スローフードという言葉。
しばらく前からよく聞くようになりましたね。
ファストフードの対極として生まれました。
もちろん言葉通り手をかけてゆっくり料理しよう、楽しみながらゆっくりと食事しようという意味です。
じゃあ農薬まみれの野菜や不健康に育った肉を使った料理でも、時間をかけて調理しゆっくりと食事すればスローフードなのか。
そんなのはスローフードではないのですね。
ファストフードの対極として、当然ながら素材へのこだわりがあります。
といっても本来なら当たり前であるはずのことなのですが、本物の素材というところに行き着くのですね。
実際それにこだわって仕事をしておられる小規模な生産者というのがいらっしゃるのです。
著者はそんな生産者たちを丁寧に取材されます。
すると食の向こうに昔ながらの自然の姿というのが見えてくるのです。
タニシやドジョウやカエルがいる田んぼ。
昔は当たり前だった光景がいまや失われているのです。
山を伐採することによりそれが海にも影響し、当然海の生物に影響する。
私たちの口に入る海の幸に影響するわけです。
遺伝子組み換えなんて言葉もよく聞きますよね。
食べ物というのは人間が生きていく上でのいちばんの根本ですから、それを自らの手でぶち壊してどうしようというのでしょう。
かといって著者はファストフードを全否定しておられるわけではありません。
それはそれという見識も持っておられます。
ですがファストフードによる弊害はあまりにも大きい。
もっともっと普段の食については真剣に考えねばならないのだなと。
そんなことを深々と考えさせられる素晴らしい一冊です。
ラベル:グルメ本