2013年01月20日

「ミザリー」スティーヴン・キング

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酔っぱらい運転をしていて雪道で転倒事故を起こしてしまった人気作家ボール・シェルダン。

運よく通りがかりの女性に助けられたのはいいのですが、これがとんでもない人物でした。

彼女の名前はアニー・ウィルクス。

元看護婦ですが、ちょっと精神に異常をきたしています。

アニーは病院や警察に連絡することもせず、ポールを自宅に連れ帰ります。

ポールのナンバーワンの愛読者だというアニーはポールを監禁状態にし、自分ひとりのために小説を書くよう迫ります。

へたに逆らうと殺されかねないポール。

実際に彼女の機嫌を損ねて足首を斧で切り落とされたりするのです。

ポールは地獄のようなこの状況から抜け出すことはできるのか・・・・。

なんとも怖い話ですね。

訳者のあとがきに次のようなエピソードが紹介されています。

作者のS・キングが講演会のあと、ある男に執拗に一緒に写真を撮ってほしいとせがまれます。

S・キングは一緒にポラロイド写真を撮り、その写真に「マーク・チャップマンへ。S・キングより」とサインします。

そのマーク・チャップマンなる人物は、翌年あのジョン・レノンを射殺した犯人なのです。

一歩間違えば自分があのようなことに・・・・。

ファンというのはありがたい存在ですが、中にはこのような異常な人物もいるわけですよね。

そんな有名人にとっての身の周りの恐ろしさみたいなところからこの作品は生まれたようです。

異常者に監禁されるという恐ろしさはじゅうぶんに伝わりましたが、私にとってはやはり文章が馴染めませんでした。

いかにも翻訳物といった言い回しで。

なんで海外の小説ってこうなのかなぁ。

これが日本人作家の手で書かれていれば、思いっきりのめり込めたのに。

ラベル:海外小説
posted by たろちゃん at 03:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 『す』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月18日

「新解さんの謎」赤瀬川原平

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三省堂の「新明解国語辞典」。

これがなんともぶっ飛んだ面白さとのこと。

著者はS君という女性の友人からそれを教えられ、二人してその言葉の森奥深く入り込んでいきます。

例えば『ぴたり』という言葉を引いてみると使い方の例として・・・・。

『若い刑事が川上の横腹に--とついてきた』。

川上って誰やねん。(笑)

なんで刑事に?

例文がドラマ仕立てなんですね。

『すなわち』なんて言葉も面白い。

『玄関わきで草をむしっていたのが--西郷隆盛であった』

すなわち西郷隆盛っていわれても・・・・。(笑)

なんで草むしりを?

新解さん、あなた面白すぎます。

ラベル:エッセイ
posted by たろちゃん at 04:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 『あ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月16日

「鍋の中」村田喜代子

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いとこ4人が田舎の祖母の家で夏休みを過ごします。

主人公は17歳のたみちゃん、弟の信次郎、同い年のみな子、その兄の縦男。

やや記憶がぼけている祖母の話は、いかにも昔の田舎にありそうな忌憚的な話だったりします。

そんな中に主人公は親との血のつながりの真実を垣間見たり。

祖母が持ち出してきた古く大きな鉄鍋。

そこには80年の人生を歩んできた祖母のいろんなことが詰まっているのでしょう。

私は表題作よりも他の3編のほうがよかったです。

幼い女の子を亡くし、同じような境遇の遺族の会に参加して活動する母親の話、「水中の声」。

友人とツーリングに出かけ、前を走っていたはずの友人が待ち合わせの場所にいない「熱愛」。

懲罰をきっかけにひたすら学校中の便器を磨きあげる高校生の話、「盟友」。

どれもわかりやすい話ではありません。

なんだか淡々と冷んやりした印象は共通しているように思えました。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 04:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 『む』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月14日

「脳男」首藤瓜於

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連続爆破事件の犯人の倉庫に乗り込んだ警部の茶屋。

主犯は取り逃がしたものの、共犯と思われる男を逮捕します。

男の名は鈴木一郎。

弁護側から精神鑑定の要求があり、鈴木は巨大病院の保護病棟に監視員付きで入院することになります。

担当するのはアメリカ帰りの精神科医、鷲谷真梨子。

まったく感情を表さず過去の経歴も不明な鈴木は果たして共犯者なのか。

やがてその病院に爆弾が仕掛けられ、次々と爆発していきます。

犯人はどうやって爆弾を仕掛け操作しているのか。

そして鈴木と犯人の関係は、その正体は・・・・。

かなり雑な小説ですねぇ。

読んでいて初っ端から納得できない部分が多すぎます。

なんだか上辺のアイデアで細部の辻褄も合せず、勢いで書いたのではないかと思ってしまいます。

書くにあたって緻密な検討をしなかったのでしょうか。

例えば真梨子の住居を紹介する文章。

帰宅した真梨子が大型冷蔵庫を開けます。

『ステーキ用の肉、フレッシュパスタ、チーズ、ヨーグルト、バター、牛乳、カリフォルニア産高級ワイン、野菜室の抽斗には新鮮な野菜があふれんばかりに収まり』云々。

真梨子の生活レベルを表現しているのでしょうが、一人暮らしで『新鮮な野菜があふれんばかりに収まり』はないでしょう。(笑)

また、警官隊が周りに配備されている倉庫から主犯が逃げ切れますか。

しかも耳をちぎられるという重傷を抱えて。

何ヶ月も。

ちなみに耳をちぎられるという犯人にとってかなり大きなリスクであり特徴についてはこの後いちども触れられていません。

いやはやです。

キャラクターとその関わりも典型的に使い古されたような設定。

刑事の茶屋と医師の真梨子。

こんな関わりはあり得ないでしょ。

しかも茶屋の存在感がラストでは消えてますし。

ベタに恋愛関係にならなかっただけましですか。

細部に見るべきものはあるものの、とにかく安易な設定と思い付きのアイデアだけで突っ走っておられるとしか思えません。

ただ鈴木一郎のキャラはよかった。

これこそがこの作品のメインなわけですが。

どうしても名前から野球選手のイチローをイメージしてしまいました。(笑)

いろいろと作者の主張は込められていますが、誰が主人公なのかも曖昧でどうもピントがぼけて読後感が薄かったです。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 04:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 『し』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月12日

「文学賞メッタ斬り! 受賞作はありません編」大森望 豊崎由美

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メッタ斬りシリーズ第3弾。

今回の巻頭対談のゲストは中原昌也氏です。

文壇に媚を売らない作家ですので、面白い裏話的発言連発です。

そして次の章では公募新人賞の傾向と対策を。

続いて文学賞の選考委員の選評もぶった斬っておられます。

今回はツモ爺こと津本陽氏が直木賞の選考委員を辞めたということで、わざわざ1章を割いています。

最近の文学賞事情、芥川賞・直木賞の予想と続きまして、最後は「文学賞メッタ斬り!」大賞の決定。

さて、栄えある(?)「文学賞メッタ斬り!」大賞はどの作品に!?(笑)

ラベル:書評・作家
posted by たろちゃん at 02:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 『お』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする