北朝鮮といえばなんだか得体の知れない国との印象があります。
最高指導者は建国者の金日成から2代目の金正日へ。
その金正日も去年亡くなりましたが、日本人でありながら13年ものあいだ金正日の側近として料理人を勤めたのがこの本の著者です。
料理人としてだけではなく幹部的な扱いを受け、さすがにプライベートでも間近で接していただけに生身の金正日の言動をしっかりと書いておられます。
施設の写真なども公開されており、ここまで書いていいのかなどと心配になるくらい。
それほど北朝鮮の内情を知り尽くしておられるだけに、金正日のあとを継ぐのは長男ではなく三男の金正恩だと言い続けてこられまして、まさしくその通りになりましたね。
しかし日本人である著者を金正日はなぜここまでかわいがったのでしょう。
それはこの本を読んでもよくわかりません。
料理人としての立場から書かれた金正日の食の好みが興味深い。
かなり鋭敏な味覚の持ち主だったと著者は語ります。
著者が日本から仕入れてきた魚の干物やよもぎ大福などはお気に入りだったとのこと。
よもぎ大福など「なぜうちの料理人はこの味が出せないのか」と嘆いていたとのエピソードなんか面白い。
そして以外(?)なことに、激辛料理などを食べているのは見たことなかったとのことです。
著者は現在日本に在住しておられ、テレビでも北朝鮮の話題となるとちょくちょく姿を見せておられます。
バンダナとサングラスという変装(?)がトレードマークのようになっていますが、それならテレビに出なければいいのにと思ったりするのですが。(笑)
まあ著者の言動や所在など完璧に北朝鮮に把握されているでしょうから、それもひとつのパフォーマンスなのかもしれません。
今年の7月には北朝鮮を訪問しておられますし。
ある意味裏切り者である著者を招待した金正恩の意図も不気味ではありますが、それに乗った著者もまたよくわからん。(笑)
それはともかくとしまして、北朝鮮の内部を知るにはいい本です。
金正日も意外といい人ですし。(笑)