2011年04月10日

「居場所もなかった」笙野頼子

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主人公は女性作家。

現在住んでいるマンションを出るはめになり、新しい住居を探し始めるのですがなかなか見つかりません。

絶対の条件がオートロック。

もちろん家賃の制限もあります。

不動産屋めぐりをする主人公ですが、そんなやりとりがなんやら現実なんだか妄想なんだかわけがわからなくなってきます・・・・。

いつもながら現実に虚構が流れ込んでくるようなシュールな内容です。

笙野流マジックリアリズムの世界。

ただはっきりとわかるのは、物語の構造がすべて二重になっているということ。

裏表というのとはちょっと違う気がするんですけどね。

居場所がないというのは文字通り住む部屋が見つからないということと同時に、彼女の存在自体がこの世に居場所を見つけられないということ。

主人公は夢のような世界を彷徨っていますが、もちろんそこには作者の冷めて計算された視線があるということ。

部屋を借りる際の大手企業のサラリーマン(編集者)と売れない自営業(作家)との対応の違いなど・・・・。

大手出版社の編集者を登場させることにより、そして作中で作品を批評させることにより、ますます主人公のヘンコな部分や焦燥感が強調されます。

併録されている「背中の穴」は表題作の続編となります。

文庫版あとがきのやや過激な内容は必読の価値あり。(笑)

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 17:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 『し』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする