吉原を舞台にした連作短編集です。
遊女たちの切ない生き様が描かれています。
六編収められており主人公はそれぞれ違うのですが、同じエピソードであっても作品によって違う視点で書かれていますので、その多重な視点がこの連作に厚みをもたらしているのですね。
もちろん各主人公たちにはそれぞれの物語があります。
どの物語にも共通しているのは、遊女たちの一途な想いです。
自分ではどうにもならない境遇に生まれ、吉原という地で生きていかなければならない運命。
そんな中でも遊女たちは男に恋をします。
そして一生懸命に生き抜きます。
その生き様はあまりにも切な過ぎます・・・・。
作者は表題作の「花宵道中」で、R-18文学賞の大賞と読者賞のダブル受賞でデビュー。
やや粗い部分はありますが、デビュー作でこの筆力はなかなかのもの。
他の作品も読んでいきたいと思います。
ラベル:小説