2012年12月11日

「淫らな罰」岩井志麻子

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短編集です。

表題作は女性作家が主人公。

テレビのコメンテーターをしたり、作者を思わせる設定です。

そんな主人公月島美百合はネットでの誹謗中傷に悩まされています。

文体からしてどうやら同業者のようなのですが。

見た目がキモく落ち目の作家晴海鷹夫。

ネットだけにとどまらず、ついに晴海は美百合を拉致監禁します・・・・。

う~ん、ネットでのストーカー的な誹謗中傷。

それがやがて現実にまで及んでという設定はいまや平凡でしょう。

そこに南国のイメージを絡ませているのですが、これがよくわからないし意味があるのかなと。

5編収録されていますが、いちばんよかったのは「隣の花は黒い」ですかね。

他人の悪口を言ってみんなに受けるのが生きがいのような主人公。

しかしそれがじわじわと自分の首を絞めることになっていくのです。

これもラストがねぇ・・・・。

そんな設定にしなくてもいいのに。

なんだかどれも余計な味付けをして失敗している気がします。

ラベル:小説
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2012年12月09日

「ありのすさび」佐藤正午

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エッセイ集です。

さて「ありのすさび」とはなんなのか。

作者によると、「あるにまかせて特に気にせずにいること。生きているのに慣れて、なおざりにすること(広辞苑)」だそうです。

当時の自分の境遇にふさわしいとタイトルにされたようですね。

内容なんですけども、やはりいかにも佐藤正午です。

エッセイなんですけども小説の雰囲気がそのまんま。

やはり氏の小説の主人公はすべてご本人なんでしょう。(笑)

なんて思わせるくらい、イメージが小説の主人公と一致しているのですね。

なので短編集を読んだ気分にもなれます。

しかし佐藤正午という作家、実力がありながらこれほど文学賞に縁のない作家も珍しい。

なんでなんですか?

これほどの作家が芥川賞や直木賞にかすってもいない。

他の文学賞にしても然りです。

これちょっとおかしいでしょ。

今やベテランの域に差し掛かっておられる作家です。

文壇はなんらかの賞で実績を評価してほしいものです。

ラベル:エッセイ
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2012年12月07日

「となり町戦争」三崎亜紀

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となり町との戦争が始まる。

主人公は町の広報誌でそれを知りました。

そして主人公のもとに封書が届きます。

「戦時特別偵察業務従事者」の任命について。

まあいえばスパイとして隣町に潜り込めというようなことですね。

わけがわからないままに主人公は戦争に巻きこまれていくのですが・・・・。

自分の住んでいる町が戦争を始める。

突飛な設定です。

どのような展開になるのかと期待して読み進めるのですが、話は淡々と進みます。

戦闘に関しての描写は一切なし。

なので物足りないんですね。

もちろん作者は敢えてそのような描写を避けておられます。

それがこの作品のテーマでもありますから。

「自分の知らないところで戦争はある。知らないうちに自分も戦争に関わっている」んだと。

でもね、これはないでしょ。

主人公も戦争を目の当たりにしないままに始まって終るのですが、読者もまったくそのまんま。

なんなのよそれって思いますね。

町の発展のために戦争をするという設定もあまりにもビジネスライクすぎて説得力ないです。

作者の主張はわかりますけども、ちょっと戦争というものを軽く扱い過ぎてるんじゃないでしょうか。

恋愛の要素も入っていますが、それもまるでお約束事のよう。

そんなのなくてもよろしい。

肩透かしな作品でした。

ラベル:小説
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2012年12月05日

「暴論 これでいいのだ!」坪内祐三vs福田和也

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二人の評論家が世間のあらゆることについて語り合う対談集。

上下二段組みで600ページ弱。

けっこうなボリュームです。

でも飲んで食べてしながらの二人の会話が面白く、するすると読めます。

しかしお二人ともすごい知識ですね。

政治、芸能、スポーツ、文学、グルメ・・・・。

あらゆる話題が飛び交っています。

まあそれくらいでないといろんな評論なんてできないのでしょうが。

続編もまた読んでみたいですね。

posted by たろちゃん at 04:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 『つ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月03日

「太陽と毒ぐも」角田光代

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11組のカップルを描いた短編集。

どのカップルも主人公から見て一癖あるパートナーです。

あまり風呂に入らない彼女、とにかく通信販売やらなんやらで使いもしない商品を買い漁る彼氏、万引き癖のある彼女・・・・などなど。

相手のことは好きなんだけど、どうしてもこれだけは許せないといった問題を抱えている主人公たち。

そんな些細であり、しかし重要な問題で二人の仲が気まずくなったりします。

それぞれの話の結末はハッピーでもなくアンハッピーでもなくといったところ。

なるようにしかならないといった雰囲気があります。

そのようなパートナーと今後どのように付き合っていくのか、別れるのか。

答は人それぞれですね。

どこにでもあるようなないような、おかしいけれど哀愁感のある物語です。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 04:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 『か』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする