舞台はタイです。
貧困に喘ぐ地域の子供たちは、男も女も関係なく金のために売られていきます。
行き先は売春宿です。
ペドファイル(児童性愛者)の趣味を持つ裕福な外人客に、まったく人間扱いされず性の道具として拷問のような奉仕をさせられるのです。
いうことを聞かなければタバコの火を押し付けられるなどの仕打ちが待っています。
中にはエイズに罹る子供もいますが、そうなると商品としての価値がないとゴミ袋に詰められ、ゴミ処理場に捨てられるのです。
話は幼児売買や売春だけにとどまらず、臓器売買の話に及びます。
日本人が自分の子供の命を救うため、タイの子供を犠牲にしようというのです。
社会福祉センターでNGO活動をしている音羽恵子たちは、そんな子供たちをなんとか救ってあげたいと奮闘するのですが。
もちろんマフィアが絡み、警察や軍まで黙認している現状。
仲間が殺されたり逮捕されたりする中、それでも音羽恵子はここが自分の居場所だと信念を貫きます・・・・。
この小説はもちろんフィクションなので物語を作っている部分がありますが、現実にこのような問題があるのも確かです。
金さえ出せばなんでもというような富裕国のエゴ、毎日が死と隣り合わせのような貧困の悲しさ。
そのあたりをえぐるように描くのはさすがに梁石日でしょうか。
ラストには在日朝鮮人として日本で生きてきた作者だからこそのメッセージも込められています。
ラベル:小説