2012年06月20日

「西城秀樹のおかげです」森奈津子

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SFとレズビアンを融合させたエロくて笑える短編集です。

表題作は謎のウィルスで人類が滅亡した世界で、ただひとり生き残った少女の話。

しかしまあフタを開けてみればこれがとんでもない内容で。(笑)

日本SF大賞の候補作だったそうですが、なんでこんなのが・・・・。

私はそれよりも他の作品のほうが面白かった。

「エロチカ79」が笑えましたね。

『後生だから』という言葉に反応して必ず出てくるサドの女子高生生徒会長が馬鹿馬鹿しくてたまりません。

そして「悶絶! バナナワニ園!」がなかなかエロい。

男勝りな女性私立探偵が女性たちの手により辱めを受けます。

「テーブル物語」は中国や中近東を思わせる舞台でちょっと幻想的な雰囲気もあります。

正直言いましてどれも小説としての出来は散々ですが、それをじゅうぶん補う勢いがあります。

不勉強なことにたまたま本屋でこの本を手に取るまで、この作家を知りませんでした。

読み終えましてすぐに他の作品も購入した次第です。

ラベル:小説
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2012年06月18日

「帽子」吉村昭

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短編九編収録です。

どれも非常に地味な話なのですが、ふっと心の琴線に触れるのですね。

表題作の「帽子」は癌に冒された妻を持つ男性が主人公。

病院からの帰り道、車から見えたビルの二階にある帽子屋に妻が興味を持ちます。

ベッドで寝たきりになっている妻に、夫はその帽子屋でさまざまな帽子を買ってきて与えてやります。

「買い物籠」では医者である主人公とその家に昔家事手伝いとして働いていた女性との話。

ある飲み屋で客とホステスとして再会します。

それをきっかけに主人公が過去を振り返り、境遇が語られます。

それだけの話です。

再会して男と女の仲になってどうのこうのとはなりません。

その他の作品も同じくでして、人生のささいな日常の中のちょっとイレギュラーな出来事を切り抜いたような話です。

地味ながら味わい深い。

はっきりとストーリーのあるエンターテイメントも読み応えあっていいですが、こういうのもまたしみじみいいいですね。

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2012年06月16日

「神田川デイズ」豊島ミホ

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連作短編集。

主人公たちは神田川近くのある大学の学生たちです。

モテない童貞の3人組が意を決してお笑いトリオを結成する「見ろ、空は白む」、所属する映画サークルに愛想を尽かして飛び出し、女性向けピンク映画を撮るんだと張り切る女子学生3人「どこまで行けるか言わないで」、学生で作家としてデビューするもそのあとがパッとしない主人公とその彼女「花束になんかなりたくない」、などなど。

どれも現状に満足せず、なにかしたいんだけどなにをしていいかわからない、今と違うどこかに行きたい、そんなもどかしさを持つ若者の姿を描いています。

神田川といえば昔の四畳半フォークのイメージですが、現代にそのイメージを持ってくるあたりがミスマッチなようでいてしっくりときています。

不自由なく明るいようでいて、やはりみんなもどかしさや焦りというものを感じているんですね。

ノスタルジックで乾いた雰囲気の中にほろっと切なさが漂うような作風。

この作家にはずっとそのような印象を持ち続けていますが、この作品集でもやはり同じくです。

ラベル:小説
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2012年06月14日

「白夜行」東野圭吾

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時代は1973年です。

質屋のオヤジが殺されたのですが、犯人はわからずじまい。

そのオヤジの息子であった桐原亮司と、オヤジの愛人の娘の西本雪穂。

この二人がこのあとのストーリーの核となっていきます。

質屋のオヤジの件はまあ物語の発端であり、この事件自体はさほど重大ではありません。

といっても拠り所にはなっていますが。

メインは人並みはずれた美貌を持つ雪穂という女の生き様でしょう。

少女から大人になるまでの期間が描かれているのですが、雪穂が関わる人物には必ず不可解な不幸が訪れます。

それは偶然なのか、それともすべて雪穂が仕組んだことなのか。

自分の人生を思い通りにするために。

そこに桐原亮司がどのように関わってくるのか・・・・。

ざっとそういうところですが、しかし私には850ページも引っ張ってラストがこれかよという不満があります。

とにかく不満は多いですね。

それは作者が今回試した手法に私が馴染めなかったせいかもしれませんが。

すべてについて説明不足なんです。

主要人物の雪穂を敢えて淡々と書いておられます。

亮司にしても同じく。

なので読者としては感情移入できず、なぜそのような生き方をしているのかがわからない。

その二人がなんで絡むのか説得力がない。

質屋のオヤジが殺された理由も同じく。

雪穂や亮司の内面を描くことなく外側だけで埋めていくというのもひとつの手法ではあるでしょうが、私は納得いきませんでした。

この作品は第122回直木賞受賞作になり落選しています。

これについて書評家の豊崎由美氏や大森望氏が批判しておられるのですが。

渡辺淳一氏がむちゃむちゃな誤読だと。

たしかに渡辺氏の評価についてはどうかなと思うことも多々あるのですが、この作品については私は同意見です。

「より深く誠実に、主人公の内面に分け入り、踏みこんで書くべきではないか」

そのように書かなかったのは作者の意図です。

しかし私も渡辺氏と同じく踏みこんで書いてほしかったと思います。

これが直木賞だとしたら私は納得いきませんね。

それなりには面白かったと思いますが、絶賛するような小説ではないでしょう。

あ、もしかしたら私は東野圭吾作品とは相性悪いのかも・・・・。(笑)

ラベル:小説
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2012年06月12日

「林真理子の名作読本」林真理子

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書評集プラス文章についての指南の2章が収められています。

書評集といいましても「20代に読みたい名作」として女性誌に連載された読書指南ですね。

いろんな小説についてご意見を述べられているわけですが、ところどころに感じたのはやはり「林真理子」だなと。

なんといいますか、この人の嫉妬深い嫌味な部分が滲み出ているのですね。

そして成り上がりの優越感。

このあたりは隠しようがないのでしょう。

ご本人も隠そうとはしていらっしゃらないと思いますが(?)。

しかし私はそれを批判しているのではありません。

それこそが林真理子なのですから。

この本とは関係ないですけども、横山秀夫氏の直木賞候補作についての林氏のコメントなど物議を醸しました。

やはりなにかこう噛み付かずには気が済まない人なんでしょう。

しかしこの本に書かれている読書指南や文章指南につきましてはさすがに鋭い感性をお持ちだと思います。

だからこその現在の作家としての地位でしょうし。

参考にさせていただきまして、紹介されている本を読んでみたいと思います。

ラベル:書評・作家
posted by たろちゃん at 04:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 『は』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする