2011年08月20日

「八朔の雪 みをつくし料理帖」高田郁

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料理人を主人公にした連作短編形式の小説です。

主人公の澪はまだまだ半人前の料理人。

訳あって大坂から江戸にやってきまして、「つる家」という蕎麦屋を手伝うことになります。

ここで酒の肴としてまず作って出したのが、牡蠣の土手鍋。

しかし甘口の白味噌で味付けたそれは江戸の人の口には合わず、散々な不評となります。

いろいろと試行錯誤した上で作り上げたのが、ぴりから鰹田麩。

これが好評でなんとか認められはするのですが・・・・。

その後もいろんな障害が澪を待ち受けています。

ライバル店による嫌がらせなどに立ち向かいながら、料理人として、ひとりの女性としての澪の成長ぶりが描かれていきます。

まずは店を任された「つる家」の繁栄。

そしてやがては「天満一兆庵」という澪が大坂にいた店の江戸店の再建という遠い目標。

それらを太い柱としながら、上手く配置された脇役との関わりもいい。

一緒に江戸にやってきた「天満一兆庵」の元女将である芳。

「つる家」の主の種市。

澪の料理に対して鋭いアドバイスをする謎の素浪人小松原。

人柄のいい医者の源斉。

大坂で幼馴染だった野江の出現もちょっとミステリアスな配置です。

そして同じ長屋の人たちの人情。

いいですね。

ちょっと山本一力作品にも似た雰囲気があります。

それぞれのサブタイトルには料理の名前が付けられています。

ぴりから鰹田麩、ひんやり心太、とろとろ茶碗蒸し、ほっこり酒粕汁など。

巻末にはそれぞれのレシピまで。

読んだ後は取り上げられている料理が食べたくなり、行きつけの飲み屋にいきました。(笑)

幸いその店には心太と茶碗蒸しがありますもので。

これこれ、と楽しませていただきました。

さすがにこの時期、粕汁はありませんでしたが。

いいシリーズに出会えたと思います。

現時点ですでに6巻まで出ており、今後が楽しみです。

いずれ直木賞の候補に挙がる作家ではないでしょうか。

posted by たろちゃん at 17:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 『た』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする