かつ丼好きの主人公。
行きつけの大衆食堂のオヤジさんがぎっくり腰になったとかで、一週間かつ丼をタダで食べさせてもらえることに釣られ、かわりに同業者が集まる会議に出席することになります。
全国食堂中央連盟という集まりの会議の内容は、かつ丼について。
ファミリーレストランなどに押されて寂れていく一方の大衆食堂業界が、起死回生策としてかつ丼推進キャンペーンを企画したのです。
当然各業界が売り込みにかかります。
日農連は米を、養豚協は豚肉を、鶏卵連は卵を。
他にも醤油メーカーやパン粉メーカー、砂糖メーカーなど。
自分たちが扱う商品こそがかつ丼の主役であると、一歩も譲りません。
会議におけるバトルの行く末は・・・・。
くだらないことを真剣に論じる(演じる)というのは笑いのひとつのパターンですが、これはまさしくそれですね。
その他、政治はくじ引きで決めろと主張する老人の話「くじびき翁」、謝罪することを専門とする職業『謝罪士』を描いた「メンツ立てケーム」。
どれもちょっと変わった切り口で楽しく読めました。
こじんまりとまとまった短編集という印象です。
ラベル:小説