2013年01月06日

「誰よりも美しい妻」井上荒野

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33歳の園子の夫惣介は、15歳年上の有名なバイオリニストです。

二人のあいだには12歳になる息子がいます。

園子は誰よりも美しい妻であるのですが、惣介は浮気をやめることができません。

つねに愛人がいるのです。

しかし園子は惣介が新しい愛人を作るたびにそのことに気付いています。

気付いていながらなにも言わない。

教え子に手を出し、その教え子を家に連れてくるという無神経さというか無邪気さというか、そのようなことにも知らないふりをしています。

息子、惣介の親友、惣介の前妻などが関わりつつ物語は進みます・・・・。

いつも書いているように思うのですが、私が井上荒野の作品を読んでまず感じるのは『不穏』ですね。

これはこの作品の解説者も書いておられますけども。

本来なら修羅場になりそうな設定なんですが、話は淡々と静かに進んでいきます。

それがなんとも『不穏』なんです。

やたらいろんな女に手を出している惣介ですが、これが憎めないキャラです。

そのせいか、そんな惣介を憎むことなく愛おしくさえ思っている園子。

これがまたちょっと怖い気もするのですが。

綱渡り的な愛情ですかね。

私が今まで読んだ井上荒野作品の中ではいちばんよかったように思えました。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 04:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 『い』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする