2012年05月10日

「羊の目」伊集院静

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浅草で侠客として売り出してきた浜嶋辰三。

内股に牡丹の刺青がある夜鷹がそんな辰三に自分の子を捨て子の形で育てさせることになります。

その子が主人公となる神埼武美です。

侠客の辰三に育てられた武美は、親である辰三のためならいつでも命を捨てる覚悟があります。

辰三の組が大きくなるにつれ、もちろんいろいろな諍いも出てきます。

武美はひたすら親である辰三のために尽くすのですが・・・・。

侠客の世界を描いた小説です。

そんな世界で辰三しか目に入らないほど純粋な心を持つ武美の生涯を描いています。

最初はなかなかの侠客だと描かれている辰三ですが、保身のため平気で子分を売り、子である武美でさえ売る俗物ぶり。

それはないやろと読みましたが、やはりそれくらいでないと生き残っていけない世界です。

そしてこれもまあ武美の純粋さを際立たせる演出となっていましょうか。

キリストの教えも武美の心に入ってきます。

辰三のため殺し屋にまでなる武美ですが、それでもひたすら心は純粋なんですね。

純粋な人間がそもそもそんなことをするかという矛盾はあるんですけども、それほど武美には辰三しか見えておらず絶対的な存在だということです。

どろどろした世界を描いているのですが、最後には清々しい印象の残る読み応えある一冊でした。

ラベル:小説
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2012年05月08日

「超有名料理店 オーナー11人の店づくり」東京美食マガジン編集部編

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11人のレストランオーナーが自身の店作りについて答えておられます。

飲食店というものを大きくふたつに分けるとしたら、「店」と「料理」ですよね。

どのような雰囲気の店にするのか。

立地条件や外観、内装など。

そしてそんな空間でどんな料理を供するのか。

この本ではタイトルからもわかるように主に「店」について書かれていまして、料理についての技術論的な内容はありません。

中身のレイアウトも上下2段、カラー写真多用、横文字もビシッとアクセントに。

オシャレといいますかスタイリッシュといいますか。

なにしろ「東京美食マガジン」編集部の編ですから。

これが「月刊専門料理」(柴田書店)から出た本だとかなり技術論な内容になるんでしょうけども。(笑)

ただ読んでいて文章のレベルがどうもなぁ、という印象。

そしてタイトル。

超有名って・・・・。(笑)

ラベル:グルメ本
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2012年05月06日

「放送禁止映像大全」天野ミチヒロ

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今までいろんなテレビドラマや映画が製作されてきたわけですが、中には再放送できなかったりソフト化されないものがあります。

それは視聴者からの抗議であったり自主規制であったり。

そんな作品を紹介しているのがこの本です。

その原因として多いのがやはり差別や人権についてですね。

たとえば宇津井健が主役をしていた「ザ・ガードマン」。

40代後半~の人たちには懐かしいテレビドラマです。

なぜ民間企業の警備会社の人たちが刑事並みに犯罪捜査をするのかと首をかしげる設定であります。

それはともかくとしまして、そんな作品の第39話「わたしは人殺しなの」。

「キチガイ」や「発狂」というセリフが頻繁に登場するとのこと。

そして極めつけは精神障害者に対して「その人たちは犯罪を犯しやすい。困ったことだよ」の主役のセリフ。

困った人間はあんたやろ。(笑)

今こんなのをテレビで流したらえらいことになりますよね。

「超人・バロム1」というのもありました。

毎回出てくる怪人がかなりグロテスク。

そんな悪者のボスの名前がドルゲなんですが、当時兵庫県に在住しておられたドイツ人大学教授のドルゲ氏から抗議がありました。

息子がいじめられる可能性があると。

各紙でも報道されたとかで、それは当時子供だった私は知りませんでしたけども。

結局はドルゲ氏と番組側は和解したのですが、よく見かける「この物語りは架空のものであり、実在する人物や団体とは関係ありません」のテロップはそのようないきさつからこの番組が最初に使い始めたとのことです。

そのようなエピソードを持つ映像の紹介が満載。

時代を感じます。

posted by たろちゃん at 18:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月04日

「虹と修羅」円地文子

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「朱を奪うもの」「傷ある翼」に続く三部作の最終巻です。

冒頭で滋子は子宮がんの宣告を受けます。

そんな滋子の落ち込みを余所に、むしろ生き生きとして見える夫の宗像。

そして歌舞伎役者になることを夢見て滋子にわがままで負担をかける娘の美子。

重苦しい毎日の中で滋子は懸命に小説を書き、昔の恋人である柿沼と結ばれたりして励まされ癒されるのですが。

乳房を失い、子宮も失い、女としての機能を失いながらも柿沼を心の拠り所にして小説を書き続ける滋子。

愛のない夫との生活、自分の分身でありながらもひとりの女として歯向かってくる娘の美子、柿沼との逢瀬、小説にかける情熱。

まさに虹と修羅です。

しかし柿沼も死病に冒され世を去ります。

からっぽな心境になってしまう滋子・・・・。

これからもこの修羅な生活が続いていくのであろうことを示唆して小説は終ります。

作者はこれは私小説ではないと否定しておられるようですが、やはりご自身をモデルにしているであろうことは明らかです。

円地文学の柱ともいえる三部作ではないでしょうか。

ラベル:小説
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2012年05月02日

「東京・食のお作法」マッキー牧元

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自称タベアルキストの著者が食のお作法を指南してくださいます。

いろんなジャンルの店や食べ物を紹介しておられるのですが。

まあ前書きにも書いておられるように人がそれぞれどんな食べ方をしようが「大きなお世話」なんですけどね。(笑)

でもラーメンにいきなりコショウかける人とか、から揚げに反射的にレモン絞る人とか、焼肉屋で網一面に肉を並べる人とか、他人事ながら気になったりはします。

そんなことについても触れてはおられますが、特に説教臭いところはありません。

ご自分の食べ方を披露するのと店紹介がメインの内容です。

まあなんやかんやいいつつも東京の飲食店ガイドブックですね。

ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 18:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 『ま』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする