2011年07月30日

7月の一冊

今月は13冊。

まずまずのペースでした。
   
・「魚河岸ものがたり」森田誠吾
・「お好み焼き繁盛店「鶴橋風月」成功のキーワード100」市川徹・橘恭輔
・「夜の朝顔」豊島ミホ
・「名探偵浅見光彦の食いしん坊紀行」内田康夫
・「グラスホッパー」伊坂幸太郎
・「先達の御意見」酒井順子
・「風味絶佳」山田詠美
・「武装酒場」樋口明雄
・「手塚先生、締め切り過ぎてます!」福元一義
・「世界を食べ歩く」豊田穣
・「あなたには帰る家がある」山本文緒
・「忌中」車谷長吉
・「寝ても覚めても本の虫」児玉清

「魚河岸ものがたり」、築地を舞台にした人情がよかったです。

ラストの謎解きっぽいのはなくていいかも。

「お好み焼き繁盛店「鶴橋風月」成功のキーワード100」、写真入りで読みやすかった。

ビジネス書になるのでしょうが、グルメ本としての読み物にもなります。

「夜の朝顔」、ノスタルジックでほのぼのとした雰囲気の小説です。

でも小学生を一人称で書くのはちょっと無理がありますかね。

「名探偵浅見光彦の食いしん坊紀行」、カラー写真がふんだんに使われており楽しめました。

ガイド本にもなるでしょう。

「グラスホッパー」、さすがに伊坂幸太郎。

スピード感のある展開とユーモラスなやりとり、ラストに向かっての収束感。

楽しめました。

「先達の御意見」、「負け犬の遠吠え」についてのやりとりです。

さすがに先達、それぞれ面白いご意見をお持ちでした。

「風味絶佳」、いろんな仕事の労働者を取り上げているあたり、山田詠美だなという気がします。

いろんな人生ありということです。

「武装酒場」、スラプステッィクです。

でもどうせならもっと派手にバカバカしくやってほしかった。

「手塚先生、締め切り過ぎてます!」、漫画の神様、手塚治虫を知ることのできる貴重な一冊。

著者は長年手塚氏に付き添ったアシスタントです。

「世界を食べ歩く」、まさしく世界各地の食べ歩き。

ありきたりの国だけでなく、シルクロードやアフリカまで網羅しておられます。

「あなたには帰る家がある」、女性の家庭や社会での立場を考えさせられると同時に、恋愛の狂気(この場合は女性)も描かれています。

狂気といえばこの作者には「恋愛中毒」という作品もありましたね。

「忌中」、どれも山あり谷ありの物語ではありません。

それがどうしたといえばそれまでの話なのですが、それを引き込んで読ませるのがこの作者の引力。

重力というべきか。

「寝ても覚めても本の虫」、海外小説がお好きで、日本での翻訳が待ち切れず原書で読むほどだった児玉氏。

そんな氏の本好きがしっかりと伝わる一冊です。

さて、今月の一冊ですが。

本好きとしてはやはり「寝ても覚めても本の虫」が面白かったですね。

久しぶりに翻訳物も読んでみようかという気になりましたし。

追悼の気持ちも込めまして、「寝ても覚めても本の虫」児玉清ということで。

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posted by たろちゃん at 18:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 今月の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月28日

「寝ても覚めても本の虫」児玉清

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俳優、児玉清。

お亡くなりになったのはまだ記憶に新しいところです。

大の本好きとしても知られた人でした。

そんな児玉氏が初めて出されたのがこの本です。

タイトルからわかるように、氏がいかに本がお好きだったかを存分に窺い知ることができます。

海外のエンターテイメント小説がお好きで、日本で翻訳が出るのを待ち切れず、わざわざ海外で原書を購入するというマニアぶり。

まさに涎垂れ流さんばかりに飛び付き、舌舐めずりせんばかりに抱きしめ、それがいかに面白かったかを紹介しておられます。

それがまた文章に愛情が溢れ出ているのです。

私はもう何十年も翻訳小説は読んでいません。

理由としましては、カタカナの登場人物に感情移入できない。

なので名前や登場人物の相関が頭に入らない。

土地や風俗なども馴染めない。

翻訳独特の文体が好きになれない。

日本の小説だけでも読みたいのが多すぎて、翻訳物まで読む余裕がない。

などです。

相関が頭に入らないのは私だけではないでしょう。

翻訳物にはたいがい巻頭に登場人物の一覧表がありますし。

文体については訳者に寄るところも大きいんでしょうね。

しかしまあこの本を読みまして、翻訳物も実に面白そうだなぁと。

久しぶりに読んでみるかと、さっそくここで紹介されている本を一冊を購入しました。

ベストセラーの有名な作者です。

さて、投げ出さずに読了できますかどうか。(笑)

話が逸れてしまいましたが、これはぜひ読書好きな人に読んでいただきたい一冊ですね。

ラベル:書評・作家
posted by たろちゃん at 20:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 『こ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月26日

「忌中」車谷長吉

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短編集です。

表題作の「忌中」は体の不自由な妻を抱えた67歳の男が妻を殺し自分も死のうとするのですが、死に切れません。

妻の死体を箱に詰め込み押入れにしまい、どうせ返すつもりもないとサラ金から借金をしまくり、マッサージ嬢に貢ぎます。

箱の中で腐乱していく妻の死体を時々覗き見る男。

やがて男も自ら命を絶ちます。

「警察の方へ。/奥の茶箱の中に妻の死体があります。私の死体ともども、よろしく処分をお願いいたします。私には借金があります。菅井修治。」と記した紙の表に大きく「忌中」と書き、玄関のガラス戸に貼り付け、家の中で首を吊るのです。

「三笠山」は事業で借金を抱えた一家の無理心中の話です。

眠った2人の子供を絞め殺し、夫婦は車に排気ガスを引き込んで心中します。

これも遺書が切ない。

「警察の方へ。/奈良今御門町の采女ホテルに二人の子供が死んでいます。それは私たちの子です。ご迷惑をお掛けしますが、よろしくお願いいたします。/吉兼田彦。/蘆江。」

なんとも救いのない話です。

しかし結末に救いはないのですが、夫婦の愛が最後まで貫かれているのがこれらの作品の無残な中の美しさでしょう。

「忌中」で妻を殺した男はマッサージ嬢に入れあげますが、そこに愛などはまったくありません。

男の心はあくまでも時折箱の中を覗き、腐乱していく妻にあるのです。

「三笠山」にしても夫婦はお互いいっしょになれてよかったことを確認しあい、死ぬ前に何度もまぐわいます。

解説で「これは、純愛小説なのではないのだろうか。」と書かれていますが、私もまさしくと思いました。

身も蓋もないほどの人間の業を書く作家、車谷長吉が書く純愛は壮絶です。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 20:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 『く』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月24日

「あなたには帰る家がある」山本文緒

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佐藤秀明はハウジングメーカーの営業マン。

妻の真弓は専業主婦。

2人のあいだには1歳になる娘がいます。

しかし真弓は毎日家事と育児に追われることに耐えられなくなってきます。

元々はそれを望んでいたにもかかわらず。

2人の仲はぎくしゃくし始め、真弓は保険のセールスレディとして働くことになります。

秀明はモデルハウスにやってきた茄子田ファミリーの担当となり、やがて茄子田の妻綾子と不倫の関係に。

そして真弓は偶然夫の茄子田担当のセールスとなります。

この2組の夫婦を柱に、秀明の後輩である祐子や真弓の上司である支部長の愛川などを脇に据え、話は進んでいきます・・・・。

2組の夫婦はまったく対照的ですが、しかしそれぞれに夫婦のすれ違いを抱えています。

優しいが優柔不断ともいえる秀明、厚顔で品のない茄子田。

家事に向いていない真弓、外とのつながりを好まず家庭のことはきっちりとこなす綾子。

あげくのはて真弓は秀明に、自分がお金を稼ぐのであなたは主夫になればとまで言い出します。

まさに現代の夫婦の小説であり家族の小説であり、女性の社会での立場を描いた小説です。

そして秀明と綾子の男と女の恋愛もありますが、これがまた決してロマンチックではなく狂気を孕んでいるんですね。

仕事や家庭、男女関係などいろんな面で綺麗ごとではなくエグ味を滲ませているのはさすがです。

登場人物が狭い範囲で繋がりすぎですが、まあそれはそれとしてじっくりと楽しめました。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 16:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 『や』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月22日

「世界を食べ歩く」豊田穣

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いやあ、著者は世界各国を食べ歩いておられます。

羨ましい。

しかも時代はまだ円が360円の頃だったりします。

まあ新聞記者であり作家であるという立場の取材を兼ねてだったりもしたようですが。

それでもなかなか普通の人にできることではありません。

ロシアやらシルクロード、地中海、南米、アフリカ・・・・。

とにかく行った先々の地元料理を味わうという姿勢がいいですね。

そりゃせっかく行った国の料理を味わわなくてどうする。

私もそんな考えです。

著者のように色んな国々とはいきませんが、私も何度かフランスはパリに行ったとき、ひたすらあちらの料理を食べてました。

普段は和食党ですが、和食が恋しいとはまったく思いませんでしたね。

レストラン、ビストロ、カフェはもちろん、市場で惣菜を購入しスーパーマーケットで安ワインを購入してホテルの部屋で。

まあ、あちらの料理を食べるのが目的の旅行ですから当然ですが。

でも今からしたら、あちらのラーメンなんてどんなものだったのだろうと思ったりもします。

1回くらい食べておけばよかったかなと。(笑)

話が逸れましたが、やはり食というのはどうしても保守的になりがち。

大半の人が食べなれた料理しか口にしたくないという傾向があります。

でもこの著書のように世界各地のいろんな料理を味わい、それを紹介してくださる。

食いしん坊にとってはまったく魅力的な内容です。

ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 18:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 『と』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする