2011年11月06日

「玉手箱」小手鞠るい

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デビュー作を含む短編三編を収録。

「卵を忘れたカナリヤ」は子供を望みながらも妊娠できない女性が主人公。

ひたすら不妊治療を受けるのですが、その虚しさが描かれています。

表題作の「玉手箱」は「卵を忘れたカナリヤ」の連作とも読めます。

登場人物は別人ですが、不妊治療や人工授精も効果がなく、ついには代理出産で子供を授かります。

代理母と会うことを避けていた主人公ですが、頻繁に手紙を受取り、来るのが無理ならこちらから会いにいくとまでいわれ、重い腰をあげるのです。

しかし代理母の意図は、代理で産んで情が移った子供を引き取ること。

子供は二人の母を前にしてどのような反応を見せるのか・・・・。

デビュー作の「おとぎ話」はそれらとちょっと路線が違い、アメリカ人の男性と結婚してアメリカに住む女性の話。

主人公が友人のアメリカ人夫婦の夫や妻と関係を持つ様が描かれています。

どれも女性の視点ならではの作品です。

男性作家にこれは書けないでしょう。

子供を産む産まないというのは女性にとって大きな選択肢。

最初から産まないことを選択する人もいますし、産むことを選択しても授からない人もいます。

世間の風潮は結婚したからにはやはり出産という雰囲気があります。

子供を産まない(産めない)からといって、それは女性として間違っているとか劣っているということには決してならないはず。

そんなジレンマとの戦いが作者の経験もあってひりひりと表現されています。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 19:09| Comment(1) | TrackBack(0) | 『こ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする