2011年05月31日

5月の一冊

今月は読んだのは以下の12冊。

「お江戸の若様」高橋三千綱
「裏ミシュラン」パスカル・レミ
「ちゃらんぽらん男、居酒屋をつくる」田中秀嗣
「群青の湖」芝木好子
「世界一の長寿食「和食」」永山久夫
「銀齢の果て」筒井康隆
「焼肉のことばかり考えてる人が 考えてること」松岡大悟
「少年たちの終わらない夜」鷺沢萠
「昼めしの丸かじり」東海林さだお
「剣客商売 白い鬼」池波正太郎
「洋食や」茂出木心護
「招待客」新津きよみ

「お江戸の若様」、シリーズ第2弾。

相変わらず飄々とした右京之介のキャラがいい。

「裏ミシュラン」、こういう裏話はいいですね。

所詮はオッサンがせっせとレストラン巡りをし、個人的評価をしているのです。

「ちゃらんぽらん男、居酒屋をつくる」、大阪で居酒屋を始めたご夫婦の奮闘記。

東京に移転してからの続編が出ればまた読みたいです。

「群青の湖」、芝木好子の代表作ともいえる晩年の作品。

こういう世界はさすがです。

「世界一の長寿食「和食」」、洋食どころかインスタントやファーストフードに走りがちな昨今の食事情。

昔ながらの和食をしっかりと見直したいものです。

「銀齢の果て」、デフォルメされた極の老人小説かもしれません。

筒井氏ならではのブラックでスラプスティックな作品。

「焼肉のことばかり考えてる人が 考えてること」、なるほど焼肉でもいろいろ考えている人がいるものです。

楽しく読めました。

「少年たちの終わらない夜」、青いですが瑞々しい小説です。

シチュエーションはまあ時代でしょう。

「昼めしの丸かじり」、出来不出来はあるものの、このテンションを何十年もこのレベルで保っているのはすごい。

食エッセイ界の「こち亀」か。(笑)

「剣客商売 白い鬼」、読むのが楽しみなシリーズ。

大治郎の成長ぶりや三冬との関係にも注目。

「洋食や」、成り上がり系の内容が多い料理人のエッセイ。

しかしこれは肩の力が抜けたいろんなエピソード紹介のエッセイです。

「招待客」、テーマが絞り切れていなかった感あり。

最初に骨髄移植を持ち出してきたわりには「それが話の内容となんの関係があるの?」という感じ。

さて今月の一冊ですが。

「銀齢の果て」筒井康隆です。

筒井氏は現時点で七十六歳。

この作品を書かれたのが七十一歳。

七十歳を過ぎてこのような作品を書ける才気に敬意を表しまして。

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2011年05月29日

「招待客」新津きよみ

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主人公である高谷美由紀が結婚することになり、幼い頃川で溺れたのを助けてくれた命の恩人を披露宴に招待しようという話になります。

二十年も昔の話。

恩人の井口貴明がいま何をしているのかわかりませんが、当時の新聞の切り抜きから現在の所在を探すことは可能だろうと、美由紀は招待することに同意します。

しかし当時高校生だった貴明は、現在まったく別人のようになっていたのです。

そんなことも知らずに招待状を送ってしまったことにより、美由紀は思わぬ展開に巻き込まれていきます。

披露宴にも貴明ではなくその母親の富士子がやってくるのです。

黒留袖という場違いな服装で。

それがきっかけで美由紀は富士子に執拗に付きまとわれるようになり、やがて取り返しのつかない事態へと話しは進んでいきます・・・・。

サスペンスですね。

引きこもりになってしまった貴明よりも、その息子を溺愛する母親が狂っていく過程が怖い。

それなりに面白い展開で話は進んでいくのですが、なんやかんやと詰め込みすぎの感があります。

美由紀が白血病で骨髄移植を受けた患者という設定ですが、これが話の内容にどれほどの効果をもたらしているのか。

プロローグで出てくる刑事がそのドナーなのですが、その後この刑事とある事件で出会うことになるという設定もちょっと世界が狭すぎます。

母親違いの妹の登場も唐突でキャラがいまいち中途半端。

死体を目の前にしての美由紀のリアクションもそりゃないだろうと。

あちこちに視点が飛ぶのもこの作品の場合むしろややこしいだけ。

なんやかんやと粗が目に付いてしまいますね。

もう少しすっきりと整理されていればと思いました。

作者の実力は認めるが、もう一作読んでみたい。(文学賞選評風 笑)

ラベル:小説
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2011年05月27日

「洋食や」茂出木心護

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著者は東京日本橋にある洋食屋「たいめいけん」の初代オーナーです。

料理人のエッセイといいますと、だいたい少年期はどのような子供だったかというところから語られ、料理との出会い、料理店への就職、国内外での修行や経歴、やがて自分の店を持つ、といったことが書かれます。

いわゆる自伝ですよね。

この本でももちろん小僧時代のことが書かれていたりするのですが、別にご自分の経歴を順を追って紹介しておられるわけではありません。

食にまつわるいろんなエピソードを紹介しておられます。

丁寧ながら軽妙な語り口で、口当たりよく胃に重くなく消化することができました。(笑)

ラベル:グルメ本
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2011年05月25日

「剣客商売 白い鬼」池波正太郎

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シリーズ第5弾です。

表題作「白い鬼」は、秋山小兵衛の若き頃の弟子竜野庄蔵が切り殺されるという事件です。

殺した相手は金子伊太郎というわけありの剣客。

腕が立ちます。

そして伊太郎は女の陰所と乳房を抉って殺すという異常な顔も持っているのです。

小兵衛は庄蔵の仇を討つため、伊太郎の行方を追います・・・・。

このシリーズ、ちょくちょくとこういう異様な敵が出てきますね。

第2弾の「妖怪・小雨坊」、第4弾「天魔」の笹目千代太郎など。

小兵衛や息子の大治郎がどのようにそんな敵と立ち向かうのか。

読ませどころです。

そして他にもいろいろと読ませどころがある中で、シリーズのひとつの芯となっているのが大治郎と佐々木三冬の関係でしょう。

今回では「三冬の縁談」にてそれをしっかりと楽しむことができます。

またもや三冬に縁談話が持ち込まれます。

試合をして三冬が勝つことができなければその相手と結婚しなければなりません。

三冬は自信満々ですが、相手を知る大治郎は三冬に勝ち目がないことがわかります。

このままでは三冬が他所の男のものになってしまうと気が気ではない大治郎。

どうしたものかと小兵衛に相談し、大治郎の三冬に対する想いが明らかになります。

一方の三冬も「大治郎どの」から「大治郎さま」と呼び方に変化があり、なにかにつけて大治郎を意識するようになっているのです。

さて二人の関係はどのように・・・・。

いいですねぇ、このシリーズ。

剣客ものとしての内容はもちろん、人情、恋愛、食べ物、季節感、当時の風俗など、いろんな魅力が凝縮されています。

ずっとこの世界に浸っていたい気分になるんですよね。

すでにシリーズ全巻揃えていますが、続けざまには読まずぼちぼちと楽しんでいきたいと思います。

ラベル:時代小説
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2011年05月23日

「昼めしの丸かじり」東海林さだお

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いつもながら些細なこと(?)に目を着けての問題提起に笑わせられるやら関心させられるやら。

今回は「うどん屋の地獄」というのが表題作代わりといえましょうか。

昼食に大きなうどんチェーン店を一人で訪れた東海林氏。

四人掛けのテーブルに案内され、注文したのが「けんちんうどん」(830円)。

しかしそれが事件の始まりでした。

待っているあいだ、店内はあっという間に満員に。

立って待つ客までいる状態。

周りを見渡すと、百人は入れるというその店で一人客は東海林氏だけ。

そのような状況の中、一人で四人掛けのテーブルを占拠しているプレッシャーに襲われます。

しかも運の悪いことに注文したのが食べるのに時間がかかるアツアツの「けんちんうどん」です。

客や店員に非難の目で見られつつ(かなり被害妄想入ってます 笑)、流れる汗が目に入りなにがなんだかわからない状態で早く食事を終えようと必死に奮闘する東海林氏・・・・。

思わず「そうそう、あるよねそんなこと」と誰でも頷いてしまうようなそんな光景が悲しく面白い。

今回もたっぷりと楽しませていただきました。

ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 07:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 『し』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする