2012年12月01日

「山猫の夏」船戸与一

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ブラジル東北部にある憎しみを意味する名の街エクルウ。

ここはビーステルフェルト家とアンドラーデ家が対立し、しょっちゅう殺し合いがあるような街です。

警察署長はそれを見て見ぬふりして金を懐に入れていますし、軍隊の分遺隊長は武器を横流しして金を手に入れています。

そんな無法地帯であるエクルウに山猫と呼ばれる一人の日本人がやってきます。

実は憎しみあっているビーステルフェルト家の娘とアンドラーデ家の息子がロミオとジュリエットよろしく駆け落ちしたというのです。

山猫はビーステルフェルト家に雇われ、娘を連れ戻すためにやって来たというのですが・・・・。

主人公は山猫こと弓削一徳なのですが、語り手は山猫に部下として雇われた酒場の日本人従業員です。

おれという一人称で物語は語られます。

おれから見て山猫はいったい何を目的にしているのかわからない。

それはもちろん読者の視線でもあります。

読者も共に山猫の意図に興味を持ちつつ読み進めていくことになります。

山猫がビーステルフェルト家に雇われたように、対立するアンドラーデ家もサーハン・バブーフという人物を雇っています。

この人物が山猫の昔からのライバルなんですね。

両家をバックに背負い、二人の対決が始まります・・・・。

分厚い700ページもなんのその、苦になりませんでしたね。

山猫に感情移入しますと最後はちょっとやるせない気がしましたが、めでたしめでたしで丸く収めるのではなく、そのような生き様にはそのような結末があるんだというのもひとつの教訓でしょうか。

読み応えありました。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 03:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 『ふ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする