2012年01月22日

「バンドーに訊け!」坂東齢人 実は 馳星周

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書評集です。

「本の雑誌」に連載されていたもので、以前に読んだ北上次郎の「新刊めったくたガイド大全」と同時進行の連載だったようです。

なのでどうしてもそれと比べてしまうわけですが。

まず紹介しておられる本の数が少ない。

そしてジャンルが狭い。

なによりおちゃらけた文章が気持ち悪い。(笑)

これ、著者は馳星周氏なんですよね。

でもこの時点ではまだ馳星周としてデビューしておられないわけで、本名の坂東齢人名義で書かれたもの。

なので大沢在昌や花村満月などの作品に対しても、リスペクトしつつも苦言を呈しておられたりしています。

そんなのをあえて出版されたのはご立派。

ただ私の感想としましては、書評集としてはもひとつな気がします。

ラベル:書評・作家
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2012年01月20日

「田村はまだか」朝倉かすみ

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小学校の同窓会の3次会で深夜のバーに集まった5人の男女。

店のマスターも含めて彼らが待つのは「田村」なる同級生。

しかしなかなか田村はやってきません。

いったいなにをしているのか。

各自いろんな自分の過去を思い出し、語りながらひたすら田村を待ち続けます。

それにしても田村はまだか・・・・。

それぞれの登場人物にスポットを当てながら名前が明らかになり、過去を書くことによってその人物のキャラを立てていくという構成です。

それはそれで短編として読める内容で、さりげなく各人物の人生を描いています。

しかし私が最後までよくわからなかったのは、彼らが田村を待ち続けるその根拠。

吸引力といいますか、そこまでして皆が待ち続ける魅力が田村のどこにあるのか。

そこのところが弱いと思うのですがどうなんでしょ。

ま、ある意味田村の存在はそれぞれの人物紹介のための道具であるような気もします。

田村を待つという共通の目的を持ち、深夜のバーという閉鎖的な空間で時間を共有する男女の物語。

裏表紙には「ラストには怒涛の感動が待ち受ける」とありますが、どこにそんなのが?

ラベル:小説
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2012年01月18日

「くさいものにフタをしない」小泉武夫

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発酵食品といえばこの人、小泉武夫センセイ。

そして発酵食品といえばやはりにおいですね。

「くさや」や「糠漬け」、「納豆」など。

「鮒鮓」なんてのもあります。

でもにおいのきつい食べ物ほどはまればやみつきになってしまったりします。

においがきついといっても発酵の「匂い」と腐敗の「臭い」は違うと小泉センセイはいいます。

実験で小学生の前で世界一くさい食品であるシュールストレミングというニシンを発酵させた缶詰を開けたところ、みな大騒ぎ。

しかし小泉センセイが食べてみせるとみな興味津々で近づいてき、おいしいと言って食べたのだとか。

ところが腐った鯖のにおいを嗅がせると、明らかに不快感をしめしたというのです。

つまり「発酵」と「腐敗」をちゃんと嗅覚で嗅ぎわけているんですね。

そもそも嗅覚というのは危険な物に対する警戒装置。

においによってそれを口に入れていいかどうか判断するというわけです。

食事においてにおいというのは大きな役割をはたしています。

鼻が詰まっていると食事が美味しくないのは周知の通り。

その他、記憶と結びついていたりとか心身を癒したりとか、さまざまな働きが知られています。

そんな「におい」についていろいろ楽しく案内してくださる一冊です。

ラベル:グルメ本
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2012年01月16日

「復讐はお好き?」カール・ハイアセン

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結婚記念日のプレゼントということで、妻のジョーイを船旅に誘った夫のチャズ。

しかしチャズはジョーイにたっぷりと赤ワインを飲ませ、デッキに連れ出してなんといきなり足首をつかんで海に放り投げるのです。

真夜中の海を漂い薄れていく意識の中で、元捜査官のミックに助けられ九死に一生を得るジョーイ。

チャズはもちろんジョーイが死んだと思っています。

夫の許せない裏切りに腹を立て、ミックと組んで復讐を実行するジョーイ。

さて・・・・。

「このミステリーがすごい! 2008年版」で海外編の第2位に選ばれた本作。

どんなものかと読んでみたのですが。

これはユーモアといいますかコメディーといいますか。

いやあ、面白かった。

547ページの長編ですが、まったく最後まで飽きませんでしたね。

キャラがそれぞれしっかりと立っています。

特に主人公の夫であるチャズのキャラは秀逸。

そして文章がいい。

原文はどうか知りませんけども訳が成功していますね。

最近読んだ翻訳ものの中ではいちばんの作品でした。

ラベル:海外小説
posted by たろちゃん at 19:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 『か』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月14日

「窓のある書店から」柳美里

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エッセイ集。

そのときどきの読書や、作家としての矜持のようなものがひりひりと書かれています。

柳氏からはつねにそのようなひりひりさを感じます。

ご本人はどのように受け止められるかわかりませんけども。

それが柳美里の魅力なんですけどね。

「窓のある書店から」というタイトルは、著者がかねがね書店に窓がないのはどうしてだろうか、という疑問を持っておられたことから付けられたタイトルです。

たしかに窓のある書店ってなかなか思いつかないですね。

でもそれはそうでしょう、窓があれば本が日に焼けますから。

単純にそんな理由だと思うのですが。

しかし図書館なんかはけっこう庭に面して広い窓を設けたりしていますね。

でまあ、そんな疑問を持ちつつも、ついに窓のある書店を見つけられます。

著者はちょくちょくとその書店に通われるのですが、さてそれは実在する書店なのか。

私は著者の心の中にある店だと思うのですけどね。

なにしろ柳美里の書く文章はどこまでが真実で虚構か曖昧ですから。

もちろんそれは意図してのことですけど。

ラベル:書評・作家
posted by たろちゃん at 18:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 『ゆ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする