セクハラをテーマにした短編集。
OLとその上司というのがほとんどのパターンですね。
セクハラというとどうしてもそのようになってしまうのかもしれませんが、同じようなのが十編もあるとさすがにうんざりします。(笑)
「あたし、○○なんです」という独特の文体でエロ小説を発表されたのはいつ頃なのか存じませんが、当時としては画期的だったのではないでしょうか。
大人をバカにしとんのかと言いたくなるような文体ですが、官能小説の大御所である宇能鴻一郎氏は元々は純文学作家。
東大文学部から大学院という学歴をお持ちで、芥川賞も受賞されています。
氏がそんな文体を編み出したこともさることながら、細部の表現もぬかりありません。
例えば。
「あーっ、これ、きく、感じる」
ツボを刺激するマッサージじゃあるまいし、「これ、きく」って。(笑)
エロ小説でこんな表現初めて見ました。
宇能センセイの言語感覚恐るべし。
他には。
男性には棒と玉がありますよね。
棒による刺激の描写というのは当然どんなエロ小説にもあるんです。
「奥まで入れられて」とか「突き上げられて」とか。
しかし宇能センセイは玉による刺激も描写されます。
「主任の睾丸が、あたしのビンカンなところを、ピタピタと叩いてくれるのも、いい」
う~ん、普段は陽の目の当たらないタマタマにもスポットを当てるとは。
タマがピタピタなんて女性は意識しておられるんでしょうか。
まあ全編そんな調子で余計なストーリーは一切なし。
ヤマなし、オチなし、意味なし、ひたすらエロまくりです。
でもあっけらかんとしていてユーモラスで、エロながら清々しさもあるんですよね。(笑)
ところどころ食べ物に対してのウンチクが出てくるのは、グルメな宇能センセイのご愛嬌。
ラベル:小説