エッセイ集。
そのときどきの読書や、作家としての矜持のようなものがひりひりと書かれています。
柳氏からはつねにそのようなひりひりさを感じます。
ご本人はどのように受け止められるかわかりませんけども。
それが柳美里の魅力なんですけどね。
「窓のある書店から」というタイトルは、著者がかねがね書店に窓がないのはどうしてだろうか、という疑問を持っておられたことから付けられたタイトルです。
たしかに窓のある書店ってなかなか思いつかないですね。
でもそれはそうでしょう、窓があれば本が日に焼けますから。
単純にそんな理由だと思うのですが。
しかし図書館なんかはけっこう庭に面して広い窓を設けたりしていますね。
でまあ、そんな疑問を持ちつつも、ついに窓のある書店を見つけられます。
著者はちょくちょくとその書店に通われるのですが、さてそれは実在する書店なのか。
私は著者の心の中にある店だと思うのですけどね。
なにしろ柳美里の書く文章はどこまでが真実で虚構か曖昧ですから。
もちろんそれは意図してのことですけど。
ラベル:書評・作家