2012年02月29日

2月の一冊

今月の読書は13冊。

月10冊を目標にしている私にとってはまずまずです。
   
「プリンセス・トヨトミ」万城目学
「くだもの栄養学」川島四郎
「スモールトーク」絲山秋子 
「それゆけ太平」山上龍彦
「阪急電車」有川浩
「文学的商品学」斎藤美奈子
「男の手料理」池田満寿夫
「青い山脈」石坂洋次郎
「翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだった」金原瑞人
「しかたのない水」井上荒野
「納豆大全 愛すべき伝統食品の謎を解く」町田忍
「邂逅の森」熊谷達也
「ぶらり「快」的うまい旅」阿藤快

「プリンセス・トヨトミ」、面白かった。

私の地元大阪を舞台にしているせいもあって、これは楽しく読めました。

1級のエンターテイメントだと思います。

「くだもの栄養学」、今まで読んできた著作に比べ、ちょっと物足りなかったか。

「スモールトーク」、車オタクな作者の面目躍如な小説。

絲山氏らしいとぼけた雰囲気がよかったです。

「それゆけ太平」、うーん、木に例えると幹が細い。

枝葉は茂ってるんですけどね。

「阪急電車」、いいですね、心が癒されます。

ちょっと苦笑も交えますが、ツボを突いていると思います。

女性読者には受けがいいでしょうね。

「文学的商品学」、相変わらず切り口がいい。

ですがいつもの爽快感がなかったように感じました。

「男の手料理」、どんぶりめしに目玉焼きを乗っけてコロンブスの卵丼。

なにも申しません。(笑)

「青い山脈」、映画も大ヒットした名作。

清々しい小説でした。

こういうのを読むと現代の男女関係を描いた小説が重く思えてしまいます。

でも時代によりますからね。

「翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだった」、これ面白かったなぁ。

英語を勉強しておられる人にお勧めしたいですね。

たまたまこのあと読んだ井上荒野の「しかたのない水」がこの人の解説だったりして。

その「しかたのない水」、うんうん、井上荒野の世界です。

私はこの作者の作品に静かな怖さを感じるのですが、どうでしょう。

「納豆大全 愛すべき伝統食品の謎を解く」、納豆万歳です。

私は納豆大好き。

日本人が誇るべき優れた食品の納豆をいろんな視点から分析しておられます。

皆さん、もっと納豆を食べましょうよ。(笑)

「邂逅の森」、いやもう圧巻でした。

じゅっくりと小説を味わいましたですよ。

「ぶらり「快」的うまい旅」 、著者の阿藤快さんの経験とお人柄を知ることができた一冊でした。

さてさて今月の一冊なのですが。

こりゃもう「プリンセス・トヨトミ」で決まりだと思っていたんです。

私にとってはそれくらい良かった。

直木賞の選評を見ましたら、どうせならもっと風呂敷を拡げろみたいな評価です。

私にしてみればこれくらいでちょうどいいんですがね。

ですが、「邂逅の森」を読んでしまった。

これはもう・・・・。

この圧巻の内容はダントツで今月の一冊に値します。

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posted by たろちゃん at 05:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 今月の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月27日

「ぶらり「快」的うまい旅」阿藤快

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俳優、阿藤快による食と旅のエッセイです。

俳優以外にも旅やグルメのリポーターとして活躍しておられますよね。

そんな豊富な経験を一冊にまとめたのがこの本です。

さすがにいいものを食べていらっしゃる。

北海道のウニやら毛ガニ、タラバガニ。

大間のマグロ。

長野県では採りたて至高のマツタケ三昧・・・・。

などなど、書き出せばきりがないくらいです。

しかし単なる食べ歩きだけのリポートではなく、著者が大事にしておられるのは人との出会い。

そうやって知り合った人たちをとても大事にしておられるのがよくわかります。

何十年もお付き合いしておられたり、ほとんど兄弟みたいな間柄になられたり。

著者のざっくばらんで人懐こいお人柄が伝わる、美味しく楽しい一冊です。

ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 18:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月25日

「邂逅の森」熊谷達也

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時代は大正。

松橋富治は二十五歳。

マタギを生業としています。

といっても組ではまだいちばんの下っ端です。

厳しい自然の山中でアオシシやクマを狩る毎日ですが、ある日地主の一人娘文枝と知り合い夜這いをかけます。

それがきっかけで恋仲になるわけですが、貧しい家庭の富治と地主の娘では立場が違います。

密会を重ねるうちに文枝が妊娠。

富治は村を追われ、マタギから足を洗うことに。

鉱山で働いていたのですが、やはり自分はマタギとして生きていくしかないと決意します・・・・。

いやあ、ごつい小説ですね、これは。

マタギの生き様、動物や自然との関わり、山の神様への敬虔と畏怖。

まるで自分が厳しい雪の山中にいるような気さえします。

マタギの仕事なんて私にとってはもちろんまったく未知なわけですが、わからないなりにもここまでよく描いたものだと感服です。

主人公のマタギとしての生き様を柱に、妻イクとの寄り添いもいい。

マタギの女房として実にしっかりと脇を固めています。

ラストのヌシと呼ばれるクマとの死闘は壮絶です。

圧巻の500ページですね。

史上初の直木賞、山本賞ダブル受賞とのこと。

お互い牽制しあっている賞なので普通どちらも受賞ということはないんですけど、この作品ならばそうせざるを得ないでしょうね。

どちらもこれは無視できない。

他に有力な作品がなかったのかもしれませんが(笑)、やはり候補作の中で抜きん出ていたということでしょう。

文学の力というものを強く感じさせてくれた小説でした。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 18:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 『く』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月22日

「納豆大全 愛すべき伝統食品の謎を解く」町田忍

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納豆。

日本が誇る伝統食品ですが、苦手な人も少なくないですね。

私は大好きですけども。

これがまた優れた健康食品でありまして、そんな納豆について生い立ちやら納豆菌の働きやらいろいろと紹介しておられます。

サルモネラ菌やらチフス菌、O-157までやっつけてくれるというのだからすごい。

その他骨粗鬆症にもよく(ビタミンK2)、血栓を溶かすので高血圧にもよろしい(ナットウ・キナーゼ)。

酒を飲むときも肝臓を守ってくれますし、ダイエットにも効果的(ビタミンB2)。

老化防止や抗酸化によし(ビタミンE)。

などなど、いろんな効能がある素晴らしい食品であるということが紹介されています。

ご丁寧に納豆料理のレシピまで添えられており、フォローは万全です。(笑)

ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 06:13| Comment(1) | TrackBack(0) | 『ま』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月20日

「しかたのない水」井上荒野

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フィットネスクラブに集まる男女を主人公にした連作短編集。

それぞれの登場人物がリンクしています。

淡々と女を乗り換える若い男、出会い系で男を誘い待ち合わせ場所ですっぽかして様子を楽しむ人妻、受付嬢を愛人にし弄ばれる脱サラの中年古本屋、プールで会うビキニパンツの若い男を思い毎晩自慰に耽る中年女などなど・・・・。

すべて男と女の関係が描かれているわけですが、どこか歪んでおり不穏な雰囲気が漂っています。

それを静謐な筆致で淡々と書いているあたり、まさしく井上荒野の世界ですね。

「サモワールの薔薇とオニオングラタン」や「クラプトンと骨壷」などなんとも後味が悪かったりするのですが、「フラメンコと別の名前」などは曇天から陽が射し込むようなラストだったりします。

不安定なバランスの上に成り立っている奇妙なバランス。

そんな印象を受けました。

けっこう出来不出来の差が大きい作家だと思いますが、これはよかったです。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 19:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 『い』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする