「朱を奪うもの」に続く三部作の第二部がこの作品です。
第一部の「朱を奪うもの」では主人公の宗像滋子が歯もなくなり右の乳もなくなり、子宮さえもなくなった体で過去を振り返るという構成です。
左翼的な思想に揉まれプロレタリア演劇にのめり、戯曲を書き、左翼な文学者一柳燦との恋愛があり、そして宗像勘次と打算的な結婚をします。
そしてこの第二部では美子という子供もでき、宗像との結婚生活が描かれています。
打算で結婚したわけですが、宗像の卑しさを目の当たりにし、二人の間に愛などありません。
どうにか子供で繋がっているようなものです。
なんとか自分の力で生きていこうと滋子は小説を書くことを決意します。
一柳との再会、そして別れ。
女の生き方や性、結婚、男たちとの運命的な出会い。
第一部に引き続き、戦中戦後を背景にそれらが実に丁寧に積み重ねるように描かれていきます。
いよいよ第三部では第一部の冒頭に向かって話が収束していくのでしょうが、さて戦後の時代を滋子はどのように生き抜いていくのでしょうか。
ラベル:小説