなくこの小説をユーモラスで味わい深いものにしているんですね。

併録されている「あなたたちの恋愛は瀕死」、短い話ですがこれがなかなか面白かったです。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 11:30| Comment(1) | TrackBack(1) | 『か』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする