2011年10月31日

10月の一冊

今月は15冊。

いつもよりやや多かったですね。

「暗殺の年輪」藤沢周平
「女ひとり」芝木好子
「ちょんまげぷりん2」荒木源
「食の狩人 こだわりの店100」伊丹由宇
「私の男」桜庭一樹
「あんな作家 こんな作家 どんな作家」阿川佐和子
「セクハラ大好き」宇能鴻一郎
「ランチタイム・ブルー」永井するみ
「甘辛の職人」小菅桂子
「ソー・ザップ!」稲見一良
「容姿の時代」酒井順子
「八日目の蝉」角田光代
「東京酒場漂流記」なぎら健壱
「剣客商売 新妻」池波正太郎
「本のお口よごしですが」出久根達郎

「暗殺の年輪」は短編集ですが、隠し剣シリーズなどとは違いバラエティがあり楽しめました。

どれも内容はシブイ。

「女ひとり」、芝木作品としてはややおとなしいめの作品。

ですが女性のしたたかな力強さはしっかりと描かれています。

「ちょんまげぷりん2」、話題作のパート2ですが、これはこれで楽しめましたね。

話を作るのが上手い作家だなという印象。

「私の男」、近親相姦を取り上げた灰色の世界といった印象の小説。

読み応えありましたし、インパクトは大でした。

「あんな作家 こんな作家 どんな作家」、57人もの作家が登場。

いろんな作家のエピソードが読めるのは嬉しい。

「セクハラ大好き」、さすがの宇能節を堪能できます。

一冊読めばじゅうぶんですが。(笑)

「ランチタイム・ブルー」、ライトミステリー、というよりはさまざまな人間ドラマの短編集。

さらりと読みやすく、しかし味わいもありました。

「ソー・ザップ!」、かなり作られた世界ではありますが、それに身を浸すとどっぷりと楽しめます。

硬派な小説です。

「八日目の蝉」、読ませますねぇ、角田光代。

逃亡する主人公の娘に対しての愛情がせつなく哀しい。

「剣客商売 新妻」、単なる連作短編というだけではなく、大治郎の成長と三冬の関係も読ませどころ。

この巻ではいよいよ二人が結婚します。

今月の一冊はちょっと迷いました。

「私の男」、「ソー・ザップ!」、「八日目の蝉」が候補となりましたが、いちばん心に響いたのは「八日目の蝉」。

今月はこれで。

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2011年10月30日

「本のお口よごしですが」出久根達郎

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古本屋の主人が書く古本にまつわるエッセイです。

何十年もこの商売をやっておられるとさすがにいろんなことがあり、いろんなお客さんにも出会ってこられたようで。

特に古本マニアというのはなかなかこだわりの強い人が多いようですね。

昔の本がなかった時代についても書いておられますが、今のように娯楽がなかった時代、本というのは貴重な娯楽でした。

しかしその本がなかなか手に入らない。

そんな話を読みますと、今のように好きな本を好きなように選べる時代に感謝しなければいけませんね。

ラベル:本・書店
posted by たろちゃん at 02:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 『て』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月27日

「剣客商売 新妻」池波正太郎

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シリーズ第6弾です。

表題作は「新妻」。

大坂からの帰り、宿に泊まった大治郎が同姓同名の人物と間違われ呼び出しを受け襲撃されます。

鳥居小四郎という偽名で同じ宿に泊まっているその侍の部屋を訪れ事情を聞いた大治郎は、彼と江戸まで同行することにします。

なぜ小四郎は命を狙われているのか。

千二百両もの公金を我が物とした家老がその罪を勘定方の小四郎こと秋山大次郎に着せ、有無をいわせず殺害してしまおうとしているのです。

そして死を決して身の潔白を公儀へ訴えるべく江戸へ向かう夫をはげますため、三月ほど前に娶った新妻が自害しているのです。

そのような事情を知った大治郎の双眸に激しい怒りがふきあがり、道中で襲い掛かる連中から小四郎を守り通します・・・・。

この巻ではいよいよ大治郎と三冬が結婚します。

「品川お匙屋敷」の章にて、三冬が密貿易に絡む事件に巻き込まれ誘拐されます。

三冬が監禁されている屋敷に乗り込んだ大治郎は、「このときほど激しい怒りに震い立ったことはなかった」というほど闘い、三冬を救出するのです。

非常な喜びを示したのが三冬の父である老中・田沼意次。

三冬と秋山親子を屋敷へ招き、「三冬めを妻に迎えていただけぬか」と。

大治郎も三冬も真っ赤になって俯いています。

そこで秋山小兵衛。

「ばかもの。ありがたく、お受けをせぬか」と大喝。(笑)

めでたく夫婦となったのでした。

そんな一件がありましたから、「新妻」においての大治郎の怒りというものが並々ならぬものであったわけですね。

ますます小兵衛に似てきた大治郎。

そして大治郎の妻となった三冬の女としての目覚め。(これがけっこうエロチックなんです 笑)

いやあ、楽しみなシリーズです。

ラベル:時代小説
posted by たろちゃん at 19:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 『い』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月25日

「東京酒場漂流記」なぎら健壱

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歌手のなぎら健壱氏がぶらぶらと飲み歩いた東京の酒場。

紹介しておられる店はどれも個性というか味わいのある店のようです。

決して気取った店ではありません。

なので酒についてもどこそこの蔵元のなんたらだの何号酵母だの、そのようなマニアックなウンチクは一切出てこないので楽しく読めます。

そういうウンチクは太田某にでも任せておけばよろし。(笑)

甲類焼酎にタンサンといった昔ながらの酎ハイに著者は満足、読者も満足。

デンキブランなんてのも出てきますし。

一緒に飲み歩いたイラストレーター氏の店内の絵もまたほのぼのといい味出してます。

ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 18:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 『な』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月23日

「八日目の蝉」角田光代

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不倫相手の男の子供をひと目見るだけでよかった。

しかし夫婦が子供を部屋に残し外出したあいだに忍び込んだ希和子は、まだ赤ん坊であるその子供を連れ去ってしまうのです。

子供は女の子。

薫と名付けたその子を連れての希和子の逃亡が始まります。

まずは友人の家へ。

そして見ず知らずの立ち退き間近の家へ。

女性だけの団体生活をしているエンジェルホームという新興宗教っぽい施設へ。

最後は小豆島に・・・・。

0章のプロローグの後、1章では希和子の逃亡生活が描かれています。

2章では大人になったその子供の視線で。

1章で描かれているのは希和子のひたすら薫に対しての愛なんですね。

もちろんそれだけではありませんけども。

自分と血が繋がっているわけでもない薫をひたすら想い続ける希和子のけなげさ。

なんとか逃げ延びて二人の生活を守ろうとする希和子の必死さが痛々しい。

2章になりまして薫こと恵理菜の一人称となります。

1章と違ってその視線はひたすら冷めています。

物心つくまで育てられた誘拐犯の母と引き離され、しかし実の家族のもとに戻っても違和感がある。

そんなジレンマを抱えながら過ごしてきた恵理菜の前に現れたのが、エンジェルホームで一緒だった千草。

まるで希和子と同じような生き方を選ぼうとしている恵理菜の支えともなります。

二人は恵理菜の過去にさかのぼるわけですが・・・・。

1章でしっかりと薫に対しての希和子の想いを提示しておき、2章ではそんな希和子の気持ちなど知ることもない恵理菜(薫)を描く。

読者としては「それはないやろ」と思ったりするのですが、しかし当然のことでしょう。

でも少しずつ近寄っていったりするんですね。

2章でもやはり希和子の薫(恵理菜)に対する想いが貫かれています。

捕まるときのセリフなんて涙ものです。

赤ん坊を誘拐するなんて確かに悪い。

言い逃れできない重大な犯罪です。

でも読者は誘拐犯の希和子に感情移入してしまいます。

生みの親より育ての親なんていいますが、まさしくそんな感情を持ってしまうのですね。

そんな母子の愛を感じるかたわら、出てくる男どものなんとなさけないことよ。

エンジェルホームでもそうですが、この小説において男は完全に役立たずとして除外されています。

いやまったくと汗を拭いました。(笑)

ラスト、自分が物語の中へ入っていけたら。

母について恵理菜(薫)に声をかけることができたら。

大きなお世話でしょうか・・・・。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 05:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 『か』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする