2011年11月30日

11月の一冊

今月は14冊でした。

まずまずなペースでしょうか。

私にとってはやや多いですけどね。

「メニューの設計図」高橋徳男
「二度殺された女」ドロシー・ユーナック
「玉手箱」小手鞠るい
「寿司屋のかみさんのちょっと箸休め」佐川芳枝
「葉桜の季節に君を想うということ」歌野晶吾
「平成日本タブー大全」溝口敦・山村明義・一ノ宮美成・寺澤有・鈴木智彦 ほか
「酔って記憶をなくします」石原たきび編
「傷ある翼」円地文子
「お笑い 男の星座2 私情最強編」浅草キッド
「文学賞メッタ斬り!」豊崎由美 大森望
「小林カツ代の「おいしい大阪」」小林カツ代
「雨鱒の川」川上健一
「ひとり日和」青山七恵
「はぐれ牡丹」山本一力

「二度殺された女」、海外小説です。

読みやすかったですけどやはり私は翻訳物には入り込めません。

「玉手箱」、子供を授かる為に一生懸命な女性の話。

はなっから子供を持たないことを選択する女性もいますが、それは簡単なこと。

望んでも子供ができない苦悩が痛々しく描かれています。

「葉桜の季節に君を想うということ」、話題になり評価も高い作品ですが、私はそれほどとは。

ラストの種明かしでむしろ痛々しい印象を持ちました。(笑)

「傷ある翼」、現代においては地味な小説です。

しかしじわじわと味わいがあります。

「雨鱒の川」、荒削りですが初々しい小説。

心が洗われました。

「ひとり日和」、若い女性のちょっとした成長物語。

主人公の頭を引っ叩いてやりたい気もしますけど。

「はぐれ牡丹」、ミステリー仕立ての時代小説。

作者らしく下町の人情があります。

今月はこれといって抜きん出た印象の作品はありませんでした。

その中でも一冊となると、候補としましては「雨鱒の川」と「はぐれ牡丹」ですかね。

なんたら殺人事件というような小説を私はあまり好きではないのですが、「雨鱒の川」のピュアさはその対極といえます。

人を殺さなくとも小説は書けます。

こういう小説がもっと読まれますように。

そういう思いも込めまして今月の一冊は「雨鱒の川」で。

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posted by たろちゃん at 17:20| Comment(1) | TrackBack(0) | 今月の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月28日

「はぐれ牡丹」山本一力

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深川の裏店で暮らしている一乃、夫の鉄幹、四歳の幹太郎。

一乃は日本橋の両替商の娘ですが、親の反対を押し切り、勘当されてまで鉄幹と一緒になりました。

今は野菜の棒手振をしています。

鉄幹は寺子屋で子供たちを教えています。

貧しいながらも毎日幸せに暮らしていた一家ですが、一乃が贋の一分金を竹薮で拾い、同じ裏店のおあきが何者かにさらわれ、一乃夫婦や裏店の人たちが事件に関わりあっていきます・・・・。

ミステリーの要素も兼ね備えた人情小説といったところでしょうか。

貨幣改鋳を利用して贋金で一儲け企む松前藩の御用商人、それに乗る賭場の貸元である寅吉、それら悪党を相手におあきを助けるために立ち上がる裏店の住人やその周りの人たち。

やはり山本一力らしい小気味よい人情が描かれています。

裏店の人たちの連帯感がいい。

花火職人の松次郎の男気がいい。

主人公の一乃は現代小説でいうと探偵奥様といったところでしょうか。(笑)

素人ながらだんだんと事件の核心に迫っていくのですね。

ラストはちょっとバタバタと畳みすぎた感はありますが、なかなかスリリングでした。

今まで読んだ氏の作品の中ではやや小粒な印象ですが、それでもしっかり読ませられましたね。

ラベル:時代小説
posted by たろちゃん at 19:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 『や』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月26日

「ひとり日和」青山七恵

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主人公の知寿は二十歳の女性。

高校教師をしている母親が中国に留学することになります。

一緒に中国に行くことを拒否し大学に進学することも拒否した知寿は、なんとか自分の力で生活していくことにするのですが。

それでやっかいになったのが、遠縁に当たる吟子さんという七十過ぎの老婆の家。

ここでのコミュニケーションを柱に、恋愛や親子の関係などが描かれています。

知寿の性格の悪さはいい設定でしょう。

というか、けっこう誰にもある本音なんですよね。

幸せにしている人にチクリと嫌味を言ってやりたいというような。

素直にストレートにそれが描かれているのはむしろ気持ちいい。

若い女性と老人のコミュニケーションというのは特に目新しい設定ではありません。

その設定でどういう味わいを出すかだと思うのですが、しかしそれも強い印象はありません。

恋愛に関してもありがちな軽い出会いと別れです。

それぞれにとことん深く突っ込んで書いていないところが最近の若い女性芥川賞作家なのかなぁという気がします。

アンニュイな雰囲気を漂わせ、軽くさらりと淡々と。

でもいくら純文学(?)とはいえ、私はもうちょっとぐっとくるものが欲しい。

これはこれで作品なのですが、芥川賞を授賞するほどでしょうか。

それなら黒野伸一の「万寿子さんの庭」に直木賞を授賞してもおかしくはないでしょう。

大人になったばかりの若い女性が人との別れを経るごとにちょっぴり成長していく物語。

そういう意味では現実離れしたドラマがあるわけでもなく、相応な内容なのかもしれません。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 19:08| Comment(1) | TrackBack(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月24日

「雨鱒の川」川上健一

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舞台は東北のとある村。

心平は小学二年生。

魚捕りと絵を描くことが大好きな少年です。

同い年の小百合は耳の不自由な少女。

しかし心平とは心が通じ合っており、まったく不自由はありません。

心平が魚を捕るのを、絵を描くのを、いつもそばで嬉しそうに眺めています。

小百合は将来、心平のお嫁さんになると約束しているのです。

ある日いつもの川で心平は雨鱒と出会います。

なぜかその雨鱒は心平を恐れもせず、むしろ親しげに寄ってくるのです。

そんな雨鱒を捕まえることなどできず、心平は雨鱒と友達になります。

なぜか雨鱒の言いたいことが理解できるのです。

小百合と二人、雨鱒と仲良くなり、嫁まで紹介してもらいます。

そんな自然と戯れて過ごす少年時代が第一章。

大好きな絵でパリの絵画展で特賞に入選するエピソードもあります。

第二章はそれから十年後。

だんだんと村の自然は破壊され、以前のように魚は捕れません。

心平を取り巻く状況も変わってきますが、相変わらず絵を描くことには熱心で、小百合はそんな心平をいまだにそばで嬉しそうに眺めています。

しかし小百合に縁談話が持ち上がり・・・・。

非常に清々しい青春(少年)小説です。

ピュアですねぇ。

耳の不自由な小百合や魚とまでも意思を通じ合うことができる主人公の心平。

それに寄り添う健気な小百合。

自然の中で生きる二人が瑞々しい。

ある意味ファンタジーですよね。

十年後の第二章でも二人のピュアなつながりは変わりません。

ただ周りが二人をそのままでは放っておかないのです。

自然にしても人間関係にしても。

小百合の縁談話が二人の仲を引き裂こうとします。

抵抗する二人。

もうベタベタな展開です。(笑)

それでも読めるのは方言を使った泥臭さのせいもあるでしょうし、内容に合ったぎこちない文体のせいもあるとおもいます。

それらがベタな展開を上手く緩和しているのですね。

そしてラスト。

予想通りの展開ですが、これをハッピーエンドといっていいのかどうか。

この後二人はどうするのだろうという大きな疑問が残るのですけども。

タイトルもどうでしょうか。

第二章も含めてのこのタイトルはどうかなぁ。

この作者の作品を読むのは私は二冊目です。

前回は「ららのいた夏」

キャラがすごくいいんですよね。

ピカピカに光っています。

このキャラのよさとベタですがストレートな展開がこの作者の持ち味でしょうか。

他の作品もすでに購入済み。

今さらですが追いかけてみたいと思います。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 19:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 『か』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月22日

「小林カツ代の「おいしい大阪」」小林カツ代

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料理研究家・小林カツ代の食エッセイ。

タイトルの通り大阪のいろんな店が紹介されていますが、単なる店紹介の本ではありません。

食に関する身辺のことや、子供時代の食卓、懐かしい飲食店などのエピソードが書かれています。

私は大阪人ですのでとても身近に感じられ、楽しく読むことができました。

ただ文章の大阪弁がややあざとく鼻につきますが・・・・。(笑)

味わいのあるイラストや料理レシピも掲載されています。

ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 04:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 『こ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする