2012年06月30日

6月の一冊

今月読みましたのは以下の14冊です。

まずまずの量を読めました。
 
・「帝国ホテル 厨房物語 私の履歴書」村上信夫
・「蹴りたい田中」田中啓文
・「天狗の落とし文」筒井康隆
・「ピアノ・サンド」平田俊子
・「絲的炊事記 豚キムチにジンクスはあるのか」絲山秋子
・「林真理子の名作読本」林真理子
・「白夜行」東野圭吾
・「神田川デイズ」豊島ミホ
・「帽子」吉村昭 
・「西城秀樹のおかげです」森奈津子
・「食味歳時記」獅子文六
・「彼女について知ることのすべて」佐藤正午
・「裁判長! 死刑に決めてもいいすか」北尾トロ
・「日本人が食べたいほんもの」向笠千恵子

「蹴りたい田中」、タイトルからして馬鹿馬鹿しい一冊です。

ダジャレ連発の内容はやはり馬鹿馬鹿しい。(笑)

「天狗の落とし文」、こういう小話ばかり集められても・・・・という感じ。

あまり面白いとは思いませんでした。

「ピアノ・サンド」、ちょっと黒い雰囲気の作風です。

井上荒野を思わせたりもしました。

「白夜行」、850ページを退屈することなく読ませるのはさすがですが、主人公の心理がよくわからないのがもどかしい。

人物関係もいまいち説得力ないし。

「神田川デイズ」、いちばん輝いているときでありながら、どうも今の自分がいる場所は違うのではないかと焦燥する大学生たち。

雑踏の中の寂しさを感じさせるような作品です。

「帽子」、どれもこれといって大きな出来事があるわけでもない些細な話です。

しかしじんわりと短編小説の味わいを感じさせてくれます。

「西城秀樹のおかげです」、「蹴りたい田中」と同じく、これまた馬鹿馬鹿しくしかもエロい短編集です。

百合を扱っておられますが、どれもマニアックではなく楽しむことができました。

「彼女について知ることのすべて」、さすがの佐藤正午。

ミステリー、ハードボイルド、恋愛小説、そういった要素を含んで読み応えのある長編でした。

さてさて今月の一冊ですが、文句なしにこれだなというのはなかったです。

そんな中から一冊を選ぶならば、「西城秀樹のおかげです」でいきましょうか。

この作品で初めて知った作家ですが、他の作品もぜひ読みたいと思わされるものがありました。

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posted by たろちゃん at 17:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 今月の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月28日

「日本人が食べたいほんもの」向笠千恵子

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グルメブームなんて言葉がありますけども。

今はブームというよりも完全に定着していますよね。

まさに雨後の筍のごとく自称グルメがうじゃうじゃ発生しています。

特にブログという表現媒体が現れてから。

しかしその大部分がミーハーな輩ではないでしょうか。

マスコミが紹介する店を追いかけ、あの店いきました、こんなの食べました。

真剣に食を考えている人なんて少数でしょう。

なのでこのような本が貴重なわけです。

ここでは志ある生産者の方々が作る本物の食を紹介しておられます。(といっても私自身確認したわけではありませんが)

流行の店に行ってどーたらこーたらではないんです。

これなんですよね。

例えばいちばん最初の章に紹介されているのが梅干し。

グルメを自認する人たちのどれほどが梅干しについて語っておられるでしょうか。

フランス料理店のソースがどうワインがどう、どこそこの寿司屋の魚がどう、もちろんそれも大きな関心です。

でも日本人として普段食べる基本的な素材についてどうなのよという話です。

梅干し以外にも醤油であったり味噌であったり。

魚の干物であったり。

家庭でそのようなことに気を使わず外食であーだこーだ言っている場合ではないでしょう。

というようなことを考えさせられる本なのですね。

今さらですが根本から食について考えなければと思わされました。

ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 04:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 『む』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月26日

「裁判長! 死刑に決めてもいいすか」北尾トロ

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裁判傍聴シリーズを出してこられた著者。

「裁判長! ここは懲役4年でどうすか」「裁判長! これで執行猶予は甘くないすか」があります。

しかし今回はそれまでと違って、裁判員制度の導入を意識しての一冊です。

この制度が導入されることによって、誰もが裁判員になる可能性があります。

冤罪の可能性がある被告人にどのような判断を下せるのか。

特に死刑か無期懲役かの判断は大きい。

自分に死刑の判決を下せるのか。

著者は傍聴人としてですが、自分が裁判員であるという前提で裁判を考えます・・・・。

難しいですよね。

私なんか普段は「あんなやつ死刑にしたらええんや」なんて気軽に言ったりもしますが、いざ自分が裁判員になったとき、そんなことを軽々しく言えるわけありませんよね。

感情論ではなく、冷静に提示された事実で判断しなければなりません。

なので著者は苦悩します。

でもこれには正解なんて出てこないでしょうね。

例え極悪非道な犯罪を犯した者であっても、更正の可能性はあります。

というか、更正させるための懲役だという考えがあります。

なので死刑という処罰はどうなのかと。

死刑については賛否両論でしょう。

人の命を扱うわけですから。

私はもう絶対こうだという考えがありますが、それはまあわざわざ発言することもありますまい。

著者のとまどいを読みつつ、自分はどうなのだろうと考える一冊です。

posted by たろちゃん at 04:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 『き』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月24日

「彼女について知ることのすべて」佐藤正午

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『その夜わたしは人を殺しに車を走らせていた。』

そんな出だして読者を掴みます。

ではこの小説はミステリーかサスペンスか。

そのどちらでもあり、どちらでもないんですね。

だって佐藤正午の作品ですから。

人を殺しに車を走らせていた主人公ですが、突如停電により街が暗闇に覆われます。

その間に目的の人物はすでに殺されていた・・・・。

構成が非常に凝っています。

出だしのわりにはそれに関しての記述がありません。

いったいその話はどうなっているんだと、途中までまったく先が見えないんです。

主人公の思考も現在と過去が入り乱れ、丁寧に読んでいきませんと置いていかれます。

しかしじわじわとパズルのピースを埋めていくように物語が見えてきます。

主人公が小学校の教師というのもなんだかいいですね。

痛い目に合わされながらもいつまでもずるずると女の魅力に引きずられてしまう男です。

そしてミステリーでありサスペンスでありハードボイルドであり恋愛小説でもあり。

いまさらながら上手い作家だなぁと思います。

そのあたりの器用さが逆にどの角度からも評価されない理由になっているんですかね。

直木賞取ってもおかしくない作家なのに。

しょーもない作家に賞を与えてもてはやす前に、このような作家をしっかり評価しろよ文壇。(笑)

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 03:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 『さ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月22日

「食味歳時記」獅子文六

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タイトルの通り、一月から十二月まで季節に合った食材を取り上げたエッセイです。

よく味を表現するのに滋味という言葉がありますけども、いい食エッセイにはそのようなものを感じるのですね。

じゃあどういうのがいい食エッセイなのかといいますと答えに詰まるのですが。

私なりにいろいろと言えるのは、まず本当に食べることが好きだと感じられること。

美食家である前に食いしん坊であることですね。

なので自慢げに食経験を披露するのは鼻に付きます。

どこそこの高級寿司屋で食べた貴重な本まぐろのトロがいかに旨かったかを語るより、自分で焼いた旬の焼さんまの旨さを嬉しげに語るほうがよほどいい。

鴨の血のソースを伝統としたフランスの料理店で、これ見よがしに山葵醤油で食べたということを得意気に語った某食通など野暮の骨頂でしょう。

などなどいろいろあるのですが、話が逸れましたね。(笑)

最初に戻りまして、やはり読んでいて滋味を感じる文章がいい。

この本は時代が時代ではありますが、そのような滋味があります。

ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 03:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 『し』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする