裁判傍聴シリーズを出してこられた著者。
「裁判長! ここは懲役4年でどうすか」、「裁判長! これで執行猶予は甘くないすか」があります。
しかし今回はそれまでと違って、裁判員制度の導入を意識しての一冊です。
この制度が導入されることによって、誰もが裁判員になる可能性があります。
冤罪の可能性がある被告人にどのような判断を下せるのか。
特に死刑か無期懲役かの判断は大きい。
自分に死刑の判決を下せるのか。
著者は傍聴人としてですが、自分が裁判員であるという前提で裁判を考えます・・・・。
難しいですよね。
私なんか普段は「あんなやつ死刑にしたらええんや」なんて気軽に言ったりもしますが、いざ自分が裁判員になったとき、そんなことを軽々しく言えるわけありませんよね。
感情論ではなく、冷静に提示された事実で判断しなければなりません。
なので著者は苦悩します。
でもこれには正解なんて出てこないでしょうね。
例え極悪非道な犯罪を犯した者であっても、更正の可能性はあります。
というか、更正させるための懲役だという考えがあります。
なので死刑という処罰はどうなのかと。
死刑については賛否両論でしょう。
人の命を扱うわけですから。
私はもう絶対こうだという考えがありますが、それはまあわざわざ発言することもありますまい。
著者のとまどいを読みつつ、自分はどうなのだろうと考える一冊です。
ラベル:ノンフィクション