2011年12月15日

「猛スピードで母は」長嶋有

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表題作の設定は母子家庭。

視点は小学校六年生の少年です。

当然父親不在の母子関係にスポットを当てた話となります。

母は結婚するかもしれないという男性を家に連れて きます。

主人公と一緒に近所の水族館に行ったりもするのですが、やがてその男性は家に遊びにこなくなります。

そしていじめに遭ったり友達と疎遠になったりまた近づいたり。

それがどうしたといった話なんですが、まあ純文学ですから山あり谷ありの展開ではありません。

母親は独身ですからもちろん恋人もできるでしょう。

その恋人と別れることもあるでしょう。

女として面があり、母親としての面もある。

そんな母親を見つつ、主人公には小学校六年生なりの毎日があります。

小学生としてはややませた感覚ではありますが、それを淡々と描いています。

併録された「サイドカーに犬」はこの逆で、娘から見た母に出ていかれた父親の話。

大人になった現在から子供の頃を振り返るという設定です。

母親がいなくなったあと通い妻のような女性が出入りするようになるのですが、その女性との交流といえばいいでしょうか。

これらの話がタイトルから推察されるように真正面からどっぷりではなく、さらりと軽い雰囲気で語られています。

どちらもあざとくはずしたタイトルだと思いますが、それも含めての作品です。

ほどよい読み心地でした。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 05:07| Comment(0) | TrackBack(1) | 『な』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする