2011年07月24日

「あなたには帰る家がある」山本文緒

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佐藤秀明はハウジングメーカーの営業マン。

妻の真弓は専業主婦。

2人のあいだには1歳になる娘がいます。

しかし真弓は毎日家事と育児に追われることに耐えられなくなってきます。

元々はそれを望んでいたにもかかわらず。

2人の仲はぎくしゃくし始め、真弓は保険のセールスレディとして働くことになります。

秀明はモデルハウスにやってきた茄子田ファミリーの担当となり、やがて茄子田の妻綾子と不倫の関係に。

そして真弓は偶然夫の茄子田担当のセールスとなります。

この2組の夫婦を柱に、秀明の後輩である祐子や真弓の上司である支部長の愛川などを脇に据え、話は進んでいきます・・・・。

2組の夫婦はまったく対照的ですが、しかしそれぞれに夫婦のすれ違いを抱えています。

優しいが優柔不断ともいえる秀明、厚顔で品のない茄子田。

家事に向いていない真弓、外とのつながりを好まず家庭のことはきっちりとこなす綾子。

あげくのはて真弓は秀明に、自分がお金を稼ぐのであなたは主夫になればとまで言い出します。

まさに現代の夫婦の小説であり家族の小説であり、女性の社会での立場を描いた小説です。

そして秀明と綾子の男と女の恋愛もありますが、これがまた決してロマンチックではなく狂気を孕んでいるんですね。

仕事や家庭、男女関係などいろんな面で綺麗ごとではなくエグ味を滲ませているのはさすがです。

登場人物が狭い範囲で繋がりすぎですが、まあそれはそれとしてじっくりと楽しめました。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 16:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 『や』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする