2011年11月04日

「二度殺された女」ドロシー・ユーナック

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ニューヨークの平和な中流住宅街で起きた通り魔殺人事件。

殺されたのは若い女性です。

女性が襲われたときは当然騒ぎがあったわけで、そんな騒ぎに何事かと近所の住民は自分たちの部屋から事件を目撃しているのです。

目撃しているのですが、誰も助けようとせず警察に通報もしませんでした。

被害者の死因は刃物でめちゃくちゃに切られたことによる失血死。

騒ぎに気付いた住民がすぐに警察に通報すれば、もしかしたら助かっていたかもしれないのです。

そんな事件を追うのが担当の女性刑事ミランダ・トレス。

そして事件そのものよりも見て見ぬふりをした住民たちに興味を示すコラムニストのマイク・スタイン。

マイクは住民たちの無責任ぶりを新聞のコラムや本で告発するべく、着々と準備を進めます。

ミランダも捜査を進めていくのですが、ラスト100ページ、話は意外な方向に展開します・・・・。

この本を購入したきっかけは、作家の藤沢周平氏がインタビューの中で最近読んだ本で面白かったものとして興奮気味に語っておられたとのことで。

藤沢周平氏といえばミステリーがお好きなことで知られていましたが、時代小説の大家を興奮させるほどのミステリーとはどんなものかと。

私にとってはそれほどとも思えませんでしたが、しかし犯人が誰でなんのためにとかの謎解きよりも、住民の無関心さというものにこだわった内容はよかったと思います。

そしてミランダの正義感やマイクのエゴイズムなど。

ちなみにたまたまなのですが、この本を読み終わったあと産経新聞のコラムである事件が紹介されていました。

1964年にニューヨークで起きた事件なのですが、この小説とまったく同じ内容なんですね。

「キティ・ジェノヴィーズ事件」と呼ばれているそれは、ナイフで襲われる女性の模様を目撃したり叫び声を聞いたりしていたにもかかわらず、住民たちは誰一人として救出も通報もしなかったそうです。

間違いなく作者はその事件をモチーフにしているものと思われます。

というかそのまんまですよね。

ただそうならば、ひとことそのような記述があってもいいのではと思いました。

ラベル:海外小説
posted by たろちゃん at 05:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 『と』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする