2編収録。
表題作は同性にしか興味を持てない女子高生が主人公です。
見た目は決してよくありません。
そんな主人公がひとつ年上のバンドの女性ボーカルである美心(ミシン)に憧れ、彼女に近づきたいとひたすら願います。
ミシンがいつも着ている「MILK」というブランドの服も身に着けます。
そしてミシンの恋人が死ねばいいとさえ思い、その思いが通じたのか実際に恋人は死んでしまうのです。
恋人はバンドのギターでした。
その穴を埋めようと一般からメンバーを募集することになり、ギターも弾けないのに主人公はオーディションを受けます。
なぜかミシンに気に入られバンドのメンバーになることができ、夢がどんどん叶っていくのですが・・・・。
いつもながら端整な文章で耽美な雰囲気を描いています。
そして洋服のブランド。
この作者の小説は登場人物のファッションがとても重要なアイテムとなっています。
私は表題作よりも、もうひとつの「世界の終わりという名の雑貨店」のほうがよかったですね。
解説によりますといろいろ事情があって「ミシン」が表題作になったとのことですが。
オンボロのビルで雑貨店を営む青年と少女が逃避行する物語です。
その結末はとても切ない。
ここでもやはり「Vivienne Westwood」という洋服のブランドが出てきます。
作者の嶽本野ばら氏は乙女のカリスマといわれています。
なので少女向けの小説だろうというイメージを持つ人もおられるでしょうが、ライトノベルなどとは違いとても文学的です。
三島賞にも2度候補になっていますしね。
でも世界観が独特なので大きく好みの分かれる作家でしょうね。
私は大好きですが。
ラベル:小説