2013年02月07日

「剣客商売 待ち伏せ」池波正太郎

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表題作の「待ち伏せ」は、大治郎が闇夜に何者かから切り付けられます。

「親の仇・・・・」と。

もちろんやすやすとやられる大治郎ではありません。

「何者だ」と誰何する大治郎の声に相手は人違いだと気付きます。

逃げ去っていった相手を後日調べてみたところ、父・小兵衛と共々世話になっているある人物に行き当たるのですが・・・・。

シリーズ第9弾。

相変わらずいいですね。

最初のころに比べると大治郎が剣客としてずいぶんと成長しています。

父の小兵衛に似てきてるんですね。

三冬が大治郎と結婚してからあまり出番がないのが残念ですが。

まだまだシリーズは続きますので楽しみに読んでいきたいと思います。

ラベル:時代小説
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2013年02月05日

「AV女優」永沢光雄

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91年から96年にかけて活躍していたAV女優のインタビュー集です。

以前に読んだ松田哲夫氏の「「王様のブランチ」のブックガイド200」という本で紹介されていましたもので。

松田氏はこの本を「王様のブランチ」という朝の番組の本コーナーで取り上げようとするのですが、プロデューサーや司会者から朝の番組にふさわしくないと却下されたとのこと。

しかし松田氏は番組で取り上げなくてもいいから、なぜ自分がこの本を紹介したいと思ったのか一度読んでみてほしいと言います。

エロな興味本位の内容ではなく、ぜひ若い女性にこそ読んでほしいと。

読んでみたプロデューサーや司会者からぜひ取り上げましょうという返事。

そのようないきさつが書かれていました。

で、どれどれと読んでみたのですが。

たしかに出演ビデオからではわからないAV女優の素顔が書かれています。

この本で紹介されているたいがいの女優さんは重い過去を背負っています。

家庭環境だったり男性関係だったり。

そのようなプロフィールを赤裸々に綴ったルポとしてはいいと思います。

しかしそれ以上でもそれ以下でもないですね。

「どうだ、彼女たちってすごい人生を歩んでるだろ」なんて筆者の永沢光雄氏は主張していませんし、彼女たちも「どうよ」なんて思ってインタビューに答えてはいません。

このインタビュー集から何を受取るかは人それぞれですが、私は淡々と読みました。

むしろそう読むべき本だろうと。

感銘を受ける人もいるでしょう。

しかし私は「で?」と。

ほんの数年だけを駆け抜けた、いろんなAV女優の素顔を垣間見れる貴重な記録集ではあります。

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2013年02月03日

「あんただけ死なない」森奈津子

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憎む相手の死を願うとなぜか本当に死んでしまうという能力を持つ緋紗子。

ちなみに彼女はバイセクシャルです。

中学3年のとき、自分を犯した一つ上の先輩。

彼は交通事故で亡くなりました。

大学時代に振られた相手は急性アル中で。

同じく大学時代、弄ばれた人妻は脳溢血で。

二十五歳のとき付き合っていた年上の商社マンは酔って凍死。

そしていちばん最近につきあっていた誠一もやはり公園で首を吊りました。

しかし一人だけ死なない人物がいます。

現在の恋人である小雪です。

彼女は緋紗子に継男という男と結婚するといいます。

当然緋紗子はその継男を激しく憎み、やはりビルの窓から落ちて死んでしまいます。

そんな事件があって、ある日フリーライターを名乗る鉄郎という人物が緋紗子の前に現れるのですが、彼は緋紗子の能力を知り自分も同類だというのです・・・・。

なぜ緋紗子にそのような能力があるのか、そして鉄郎の言う同類というのはどういう意味なのか。

このあたりが読ませどころですね。

なるほど、その能力の源をそちらのほうに持っていきましたか。

ネタバレになるのでそれは書きませんけども、SFではなくいかにもホラーっぽいですね。

そして森奈津子ですから適度にエロやレズもあって。

タイトルにもなっている「あんただけ死なない」も最後になるほどと辻褄を合せています。

でも小雪のキャラ設定がちょっと中途半端な気がしますけども。

小粒ではありますがそこそこ楽しめました。

ラベル:小説
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2013年02月01日

「鉄塔 武蔵野線」銀林みのる

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小学5年生の見晴。

夏休みに発見したのが近所の鉄塔の『武蔵野線75-1』という番号札。

ということは、これを『1』まで遡って行けばなにがあるんだろう。

原子力発電所にたどりつけるのかも。

見晴は弟分のアキラを誘い、探検に出かけます。

はたして鉄塔の番号札『1』にたどり着けるのか、そこには原子力発電所があるのか。

少年の冒険が始まります・・・・。

いやあ、よくもまあこんな題材を小説にしましたね。

ノンフィクションノベルとでもいえばいいのか。

とにかくひたすら鉄塔を番号順に遡り、その鉄塔がどうであるかということを克明に記録しています。

鉄塔の形状に関して男性型だの女性型だの、腕金だの碍子連だの。

マニアにはともかく、一般人にはいやもうさっぱりです。

しかしそこは抜かりなく写真が添付されています。

ちなみにこれ、日本ファンタジー大賞の応募作ですよ。

たまたま下読みされたのが書評家の大森望氏。

氏によりますと、「今まで目にした数千本の応募作の中でインパクトはいちばん」だったとのこと。

原稿には生写真がたっぷり貼ってあったそうです。(笑)

たしかに写真がないと碍子連がどうのなんてさっぱりわかりません。

大森氏の手にいかなければ、もしかしたら世に出なかった作品かも。

とにかくひたすら武蔵野線の鉄塔を遡り、それぞれひとつずつにコメントがなされています。

これ、作者の取材(経験)も半端ではないと思います。

正直言いまして一般人にはちょっと退屈な小説ではありましょう。

でも少年の心理描写がリアルで見事なんですね。

実に巧い。

少年の好奇心、意地やプライド、言動、それらが瑞々しく心憎いほどに描写されています。

ちょっと退屈と書きましたが、第9章に入りまして状況は変わります。

冬の雪が春の陽射しで溶けていくような心地よさがあるのです。

この第9章を読むために辛抱して読者は主人公と一緒に長い長い旅をしてきたのかと。(笑)

これはたしかにファンタジーかも。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 01:48| Comment(1) | TrackBack(0) | 『き』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする