2011年07月15日

「風味絶佳」山田詠美

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6つの短編集。

タイトルや表紙からして食べ物関係の内容かなという気がしますが、当たらずしも遠からず。

食べ物の描写が多く出てきます。

しかし料理小説ではありません。

しっかりと味わいのある恋愛小説です。

かといって舞台はよくありがちな大手企業などではありません。

そこに勤めるOLが主人公で、同じ会社や取引先の男性と・・・・などとはまったくほど遠い。

それぞれ出てくる男性は肉体労働者です。

これが大きな特徴ですね。

とび職、ごみ回収作業員、ガソリンスタンド店員、引越し業者、汚水槽清掃員、火葬場職員。

小じゃれた舞台設定とは無縁な世界で仕事をする男性たちが描かれています。

男性たちはみなそれぞれの仕事に愛着を持っており、そんな男性に女性たちは静かに寄り添っているのですね。

そんな中で表題作の「風味絶佳」はちょっと違う雰囲気といえるでしょうか。

主人公の恋愛を通して、ハイカラな言動のグランマ(祖母)を描きます。

孫である主人公を突き放しているようでいて、大きく包み込むようにその恋愛を見守っているグランマ。

やはり人生の先達といったところです。

そして大学時代の同級生で片思いだった女の子が自分の父親と結婚するという主人公の複雑な気持ちを描いた「春眠」。

なんだか喉に刺さった小骨が気になるような小説です。

それぞれに生活があり人生があるのだなぁと思える作品集でした。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 14:59| Comment(0) | TrackBack(1) | 『や』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする