2011年09月16日

「返品のない月曜日 ボクの取次日記」井狩春男

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著者のお仕事(この本が書かれた当時)は取次です。

名前どおり出版社と書店を取り次ぐ会社ですね。

大手では東販や日販といった会社があります。

編集者でもない書店員でもない、そんな取次という立場で業界のことを書かれたのがこの本です。

すごいのが「日刊まるすニュース」という業界向けB5版手書きの新刊ニュースを発行しておられたということ。

日刊ですからもちろん毎日です。

この本でも紙面が紹介されていますが、活字のような文字でびっしりと書き込まれています。

これはもう本への情熱がないとできないことですね。

その他業界の裏話などいろいろと。

本好きには興味深い一冊です。

ちなみにタイトルですが、返品の一番多いのが月曜日とのこと。

なので皆が心を込めて作った本が返品されない月曜日を迎えたい、と願いを込めてのタイトルだそうです。

ラベル:本・書店
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2011年09月14日

「「3つ星ガイド」をガイドする」山本益博

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ミシュラン。

美食家にとっての赤いバイブルです。

料理人にとってもこの本の評価が人生を左右するほどの影響をもたらします。

そんなミシュランがいよいよ2008年に「ミシュランガイド東京2008」を出すことになったわけですが・・・・。

さすがに素早く反応したのが日本の料理評論家第一人者である山本益博氏です。

その興奮ぶりは異様とさえいえるほど。

某誌での日記連載でその様を拝見することができ、私も感想を残しています。

しかしわからなくはありません。

辻静雄氏に影響を受け、昭和四十年代という時代にミシュラン片手にフランスを食べ歩いてこられた方なのですから。

そして「ミシュランガイド東京2008」出版に合わせて出されたのがこの本です。

まずミシュランというのがどのような本なのか、どれほどの影響力があるのかということを説明しておられます。

その後、山本氏がミシュランの視線で東京の星が付きそうな店を食べ歩いて予想をしておられます。

この時点ではまだミシュランが出ていなかったわけですが、予想はあくまでも予想。

当たっていたかどうかはともかくとしまして、ミシュランが出たあとの不満タラタラが滑稽です。

なんであの店が2ツ星なのかって、ぶつぶついわれても。(笑)

だいたい日本のようないろんなジャンルの料理店がある都市なんて他に例がありません。

しかも高レベルで。

そんな東京の料理界事情の中で、あらゆる店を一緒くたに評価するというのが所詮無理あるんです。

フランス料理店、あるいは日本料理店に絞って評価すればずいぶんと値打ちはあったと思いますが。

ただし山本氏も書いておられますように、本物の日本料理や寿司がどういうものかを海外にアピールするいい機会にはなったのではないでしょうか。

同じ星でもフランス版とは三役と平幕ほどの重みの差があると感じるのは偏見でしょうかね。

ラベル:グルメ本
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2011年09月12日

「美味放浪記」檀一雄

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作家には食通といわれる人がかなりいらっしゃいますよね。

誰それと名前を挙げればきりがありませんけども。

いろんな作家さんが食について語っておられます。

食大好き、文壇にも興味ある私としましては、作家の食エッセイはせっせと収集する対象であります。

今回読みましたのは檀一雄。

檀一雄といえば、食通の作家ということで必ず名前の挙がる人でありましょう。

この本では、その食べ歩き放浪は日本国内に留まらず、海外にも及んでいます。

正直言いまして、作家の食エッセイは退屈なことが多いんです。

でも本書は違いましたね。

各土地で名の知れた一流店に入るよりも、そこらの大衆食堂のような店で地元の料理を楽しみたい。

もちろん酒付きですが。(笑)

そんなスタイルですし、なによりご自身が料理されるんですよね。

だから行った先の市場では必ず素材を購入し、実際に自分の手で料理を作られます。

そのあたりが料理評論家と呼ばれる人たちとの違いでしょうか。

しかし昭和四十年代という時代に、国内だけではなく海外にまでそのような食べ歩き放浪をされていたのはすごい。

ラベル:グルメ本
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2011年09月08日

「下妻物語 ヤンキーちゃんとロリータちゃん」嶽本野ばら

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関西の尼崎からど田舎(失礼)の茨城県下妻にやってきた主人公の桃子。

『Baby, The Stars Shine Bright』命の筋金入りのロリータ少女です。

そんな桃子が知り合ったのがバリバリヤンキーなイチコ。

両極端な二人ですが、なぜか奇妙な友情で結ばれ・・・・。

耽美な作風で知られる嶽本野ばらにしては珍しい(?)コメディ小説です。

いや、ギャグ小説といったほうがいいですね。

声を出して笑ってしまった箇所多数。

ですます調の丁寧な文体は相変わらずなのですが、それがまたおかしさを強調しているのですね。

当然ロリータファッションについての主張にぬかりはありません。

冒頭から十八世紀のロココについて薀蓄を展開されます。

これがまた面白い。

ヤンキーについての考察もきっちりしておられますねぇ。

関西出身の嶽本氏だけに、チンピラ言葉も堂に入ってます。

爆笑の連続ですが、ちょっとほろっとくるところもあったりします。

そして『Baby, The Stars Shine Bright』の社長が実名で登場したり、主人公の桃子がデザインに関わったりするんですよね。

ヤンキーのイチコがこのブランドのモデルになったり。

このあたりはさすがに乙女のカリスマといわれる嶽本野ばら氏ですね。

『Baby, The Stars Shine Bright』とも懇意にしておられるのでしょう。
(実際、コラボレーションしておられますし)

私もこのブランドは以前からちょっと気になっておりまして、興味深く読めました。

いやあ、面白かったなぁ。

ラベル:小説
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2011年09月06日

「都合のいい結婚」水野麻里

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31歳の珠江はテレビ局のプロデューサーです。

華やかな業界のように見えますが、徹夜だなんだと身も心もボロボロです。

今は恋人もおらず、結婚もほぼあきらめて仕事に打ち込んできたのですが、ある日同僚のヨッシーから結婚を申し込まれます。

珠江と結婚して専業主夫になりたいんだと。

そして人気俳優の田端亨からは付き合って欲しいと告白を受けます。

そんなギョーカイの男たちとのやり取りの中、出会ったのはトラック運転手の加川幾夫です。

純情で素朴な加川に珠江はやすらぎを感じます。

さて、そんな男たちに囲まれた珠江の恋の行く末は・・・・。

主人公は「ギョーカイ」の働く女性、そして扱うテーマは仕事と結婚。

まったくのステレオタイプな設定です。

おまけに芸能人を含む3人の男性の間で心は揺れ動き・・・・って、あのねぇ・・・・。(笑)

そりゃ女性としては気持ちいいでしょう。

仕事に対してなんだかんだいいながらもテレビ局のプロデューサーですよ。

花形です。

そして同僚や芸能人から迫られるんです。

おまけにそんなギョーカイの雰囲気のまったくない男性とも出会って。

これ、男性と女性を入れ替えてみてはどうです?

主人公は男性テレビプロデューサー。

同僚の女性から結婚を申し込まれ、女優から交際を申し込まれ、素朴な一般女性とも出会う。

心揺れ動く主人公。

アホかっちゅう話ですよね。(笑)

女性の仕事と結婚を描くのはけっこう。

しかし主人公がテレビ局のプロデューサーという設定は安直過ぎませんか。

例えばスーパーのレジで時給750円のパートをしている女性の仕事と結婚を書いてみてくださいよ。

漁港の工場で一日中魚を捌き続けて手を赤く染めている、そんな女性の仕事と恋愛を書いてみてくださいよ。

男性に混じって油まみれになって働いている工場の女性の結婚観恋愛観を書いてみてくださいよ。

もちろん職業に貴賤はありません。

でも女性の仕事や結婚をテーマにする場合、なんでみんなホワイトカラーのキャリアウーマンなんでしょうか。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 18:38| Comment(1) | TrackBack(0) | 『み』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする