2011年10月11日

「あんな作家 こんな作家 どんな作家」阿川佐和子

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阿川佐和子氏による作家へのインタビュー集。

その人数はなんと57人です。

インタビューでのやりとりを引用しつつ、阿川氏が文章を書いておられます。

これに関してはできれば対談形式で収録してほしかったですね。

阿川氏の文才や洞察力はよく知られるところですしこの本でもそれを発揮しておられますが、やはりせっかくの作家へのインタビューですからやりとりをそのまま読みたかった。

それにしてもよくまあこれだけの作家にインタビューしたものです。

吉行淳之介や遠藤周作、松本清張など今となっては貴重な記録でありましょう。

勝目梓なんてどういったつながりなんだと思ったりします。

作家や文壇に興味を持つ人にとっては楽しめる一冊でしょう。

ラベル:書評・作家
posted by たろちゃん at 20:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月09日

「私の男」桜庭一樹

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腐野花は二十四歳。

父親は腐野淳悟、四十歳。

実父ではなく養父です。

十歳のとき震災で家族を亡くした花は、遠縁である淳悟に引き取られます。

この父から離れ結婚する第1章から、第6章の十歳の過去に遡って物語が展開されます。

なにという大きな展開はないように話は進む(遡る)のですが、書かれていることといえばけっこうディープ。

被災、殺人、近親相姦、血のつながり、ファザコン、マザコン。

視点を変えながら、淡々とした筆致でそれらが明らかにされていきます。

しかし過去に遡るという構成のせいでしょうか、かなりエグイことを書いているのに読み手としてはわりと平静に受け入れていくんですよね。

それは私だけかもしれませんけど。

エログロな要素を詰め込みながらもさらりとしているんです。

花の淳悟に対する気持ちはまだわからないでもないですけど、淳悟の花に対しての心情が私の理解の範囲を超えていましたが。

「私の男」というのはもちろん花にとって父親のこと。

作中では花の視点の地の文で、「男」だったり、「淳悟」だったり、「おとうさん」だったり、「養父」だったり、呼び方が統一されていないのはもちろん演出でしょう。

そんな揺れ動く娘とつかみどころのない父親の禁忌をこのように仕上げたセンスと筆力はなかなかのもの。

読み応えありました。

評価が大きく分かれる作品だと思いますけど。

ラベル:小説
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2011年10月07日

「食の狩人 こだわりの店100」伊丹由宇

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「ビッグコミックオリジナル」などに連載している飲食店紹介コラムの文庫化です。

基本的にマスコミ未紹介の店を紹介しておられるようですね。

なので誰もが取り上げる有名店紹介のガイドとはやや味わいが違います。

取り上げられているのは主に東京の店。

地方が数店。

そしてジャンル別で数店。

最後の章の「開高健を虜にした名店」というのが、わずかなページですがよかったです。

ラベル:グルメ本
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2011年10月05日

「ちょんまげぷりん2」荒木源

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前作は180年前の江戸から侍がタイムスリップしてくるという内容でした。

今回はその逆です。

木島安兵衛が江戸に帰って8年後。

遊佐友也は14歳になっています。

深夜に水溜りに引き込まれたどり着いた先は、どうやら江戸時代のようです。

この時代に帰って安兵衛が興した「時翔庵」という菓子屋は、友也が生活している平成時代まで続いています。

ということは「時翔庵」に行けば安兵衛に会える。

なんとか店を探し出して訪れたものの、店は廃業しており安兵衛は消息不明。

それどころか友也は周りから怪しい人物と見られ、皆から追われることになります。

そんな友也を助けたのが麟太郎という少年とせんという少女。

友也は周りの目をごまかすため、女装させられます。

それが売れっ子歌舞伎役者の市川海老蔵の目に留まり、歌舞伎役者の女形として舞台に立つことに。

この時代にはいないスタイルとイケメンの友也はあっというまに人気者になるのですが、人気が出たことをいいことに失言し、牢に入れられてしまいます。

そこで安兵衛と再会するのです。

なぜ安兵衛が牢に入れられているのか。

友也と安兵衛は牢から出ることができるのか。

安兵衛は「時翔庵」を再起することができるのか・・・・。

2匹目のドジョウ狙いかと読み始めました。

こういうのって調子に乗って続編を出すごとに面白くなくなっていったりするのですが。

たしかに2匹目狙いには違いないでしょうが、いや、なかなか読めましたね。

飽きさせないストーリー展開。

ラストでは麟太郎少年や時計屋などがのちの誰それであったというあたり、友也が与えた影響も絡ませて巧いなぁと思いました。

そして次作への伏線と読める箇所もあります。

3匹目いきますか。(笑)

さすがにそれはと思いつつ、出れば読むでしょうね。

ラベル:小説
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2011年10月03日

「女ひとり」芝木好子

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時代は戦後すぐ。

女性専用のアパートに住んでいる三人の若い女性。

主人公といえるのは雑誌社に勤める早坂波子でしょうか。

三人の中ではいちばん真っ当な生き方をしています。

陸軍のある機関の医局の看護婦長をしている相田やすいは男勝りのしっかりもの。

夫が出征して三年になる佐野時子は男なしではいられない奔放な女性。

それぞれ違ったタイプの女性を配置することにより、戦後の女性の生き様を描いています。

生き様といいましても特に山あり谷ありなストーリーではなく、話のメインはそれぞれの恋愛や結婚ということになりますね。

ただその恋愛には生活や人生というものを背負っている感があります。

力強い女性たちを描いていますが、芝木作品にしてはわりと軽い目のこじんまりとした作品といえるでしょうか。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 17:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 『し』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする