2011年10月21日

「容姿の時代」酒井順子

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女性にとって容姿というのはなかなか重要な課題です。

もちろん男性にとってもそうなんでしょうけど、女性はなおさらという気がします。

ひとくちに容姿といいましてもさまざまなシチュエーションなりパーツなりがあるわけですが、そこはさすがに酒井順子、それぞれについてみっちりと分析しておられます。

まず着衣篇としましては、OLの定義は肉色ストッキングにありと看破されます。

著者もOL時代は毎日着用していましたが、会社を辞めていちばん嬉しかったのがストッキングをはく必要がなくなったことだといいます。

そういえば結婚して専業主婦している人なんか、冠婚葬祭くらいしかストッキングをはかなくなったとよく言いますもんねぇ。

サラリーマンにとってのスーツは甲冑であるとも。

どんな男性でもスーツを着ればとりあえずはそれらしく見えるもの。

ところが普段スーツ姿の男性の私服姿を見てしまうと・・・・。

ほとんどの場合が悲惨です。

脱衣篇では脱衣場や下着、化粧といったテーマが取り上げられています。

このあたりは男性にとって知られざる世界なので、女性が女性を見る目のシビアさや滑稽さに感心しながら楽しめました。

それも酒井氏の鋭い観察力あってのことでしょうけど。

そしてやはり文章が上手いなぁと思います。

表現力といいますか、言葉の言い回しが実に巧みなんですよね。

今後も楽しみに読ませていただきたいと思います。

ラベル:エッセイ
posted by たろちゃん at 18:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 『さ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月19日

「ソー・ザップ!」稲見一良

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「パブ・パピヨン」。

腕に覚えのある猛者たちが集まる男の酒場です。

そんな店のテーブルに4人の男が集まって飲んでいます。

元警察官で射撃の名手である金久木、元レスラーのベアキル、手裏剣と小太刀の名手ハヤ、大型獣のハンターでサバイバルに長けているブル。

そこに声をかけてきたのがレッドムーン・シバと名乗る男。

4人を相手に山中で真剣勝負をしようというのです。

それぞれの得意な武器で相手をしようと。

男たちは売られた喧嘩を買います。

いや、喧嘩ではありません。

男の誇りと命をかけた戦いです。

レッドと4人の戦いが山中で展開されます・・・・。

いやあ、壮絶でしたね。

すごいわ、こりゃ。

最後までドキドキハラハラしながら読みました。

作者の銃やサバイバルに関しての知識がきっちりと土台を作っています。

これはまさしく経験によるものなんでしょうね。

男の命がけの戦いを柱に据え、自然に対しての愛着や動物の命というものに対しての敬意も描かれています。

いい小説でしたが、それだけにケチをつけさせてください。(笑)

まず最初に舞台となる「パブ・パピヨン」という酒場。

主人がフランス人であり、集まる男たちがベアキルだのブルだのレッドムーンだの。

その雰囲気からして外国かと思いました。

しっかりと日本なんですが。

だいたいそんなカタカナのニックネームで呼ばれている連中が集まるような酒場なんてあるのかと。

松本さんがマッチャンと呼ばれていたり、竹山さんがタケヤンと呼ばれていたりというのはよくあると思うのですが。(笑)

そんな外国風の設定にしないと話が作れないのかなぁと思うとちょっと残念。

しかしそれが雰囲気を盛り上げているんですけどね。

あと、レッドと4人のサバイバルのレベルは、はなっからレッドに軍配が上がっています。

スタート時点やその後も4人を皆殺しにすることができたわけですが、あえてレッドは1対1の戦いを挑みます。

それがフェアといえばそうなんでしょうけども、ちょっと白けてしまうのも事実。

それならもう少し違う設定もありではなかったのか。

そしてエピローグは明らかに不要です。

まさに蛇足。

まあなんやかんやと書きましたが、よかったです。

男の小説ですね。

ラベル:小説
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2011年10月17日

「甘辛の職人」小菅桂子

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飲食に関わる職人たちを紹介した本です。

料理人や、醤油、味噌といった調味料を作る職人。

または和菓子や洋菓子などの職人も。

紹介されているその人数は二十八人。

今の世の中まがい物がまかり通り、まともな物を作ろうとするとまったく割に合わない。

そんな中、この本ではどの人たちも真っ当な物を作ろうと努力しておられます。

伝統を守ろうとする責任感と職人としての誇りがそうさせるのでしょうか。

著者はマスコミの一人としてグルメなどという新人類を祭り上げたことをあとがきで反省しておられます。

たしかにマスコミもマスコミですが、必死に情報を追っかける客も客でしょう。

その反省というわけではないでしょうが、このような真っ当な仕事の職人を紹介する意義は大きい。

悪いものが駆逐されるのはけっこうですが、本物が消えていくというのはあまりにも寂しくもったいない話ですからね。

ラベル:グルメ本
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2011年10月15日

「ランチタイム・ブルー」永井するみ

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長編だと思っていたら連作短編集でした。

三十歳手前の庄野知鶴はインテリアコーディネーター。

鉄鋼会社に勤めていましたが、女性はみんな三十歳になるまでには結婚退職していきます。

いつの間にか最年長になってしまった知鶴は居づらくなり、インテリアコーディネーターとして再就職するわけですが。

しかしやらされる仕事といえば雑用ばかり。

特に毎日ランチタイムの弁当を手配するのが面倒で憂鬱です。

表題作はそんなところからタイトルが付けられています。

注文表に印を付けていないにもかかわらず、自分の弁当を会議室に持ってこいという部長。

もちろんあるわけないのですが、正直にそれを言えば気を効かせて手配しておけと言われるのがオチ。

どうしようかと迷っていると、たまたま冷蔵庫に昨日の残りの弁当が入っていました。

冷蔵庫に入っていたから大丈夫だろうと、知鶴はそれを部長のところに持っていきます。

しかしそれを食べた部長は具合が悪くなり、救急車で運ばれることに。

知鶴は青ざめるのですが・・・・。

次の「カラフル」では友人が殺されます。

八編収録されていますが、もしかして残りもすべて主人公がこのような事件に巻き込まれるのかと思いましたが、さすがにそうではなかったですね。

刑事や弁護士じゃあるまいし、普通のOLがそうそうそのような事件に巻き込まれるのは作り過ぎですもんね。

インテリアコーディネーターという職業柄いろんな家庭の事情を見ることになるわけですが、それに関わる形で話が作られています。

自身も下着泥棒にあったりして。

裏表紙には新感覚ミステリーと書かれていますが、あまりミステリーという感じはないですね。

全体を見渡すと殺人事件の編が浮いて感じられます。

真相に気付くネタも薄っぺらく弱い。

むしろ家族のさまざまな形態を描いた小説として通したほうがよかったと思います。

なにも殺人事件なんて入れなくていいではないですか。

殺人事件の小説がお好きな人が多いですけども。

家政婦は見たではありませんが、インテリアコーディネーターから見たさまざまな家庭の事情。

それでじゅうぶんドラマになっています。

ミステリーにこだわらずもう少しすっきりと筋の通った構成であれば、もっと満足感のある連作短編集になったと思います。

ラベル:小説
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2011年10月13日

「セクハラ大好き」宇能鴻一郎

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セクハラをテーマにした短編集。

OLとその上司というのがほとんどのパターンですね。

セクハラというとどうしてもそのようになってしまうのかもしれませんが、同じようなのが十編もあるとさすがにうんざりします。(笑)

「あたし、○○なんです」という独特の文体でエロ小説を発表されたのはいつ頃なのか存じませんが、当時としては画期的だったのではないでしょうか。

大人をバカにしとんのかと言いたくなるような文体ですが、官能小説の大御所である宇能鴻一郎氏は元々は純文学作家。

東大文学部から大学院という学歴をお持ちで、芥川賞も受賞されています。

氏がそんな文体を編み出したこともさることながら、細部の表現もぬかりありません。

例えば。

「あーっ、これ、きく、感じる」

ツボを刺激するマッサージじゃあるまいし、「これ、きく」って。(笑)

エロ小説でこんな表現初めて見ました。

宇能センセイの言語感覚恐るべし。

他には。

男性には棒と玉がありますよね。

棒による刺激の描写というのは当然どんなエロ小説にもあるんです。

「奥まで入れられて」とか「突き上げられて」とか。

しかし宇能センセイは玉による刺激も描写されます。

「主任の睾丸が、あたしのビンカンなところを、ピタピタと叩いてくれるのも、いい」

う~ん、普段は陽の目の当たらないタマタマにもスポットを当てるとは。

タマがピタピタなんて女性は意識しておられるんでしょうか。

まあ全編そんな調子で余計なストーリーは一切なし。

ヤマなし、オチなし、意味なし、ひたすらエロまくりです。

でもあっけらかんとしていてユーモラスで、エロながら清々しさもあるんですよね。(笑)

ところどころ食べ物に対してのウンチクが出てくるのは、グルメな宇能センセイのご愛嬌。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 19:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 『う』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする