2012年08月19日

「十八の夏」光原百合

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短編4編収録。

表題作は「十八の夏」。

予備校生の信也はいつも川の土手でスケッチしている年上の女性と出会います。

そして勉強部屋として彼女が住むアパートに引っ越します。

しかし彼女との出会いは決して偶然ではなく、信也は計画的に彼女に近づいたのです。

その理由は・・・・。

第55回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した作品とのことですが、なんでこれがと思ってしまいました。

作品自体はそんなに悪くないのですが、推理作家協会が賞を与えるほどの内容とは思えません。

って私が言うのも大きなお世話でしょうけども。(笑)

ミステリーとしては女性の行動がもひとつ説得力に乏しい。

それよりも青春小説としての色合いが濃いように感じたからでしょうか。

そしてミステリーの短編集かなと思いきや、2番目と3番目は恋愛小説ですし。

(個人的には2番目の「ささやかな奇跡」がよかったですけどね。)

1冊の本としてもなんだかまとまりがありません。

花をモチーフにしておられるとのことですが、ちょっとそれは弱いんじゃないですかね。

ミステリーよりもむしろ繊細な心情を描いた恋愛小説に本領を見せられる作家ではないでしょうか。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 18:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 『み』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月17日

「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」鴨志田穣

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アルコール依存症で入院するはめになった主人公。

病院でのやりとりや、入院先でのいろんな個性ある人たちとの交流(?)が描かれています。

ストーリーとしては特にどうこうないのですけども、さすがに作者自身の経験による私小説ということもあり、その体験的内容はシビアです。

アル中(アルコール依存症)を扱った小説としては、中島らもの「今夜、すべてのバーで」がありますし、ノンフィクションでは邦山照彦の「アル中地獄(クライシス)」があります。

エッセイマンガですが吾妻ひでおの「失踪日記」なんかも加えていいかもしれません。

どれも酒飲みのあいだ(だけではないですが)では注目されている本ですが、これはそれらに並べてもいいのではないでしょうか。

つい飲んでしまうその感覚が私などよくわかるのですね。

私も毎日朝から飲んでいる人間ですので。(笑)

入院生活に関しては、経験者ならではのリアル感があると思います。

そしてアル中だけではないのです。

アル中を克服しようと入院していたところ、なんと腎臓がんが発覚。

そんな現実を受け入れ、小説としてそれをきっちりと自身の作品として残そうとした作者の心境やいかにです。

タイトルが切ないですね。

「酔いがさめたら、うちに帰ろう」

もちろんこれはアル中を克服して、家族のもとへ帰ってちゃんとした生活をしようという思いが込められているわけですが。

ちなみに奥さんは漫画家の西原理恵子氏。

しかしアル中という敵だけではなく、癌という予想外の敵に出くわしてしまった主人公。

そのあたりの心理描写は淡々としています。

全体的にわりと軽く読み流してしまう文章だと思いますが、しっかりじっくりと味わいたいですね。

posted by たろちゃん at 16:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 『か』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月15日

「サクリファイス」近藤史恵

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プロのロードレースチームに所属する白石誓。

チームのエース石尾豪をアシストするのが使命です。

ある日、過去に石尾が自分の立場をおびやかすチームメートをわざと事故らせ、下半身不随に追い込んで引退させたという話を聞きます。

周りに聞いても「あいつはそういうやつだ」という言葉が返ってきます。

半信半疑ながらも各地を転戦し、石尾をアシストしていく誓。

やがて初めての海外レースに参加することになるのですが、そこで思いもよらない惨劇が・・・・。

日本では馴染みの薄いロードレースという競技を描いた作品です。

それだけに独特のルールや雰囲気などを読者に伝えるのに苦労されたと思いますが、見事に表現されていますね。

しかもロードレース小説でありつつサスペンスで絶妙に味付けされ、緊迫感のある仕上がりとなっています。

真相が二転三転するような展開もいい。

石尾が最後に取った行動が私にはちょっと理解しづらかったのですが。

いくらなんでもそこまでするかなぁと思います。

しかし最後まで一気に読めるいい小説でした。

ラベル:小説
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2012年08月12日

「剣客商売 狂乱」池波正太郎

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シリーズ第8弾。

本編16巻のようやく半ばまでやってきました。

6編収められており、表題作は「狂乱」。

足軽出身の石山甚市は現在下級の侍です。

しかし実戦の剣法の使い手でもあります。

その腕は息子の大治郎でも勝つのは難しかろうと小兵衛も見るほど。

それだけに周りの侍からは嫉妬されうとまれ、孤立しています。

そんな鬱憤をらすかのように凶暴な行動を繰りかえす石山。

胸中を思いやる小兵衛は面倒を見てやろうとするのですが・・・・。

切ない話ですね。

最後に小兵衛に勝負を挑む石山。

受けて立つ小兵衛。

もう少し早く小兵衛が目をかけてやれば・・・・。

大治郎と三冬も夫婦となり、その関係もこのシリーズの魅力のひとつなのですが、今回はそれほど触れられていませんでした。

ラベル:時代小説
posted by たろちゃん at 00:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 『い』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月10日

「日本食長寿健康法」川島四郎

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日本食の素晴らしさをひたすら説いてこられた川島四郎氏。

この本でもそれを主張しておられます。

他の著作で書かれていることとかなりダブってはいますが、やはりいつ読んでもふむふむと頷いてしまいます。

青野菜の摂取は氏のいちばんの主張といえるでしょう。

そして西洋コンプレックスや肉がまだ庶民の手に入らなかった時代による、魚よりも牛肉のほうが優れているという誤解した牛肉崇拝。

日本人のごはん離れについても問題視しておられます。

最近多いのが米を悪者扱いする傾向。

さんざん他の食事が原因で糖尿病やらメタボになっておきながら、米は体によくないと避けている人。

あるいはダイエットのため炭水化物を避けているという人。

そんなこといったら日本人が培ってきた米食文化はどうなるのか。

昔からずっと日本人は米を食べてきたんです。

季節のものを食べるというのも日本食の知恵であり魅力ですね。

とまあ、そんなことがいろいろと書かれており、楽しく日本食について知ることのできる一冊です。

ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 16:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 『か』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする