2012年08月17日

「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」鴨志田穣

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アルコール依存症で入院するはめになった主人公。

病院でのやりとりや、入院先でのいろんな個性ある人たちとの交流(?)が描かれています。

ストーリーとしては特にどうこうないのですけども、さすがに作者自身の経験による私小説ということもあり、その体験的内容はシビアです。

アル中(アルコール依存症)を扱った小説としては、中島らもの「今夜、すべてのバーで」がありますし、ノンフィクションでは邦山照彦の「アル中地獄(クライシス)」があります。

エッセイマンガですが吾妻ひでおの「失踪日記」なんかも加えていいかもしれません。

どれも酒飲みのあいだ(だけではないですが)では注目されている本ですが、これはそれらに並べてもいいのではないでしょうか。

つい飲んでしまうその感覚が私などよくわかるのですね。

私も毎日朝から飲んでいる人間ですので。(笑)

入院生活に関しては、経験者ならではのリアル感があると思います。

そしてアル中だけではないのです。

アル中を克服しようと入院していたところ、なんと腎臓がんが発覚。

そんな現実を受け入れ、小説としてそれをきっちりと自身の作品として残そうとした作者の心境やいかにです。

タイトルが切ないですね。

「酔いがさめたら、うちに帰ろう」

もちろんこれはアル中を克服して、家族のもとへ帰ってちゃんとした生活をしようという思いが込められているわけですが。

ちなみに奥さんは漫画家の西原理恵子氏。

しかしアル中という敵だけではなく、癌という予想外の敵に出くわしてしまった主人公。

そのあたりの心理描写は淡々としています。

全体的にわりと軽く読み流してしまう文章だと思いますが、しっかりじっくりと味わいたいですね。

posted by たろちゃん at 16:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 『か』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする