2012年02月08日

「それゆけ太平」山上龍彦

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山上龍彦氏が漫画家から小説家に転向しての第二弾がこの本です。

前作は短編集でしたが、今回は長編。

主人公の芋栗太平は柔道家。

実力はありますが、どこか抜けたところのある青年です。

研究熱心な太平は歩行中も技の工夫を怠りません。

ある日道を歩きながら頭の中で技のシミュレーションをしていたところ、思わず通りがかりの老婆を投げ飛ばしてしまいます。

それが太平が所属する鷹揚館のライバルである武藤道場の主の母親だったものだからえらいことに。

鷹揚館と武藤道場が一触即発の状態に。

肝心の太平は行方をくらましてしまうのですが・・・・。

いかにも山上氏らしいキャラクターの主人公と話のドタバタぶりです。

ただストーリーにはさほど重きを置いていない気がしました。

その場その場のドタバタぶりを楽しむ小説ですかね。

めちゃくちゃなわりに突き抜け感がイマイチなのは、ストーリーが弱く着地点がぼやけているからでは。

擬音などはやはり漫画家ならではなところがありますし、主人公に言わせる作者の主張などは漫画ではもどかしく文章で表現したかったんだろうなと思えました。

しかしそんな作者の気合のわりには読後に満足感がなかったですね。

タイトルももう少しどうにかならなかったものか。(笑)

ラベル:小説
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2012年02月06日

「スモールトーク」絲山秋子

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自動車をモチーフにした連作短編集です。

かといって国産車ではなく外車ですが。

主人公は女性で独身の画家です。

昔付き合っていた男がいろんな自動車をとっかえひっかえして主人公を訪れることによって話が成り立っています。

作者の絲山氏が思い入れを満たされた作品集でしょう。

やはり作者としてはまず自動車ありきなんでしょうね。

自動車オタクぶりが伺えます。(笑)

内容はどこかとぼけた雰囲気の男女関係が描かれています。

これは絲山氏の作風ですね。

作者の会社務め時代を書いたエッセイも収録されています。

これもやはり自動車絡み。

ラベル:小説
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2012年02月04日

「くだもの栄養学」川島四郎

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栄養学シリーズですが、今回はタイトル通りくだものについて書かれています。

しかし今までとはちょっと違い、栄養学というほどそれについて多く書かれてはいません。

どちらかというとくだものについての雑学といったところでしょうか。

なぜお腹をこわしているときにすりリンゴが効くのかとか、食べ合わせというのは科学的には根拠がないものの、自身の経験上平気で見逃がすべきではないといったことも書かれています。

コレラ菌はなぜバナナが好きで梅干しが苦手なのか、とか。

私はあまり果物は食べないのですが、もっと積極的に食べなければという気持ちになりました。(笑)

ラベル:グルメ本
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2012年02月02日

「プリンセス・トヨトミ」万城目学

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会計検査院に所属する3人が東京から大阪に実地調査にやってきます。

会計検査院とは国家予算が正当に使われているかチェックする機関。

検査先のひとつに「社団法人OJO」という団体があるのですが、これがいまいち実態がよくつかめない。

それと同時に空堀商店街というなんとも味わいのある土地で生活する中学生の少年と少女の話が進みます。

調査では「社団法人OJO」の実態がだんだんと明らかになり、中学生の少年少女と会計検査院の接触で話は思わぬ展開になり・・・・。

映画化もされ、「大阪全停止」、「トヨトミの末裔」といったコピーが仰々しかったわけですが、いやいやそれなりのスケールはありましたね。

現実の資料に上手く虚構を織り交ぜた緻密な構成。

じわりじわりと拡がっていくスケール感。

父と息子の絆にほろっとさせられたり、そんな男たちを手のひらの上で遊ばせているような女たちの一枚上手ぶりが微笑ましかったり。

そして私はこの作品の地元大阪ですので、すごく身近に感じられたこともありました。

この作品を読みつつ空堀商店街界隈を散策したりしましたしね。(笑)

実に読み応えのある作品でした。

圧巻のエンターテイメント。

各章の扉に使われているイラストは味わい深く(たぶん地元だからそう感じるのかも)、巻末のエッセイも作品を補足していてよかったです。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 05:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 『ま』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする