2011年08月06日

「文人には食あり」山本容朗

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元編集者から文芸評論家となり、いろんな作家と交流のある著者。

そんな著者が作家たちの食に関するエピソードを紹介しておられます。

小説やエッセイなどの作品から食について記述された箇所を抜粋されたり、実際に付き合った中でのエピソードなど。

なぜか作家という人種は食にうるさい人が多いですね。(笑)

でもそれは作家という職業だからではなく、物を書く仕事なのでそのような文章を発表する機会があるからそのような印象を持つということなのかもしれませんが。

他のジャンルの職業でも食にこだわりのある人はいくらでもいらっしゃいますし。

しかし味についての分析力や表現力といったものは、やはり作家の感性ならではなのかもしれません。

この本で紹介されている作家は錚々たる顔ぶれです。

吉田健一獅子文六檀一雄開高健などは食通として知られた人たちです。

他には吉行淳之介、田中小実昌、渡辺淳一、色川武大、向田邦子、田辺聖子・・・・。

文豪揃いです。

食の面からも文学の面からも貴重な資料となる一冊ではないでしょうか。

posted by たろちゃん at 19:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 『や』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月03日

「夜陰譚」菅浩江

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幻想ホラー小説集。

九つの短編が収められています。

表題作は三十歳を超えた肥満の女性が主人公です。

職場では周りの女性たちから相手にされていない疎外感を持っています。

それも自分の容姿のせいだと思っている主人公は、夜に出歩き闇の中に溶け込むことによって心を癒しています。

あるとき見知らぬ路地に迷い込んだ主人公は、そこで不思議な光景に出会います。

電柱に刻まれた「十」と「一」という文字。

線を一本ずつ刻み、それが三本となり「十一」になると姿を変えることができるというのです。

ある中年の男は木の体に、ある女は銀の体に、ある少女はガラスの体に。

主人公もガラスの体になりたいと願います。

そして電柱に「十一」を完成させたとき主人公は・・・・。

どの作品も幻想ではありますが、あまりホラーという雰囲気ではないですね。

しかし女性の嫉妬を根本にした内容は怖いといえばたしかに怖い。

これは男性では出せない怖さであり醜さでしょう。

ただちょっと物語が抽象的すぎて、私にはもひとつ楽しめませんでした。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 20:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 『す』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする