2012年08月30日

8月の一冊

今月は13冊読むことができました。
私としてはまずまずです。

・「作家の生態学(エコロジー)」山本容朗
・「ワーホリ任侠伝」ヴァシィ章絵
・「陽気なギャングの日常と襲撃」伊坂幸太郎
・「あやまち」沢村凜
・「日本食長寿健康法」川島四郎
・「剣客商売 狂乱」池波正太郎
・「サクリファイス」近藤史恵
・「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」鴨志田穣
・「十八の夏」光原百合
・「赤塚不二夫のことを書いたのだ!!」武居俊樹
・「金正日の料理人」藤本健二
・「この人の閾(いき)」保坂和志
・「幸福な食卓」瀬尾まいこ

「作家の生態学(エコロジー)」、吉行淳之介や色川武大(阿佐田哲也)といったすでに亡くなっておられる作家との交遊録。

それらの作家を知る人は今後どんどん少なくなっていくでしょうから、文壇に興味ある者としては貴重な一冊といえます。

「ワーホリ任侠伝」、荒削りではありますがパワーで読ませてくれました。

でもこの作品以降あまりパッとしないようで・・・・。(笑)

「陽気なギャングの日常と襲撃」、相変わらず伊坂作品はいいですね。

ただ今回はちょっと構成が引っかかりました。

「あやまち」、日常の平凡でさりげない事柄から始まる物語。

やや地味ではありますが読ませられました。

「日本食長寿健康法」、川島氏の栄養学は、机上の理論ではなくご自分で実践して証明しておられるところに説得力があります。

時代とともに真実も変わったりしますが、私は氏の理論はずっと支持したいです。

「剣客商売 狂乱」、シリーズも半ばの本作。

すでに全巻手元にありますが、一気に読まずじわじわと楽しんでいます。

「サクリファイス」、自転車のロードレースという日本ではなじみの薄いスポーツを扱った意欲作。

最後まで緊迫感を保ちつつ、読み応えじゅうぶんでした。

「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」、この物語はフィクションですとありますが、私小説といっていいんじゃないでしょうか。

アルコールを止められなかった男の悲しく切ない話です。

「十八の夏」、短編集としてはちょっと内容に統一感がなく、なんだかしっくりきません。

ミステリーの表題作よりも他の恋愛小説のほうがよかった。

「金正日の料理人」、いろいろと北朝鮮の内情がわかって面白かったです。

でもこれだけ暴露してマスコミにも出まくって、大丈夫なんでしょうかこの著者。(笑)

「この人の閾(いき)」、ほのぼのした雰囲気がいいでいすね。

地味ながらもじんわりと味わいのある短編集です。

「幸福な食卓」、家族を柱として各自の人生を描いておられます。

ほのぼのとした雰囲気がいい。

今月は飛びぬけてこれというのはありませんでしたが、どれもそこそこ粒揃い。

ちょっと考えましたが、先の展開を待ち遠しくページをめくった「サクリファイス」を選びます。

ロードレースというモチーフがよかった。

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posted by たろちゃん at 19:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 今月の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月28日

「幸福な食卓」瀬尾まいこ

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「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」

いきなりこんなセリフで始まります。

主人公は女子中学生、父親はその学校で教師をしています。

同居する家族はもうひとり、勉強ができるにもかかわらず大学に進学せず無農薬野菜を作る農業団体で働いている兄がいます。

母親は別居。

といっても行き来はあるのですが。

朝食は必ず家族揃って食べるという習慣があり、冒頭のセリフはそんな朝食時での発言です。

さてこの家族、どのようになっていくのか・・・・。

家族という絆を中心に、それぞれ個人の生活が描かれています。

主人公は心の支えのボーイフレンドや学校生活に懸命。

勉強もスポーツも万能な兄は恋愛には不器用。

教師を辞めた父親は薬学部を目指し受験勉強。

別居の母はマイペース。

でもやはり皆しっかりとつながっているんですね。

誰もがいろんな問題を抱えつつ、いろんな人に支えられつつ、毎日の生活を営んでいるのだなぁとそんな当たり前のことを思ったりしました。

以前に読んだ「卵の緒」もそうですが、丸く柔らかく温かい作風ですね。

内容はちょっと平安寿子の「グッドラックららばい」に似ているなという気もしました。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 04:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 『せ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月26日

「この人の閾(いき)」保坂和志

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短編集です。

表題作は芥川賞受賞作。

30代後半の主人公は仕事である人物を訪ねるのですが留守にしており、時間をつぶすために同じ街に住む10年ぶりの女友達を訪ねます。

その家で草むしりをしたり学生時代の昔話をしたり家庭の話をしたり。

まあそれだけの話なんですけどね。

閾というのは「門の内と外をくぎる境目」とか「精神的な感覚の境目」とかそのような意味があるようです。

要は境目とか境界線といったことなのですが、誰しも生活においてそのようなものを持っているはず。

その人にはその人の閾があるはずです。

庭付きの家に住む専業主婦のそんな閾をこの作品は描いています。

車谷長吉がこの作品に芥川賞を取られ嫉妬し「毒にも薬にもならない」とこき下ろしましたが、まあわからないでもない。(笑)

特になにが起こるでもなくゆらゆらのんびりとした日常と会話があるだけです。

他の収録作もみんなそう。

しかしそれがなんとなくぬるま湯のようなそよ風のような、うとうとするような心地よさにも感じられるんですよね。

純文学ならではでしょうか。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 06:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 『ほ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月23日

「金正日の料理人」藤本健二

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北朝鮮といえばなんだか得体の知れない国との印象があります。

最高指導者は建国者の金日成から2代目の金正日へ。

その金正日も去年亡くなりましたが、日本人でありながら13年ものあいだ金正日の側近として料理人を勤めたのがこの本の著者です。

料理人としてだけではなく幹部的な扱いを受け、さすがにプライベートでも間近で接していただけに生身の金正日の言動をしっかりと書いておられます。

施設の写真なども公開されており、ここまで書いていいのかなどと心配になるくらい。

それほど北朝鮮の内情を知り尽くしておられるだけに、金正日のあとを継ぐのは長男ではなく三男の金正恩だと言い続けてこられまして、まさしくその通りになりましたね。

しかし日本人である著者を金正日はなぜここまでかわいがったのでしょう。

それはこの本を読んでもよくわかりません。

料理人としての立場から書かれた金正日の食の好みが興味深い。

かなり鋭敏な味覚の持ち主だったと著者は語ります。

著者が日本から仕入れてきた魚の干物やよもぎ大福などはお気に入りだったとのこと。

よもぎ大福など「なぜうちの料理人はこの味が出せないのか」と嘆いていたとのエピソードなんか面白い。

そして以外(?)なことに、激辛料理などを食べているのは見たことなかったとのことです。

著者は現在日本に在住しておられ、テレビでも北朝鮮の話題となるとちょくちょく姿を見せておられます。

バンダナとサングラスという変装(?)がトレードマークのようになっていますが、それならテレビに出なければいいのにと思ったりするのですが。(笑)

まあ著者の言動や所在など完璧に北朝鮮に把握されているでしょうから、それもひとつのパフォーマンスなのかもしれません。

今年の7月には北朝鮮を訪問しておられますし。

ある意味裏切り者である著者を招待した金正恩の意図も不気味ではありますが、それに乗った著者もまたよくわからん。(笑)

それはともかくとしまして、北朝鮮の内部を知るにはいい本です。

金正日も意外といい人ですし。(笑)

posted by たろちゃん at 19:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 『ふ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月21日

「赤塚不二夫のことを書いたのだ!!」武居俊樹

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赤塚不二夫

「天才バカボン」、「おそ松くん」、「もーれつア太郎」など、数々のギャグ漫画を生み出した天才漫画家です。

そんな漫画家と35年も付き添ったのがこの著者。

少年サンデーで赤塚氏の担当編集者となり、サンデーを離れてからもアイデアで協力したりずっとそばにおられました。

そういえば昔、赤塚作品を読んでいてよく「武居記者」という名前が出てきましたっけ。

同じくよく出てきたのが少年マガジンの「五十嵐記者」です。

この本では35年ものエピソードや裏話が満載。

赤塚不二夫がどういう人間だったのかというのもよくわかります。

漫画界に金字塔を打ち立てたギャグ漫画家を知る、これは貴重な資料ともいえるでしょう。

ラベル:漫画本
posted by たろちゃん at 17:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 『た』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする