2012年03月18日

「月とシャンパン」有吉玉青

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短編集。

6編収録されていますが、どれも女性を主人公にした恋愛小説です。

そして年齢は20代から40代と振り分けられています。

表題作の主人公波子は外資系の企業に勤めるキャリアウーマンで独身の42歳。

妻子ある芝木という男性と付き合っています。

ある日芝木からロンドンに転勤になると聞かされる波子。

芝木を愛していながらもふっと気持ちが冷める自分に気付きます・・・・。

どの作品もロマンチックなようでいて、冷めたシビアな作者の視点があります。

例えば「春に踊る」という作品。

別れた彼氏の誘いに乗り、彼氏のアパートに行く真由子。

部屋で食事をしながら付き合っていたころの想いがよみがえり言葉を出そうとすると、それを制するように「もう、つきあえないよ」と言われます。

お互いまだ好きであるにもかかわらず、こぼれた水は元には戻らないんですね。

「スパーク☆」では25年ぶりに偶然再会した学生時代の恋人と逢瀬を重ねる48歳の主婦が主人公。

ついには自ら抱いてほしいと口走りそのような関係になるのですが。

これも結局は相手から一線を引かれてしまうのですね。

浮かれたような一時の恋愛感情。

しかしそれは儚く現実に引き戻されてしまうのです。

ですがどれもまったく救いがないわけではありません。

彼女たちには仕事であるとか家庭であるとか帰る場所があるのです。

それぞれの年代や立場で恋愛を求めながらも思うようにはいかないほろ苦さ。

ふと現実に立ち帰る寒さと虚しさ。

しかしそれによって足元を再確認し明日に目を向ける晴れやかさ。

そんな味わいの短編集です。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする