主人公は二人。
中年でフリーターの男性とスナックの黒服をしている若い女性。
二人の関係に繋がりはなく、交互に話が進んでいきます。
あえてどうと書くほどのこともない平凡な日常です。
いや、平凡ではないですね。
平凡なふうに書かれていますが非凡です。
しかしとにかくなにがどうということもないのですね。
男性には子連れの女性と結婚していたという過去があります。
女性にも同棲の男性に去られたという現在があります。
男性のほうはそのような過去に対してあまりうだうだしていません。
むしろ現在の自分に対して葛藤があります。
女性のほうは去っていった男に対してうじうじしています。
なんにせよラストでどちらも吹っ切れるわけですが。
これってタイトルを見ますと、江國香織やリリー・フランキーの「東京タワー」を意識しているのかなと思うんですよね。
まずタイトルありきな感がしないでもない。
タイトルを決めてからちょっと強引に内容を結びつけたような。
内容はやはり大阪らしくベタです。
ベタな中にじゅわっとした味わいがあります。
それは人情であったり愛情であったり。
ただもひとつなにかこうぐっとくるものが欲しいところです。
ラベル:小説