2012年04月09日

「剣客商売 隠れ蓑」池波正太郎

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シリーズ第7弾です。

表題作は「隠れ蓑」。

大治郎が道で唸り声を聞きます。

そして殴打の音も。

木立の中へ入ってみると三人の酔った侍が老僧を取り囲み、刀を抜いています。

助けに入る大治郎。

老僧は以前旅の途中に出会った人物でした。

そのとき老僧は目の不自由な半病人を連れ立っていたのです。

大治郎は老僧がいまだにあのときの半病人と生活を共にしていることを知ります。

その二人の関係とは。

大治郎と小兵衛が二人に関わることになるのですが・・・・。

なんとも胸にぐっとくる話です。

老僧の自責の念といいますか罪滅ぼしの心といいますか。

「徳どん、逃げろ」は一方的な勘違いの友情の話ですが、しかしその無邪気ともいえる心が騙している側の良心を責めます。

ラストが切ない。

今回は大治郎と三冬についてはさほど大きな進展はありませんでした。

進展といっても前作ですでに結婚しているんですけどね。

ラベル:時代小説
posted by たろちゃん at 10:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 『い』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月07日

「仮面の国」柳美里

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柳美里。

在日韓国人の作家です。

97年に芥川賞を受賞されたのですが、その後のサイン会で右翼を名乗る男性からサイン会中止の脅迫をされます。

なんやら柳氏が在日韓国人であるということが原因であるような。

そんな事件をきっかけにして、柳氏は「新潮45」誌上にて小説の仕事を置いてまでも言論界で発言することとなります。

まずはやはり慰安婦問題でしょう。

サイン会中止事件をきっかけに絡んでこられた小林よしのり氏をぶった切ります。

そして神戸市須磨区の少年殺人事件。

犯人の酒鬼薔薇聖斗について柳氏は、実に独自の見解を示されます。

私などはなるほどと頷いたんですけどね。

ま、このような問題はいろんな意見があるでしょうから、誰の意見が正しいとかはともかくとしまして。

児童虐待については今から読めばイタ過ぎます。(笑)

この頃はまだ柳氏も子供がいないわけで、児童虐待についての親の罪を断罪しておられるんですよね。

でもあとになってご自分がそういうことをやらかすとは。

子供がいない立場でものを言うのと実際にその立場になってみるのとでは大きなギャップがあるということです。

しかし柳氏、批判の多い作家ですが、私は好きですよ。

以前どこかで自分が無頼派と称されることに不満を書いておられましたけども、いやいや、じゅうぶん無頼派ですってば。(笑)

今時にして珍しいくらいに。

そんな硬派な柳美里の本領発揮がこの本ではないでしょうか。

ラベル:エッセイ
posted by たろちゃん at 04:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 『ゆ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月05日

「マリモ 酒漬けOL物語」山崎マキコ

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大山田マリモは食品会社に勤めるOLです。

酒飲みでしょっちゅう記憶を失ったりしています。

そんなちょっとダメが入ったOLの奮闘記なんですが・・・・。

読み始めてこりゃなかなか面白いと思ったのですが、途中から失速。

最初はサブタイトルにもあるように酒漬けOLとしての話運びなのですが、途中から酒やめてるし。(笑)

それに伴って内容もコメディからしんみり系へシフト。

ウジウジと自分の生き様を省みる主人公の感情にも読んでいて共感できず。

なんといいますか、設定がピシッと決まってないんですね。

酒漬けOLを主人公として設定したのなら最後まできっちり貫いてもらいたい。

途中からいったいなにが「酒漬けOL」なんだか。

作者のコントロールが効かなくなり、最初の思惑からブレてしまった感があります。

笑いあり涙ありでいくならいくで、しんみり系でいくならいくで、きっちり練って書いてほしかったです。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 02:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 『や』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月03日

「お金をかけずに食を楽しむフランス人 お金をかけても満足できない日本人」吉村葉子

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著者はパリで20年間暮らした経験がおありです。

そんな著者が食べることをメインに書いたエッセイ集。

まさにタイトルが日本人とフランス人の考え方の違いを言い表していますね。

グルメで知られるフランス人ですが、決して日本人のようにお金にものをいわせて高級な料理を食べあさったりはしません。

星付きのレストランなんて一生行かない人も多数。

ワインにウンチクなんて垂れませんし。

安くて美味しく楽しむコツを知っているのです。

この本では主にフランスの地方の家庭料理を紹介しておられます。

プロヴァンス、ブルゴーニュ、アルザス、ノルマンディ・・・・。

これが地味ではありますが実に生活に根ざしたという感じで美味しそうなんですね。

お腹が鳴る記述もいろいろとあります。

友人の家に食事に行くと、前菜で出されたのは20センチほどある巨大なホワイトアスパラガス。

これがドンと。

そして黄色いドレッシングがたっぷり入った器がテーブルの真ん中に。

「ボン・ナペティ」の合図とともに食事開始。

これをひたすら食べる。

いいですねぇ、こんな食事。

これで冷えた白ワインをグビグビできたら。

そして楽しい会話。

「食事」を楽しむということにかけてはやはり日本人よりも彼らのほうが数枚上手のようです。

ラベル:グルメ本
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2012年04月01日

「耽溺者(ジャンキー)」グレッグ・ルッカ

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主人公のブリジットは雇われの女性私立探偵。

親友のライザから「あいつに見つかっちまった」という電話を受けます。

あいつとはヴィンセントのこと。

麻薬密売人です。

ブリジットもライザも元は麻薬中毒者だったのですが、現在は更生しています。

そんなライザの行方を突き止めたヴィンセントは、暴力により金を強請り取ろうとしたのです。

相談を受けたブリジットは二度とヴィンセントがライザに手を出せないよう、徹底的に痛めつけるのですが。

その後ヴィンセントは何者かに射殺されます。

目撃者の証言から犯人はライザだというのです。

子供を抱えたライザの罪を晴らすためブリジットが取った行動は・・・・。

この作品はアティカスというボディーガードが活躍するシリーズの番外編だそうです。

そのシリーズの脇役が主人公となっています。

書評家の北上次郎氏が対談で2005年度の「今年の5冊」に選んでおられまして、シリーズを知らなくてもこれ単独でも大丈夫と対談相手の大森望氏。

どんなものかと読んでみました。

感想としましては、まずまずまあそれなりに。(笑)

650ページを退屈することなく読めました。

主人公のキャラも魅力あると思います。

ただこの作品に限らずですが、翻訳もののエンターテイメントってもっと短くならないものですかね。

なんでこの内容でこんな枚数を費やすのかなといつも思ってしまいます。

本の厚さほど内容の濃さが感じられないのです。

これは私が翻訳ものに感情移入できないせいなのかもしれないのですが。

このあたりが私にとってはネックですね。

ラベル:海外小説
posted by たろちゃん at 04:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 『く』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする