2012年07月06日

「濫觴の宴」西村寿行

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府中競馬場の売上金39億5千万円を積んだ現金輸送車が、中央高速道でトラックに体当たりされ襲撃されます。

なんとその輸送車を大型ヘリのバートル107が吊り上げ、持ち去っていくのです。

連絡を受けた警視庁はすぐに追跡します。

ヘリが着陸したのは長野県美ヶ原。

しかし発見されたのはハリボテの輸送車でした。

本物はどこに? 犯人はどこへ?

出だしから西村寿行らしい荒唐無稽なストーリー展開です。

現金輸送車をヘリコプターで吊り上げて強奪するなんて。

ですがこの現金強奪の目的は意外なところにあるんですね。

それこそがこの作品のテーマなのですが。

狩猟行政に対しての強烈な批判です。

罪もない動物を殺戮することを許している狩猟行政とはなんなのかと。

動物だけではなく人間にも猟による流れ弾の被害があるのです。

そんな被害にあって両目の視力を失った少女がこの作品で重要な役割をします。

犯人たちは強奪した金を使って団体を作り、その少女を柱として徹底的に狩猟行政をつぶそうとします。

しかし狩猟に関わる人間も黙ってはいません。

それで儲けている連中の事情もありますし、殺戮欲を封じ込められてもたまりません。

両団体の全面戦争です。

西村寿行らしいストレートで強烈なメッセージが込められています。

強奪事件に関しては犯人たちの一人である父親と刑事である息子といった関係も描かれています。

とにかくまあなにもかも強引にねじ伏せたような設定ですが、寿行ファンとしてはそれがまたいかにもでいいのですね。(笑)

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 05:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 『に』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする