2012年03月10日

「ポトスライムの舟」津村記久子

Cimg1884

29歳の女性ナガセは工場をメインに友人のカフェやパソコン教室の講師などで生計を立てています。

ある日工場に貼られている世界一周163万円のポスターに目が留まります。

163万円といえば自分のこの工場での年収とほぼ同額。

自分の1年分の勤務時間が世界一周と同等の価値。

ナガセは密かに世界一周163万円を貯めることにするのですが。

とはいながら、いろいろと出費があります。

こんなことにお金使っている場合ではないと思いつつ・・・・。

「十二月の窓辺」という作品も併録されているのですが、どちらもこれは立派なプロレタリア文学ですね。

昔のそれとは違い変な思想や押し付けがましさはありません。

しかし主人公の境遇やその中に置かれての心境はまさしく現代の女性プロレタリア文学だといえるのでは。

表題作の「ポトスライムの舟」は芥川賞受賞作ですが、私はむしろその前に書かれた「十二月の窓辺」に作者のモチーフを強く感じます。

作者の経験もかなり反映されているのでしょうか。

「OL」を主人公に「オフィス」を舞台にしてこのような小説を書かれますか。

津村記久子、要注目な作家ですね。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 04:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 『つ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月08日

「お江戸の用心棒 右京之介助太刀始末(上・下)」高橋三千綱

Cimg1890

Cimg1886_2

右京之介助太刀始末シリーズ第三弾。

前作の活躍(?)で名を馳せた右京之介にあちこちから用心棒の依頼が舞い込みます。

それらがいろいろと係わり合ってややこしい展開に。

まずストーリーとしましては、ちょっとややこしすぎて簡単には説明できません。

複雑な絡み合いが今回の謎解きといいますか物語の展開の醍醐味ともなっているわけですが、これはもうちょっと整理していただきたい。

私の稚拙な頭では読んでいてわけわからん。(笑)

やはり右京之介のキャラが飛び抜けて魅力的ですね。

いかにも高橋作品の主人公であり、作者の高橋三千綱氏をダブらせてしまうのです。

そんなぶらぶらとした浪人の右京之介ですが、今回は正体である織田長朝としての言動もあります。

シリーズとして段々と核心(?)に近づいてはいます。

しかしいまだに右京之介に「平成」の記憶があるということについては明らかにされていません。

私個人としてはこのようなSF的設定は不要だと思うのですが、今後どのようにその設定を生かした物語にされるのか興味あるところです。

現在出版されているのはここまで。

続編を楽しみに待っています。

ラベル:時代小説
posted by たろちゃん at 05:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 『た』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月06日

「おいしい人間」高峰秀子

Cimg1887

女優高峰秀子のエッセイ集です。

いろいろと食に関することや作家に関することが書かれていますので読んでみました。

接点のあったいろんな人のエピソードが出てきますね。

芸能界なら大河内伝次郎、イヴ・モンタン・・・・。

文壇では内田百閒、円地文子、司馬遼太郎、有吉佐和子・・・・。

芸術家なら前田青邨、梅原龍三郎、安野光雅・・・・。

錚々たる顔ぶれです。

まあ高峰氏が一流の女優さんでしたから当然それなりの人たちとの交流がおありだったんでしょうけども。

かといってまったくお高く留まったところはありません。

視線はけっこう庶民的です。

食に関してもカレーライスへの思い入れなど微笑ましい。

ほんとご年配の人はカレーライスには思い入れがおありですね。

現在もカレーライスといえば子供に人気の料理ですが、私は昔からどうも冷めた目で見ています。(笑)

それはともかく。

その他中国料理などの記述も興味深く読みました。

posted by たろちゃん at 05:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 『た』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月04日

「慕情の旅」芝木好子

Cimg1889

短編集。

表題作「慕情の旅」の主人公美子は三十歳の独身女性。

父親が経営する眼鏡会社の副社長です。

結婚の日取りまで決まっていた相手が、妹と出奔して結婚してしまうという苦い過去があります。

ずっとその傷を引きずっているわけですが、仕事で京都に訪れた際、京都支店の人物の計らいで京都在住の妹夫婦の五歳の娘と会います。

かわいくてしかたがなく、あちこち連れまわす美子。

その後結婚相手だった男と再会するのですが、おどろくほど老けて面変わりしていました。

美子は娘と手を繋いだ感触に男のかたみを感じます・・・・。

「禁断の人」の岸子は乳癌で乳房をなくすことになります。

死さえ覚悟する岸子は既婚者でありながら、子供のころから付き合いがあり思いを寄せていた親戚の泰信に言います。

「抱いて!抱いて!」

息が詰まるような女の情念ですね。

どれも男女の仲を描いた小説です。

恋愛小説という言葉で表現するほど華やかではありませんが、女性の微妙な心理が描かれています。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 04:36| Comment(1) | TrackBack(0) | 『し』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月02日

「小説家の休日」阿刀田高

Cimg1878

エッセイ集です。

この作家自体にはまったく興味ないのですが、いろいろと文学のことについて書いておられたり、書評なども収録されていましたので購入。

やはり私が読んで興味深かったのは「文学雑記」という章です。

この作家はどのような文学観を持っているのか。

作家が他のどんな作家に興味を示めすのか、どのように評価するのか。

そんなのが読めるのが楽しい。

って、その前に著作を読めってか。(笑)

posted by たろちゃん at 04:59| Comment(2) | TrackBack(1) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする