なかなか触れられることがなく、タブー視さえされている感のある障害者の「性」。
著者はそんな世界に大胆に踏みこんでいきます。
各章ごとにそれぞれの障害者を取材しておられます。
第一章で紹介されている男性など酸素ボンベがなければ生きていけない身なのですが、楽しみにしている年に1回のソープランド通いではそのボンベをはずすというのです。
まさに命がけのセックスであり、健常者には計り知れない「性」に対しての渇望があるのですね。
なにしろ手もまともに動かすことができず、自慰さえできない人もいるのです。
風俗店にしてもすべての店が障害者を受け入れてくれるわけではありませんし。
この第一章の男性の恋愛話には涙が出ました。
障害者であるがゆえに成就しなかった恋。
二十年以上経った今でもその女性を想い続け、亡くなったその女性のお墓に手を合せにいきます。
もちろん男性だけではなく女性にも性欲はあります。
第四章では出張ホストを利用している女性が紹介されています。
恋する王子様だと。
そして障害者からの視点だけではなく、障害者に「性」を提供する側の人たちにも取材しておられます。
これこそが主題であるのですが。
自慰を介助する職員であったり、障害者専用風俗店のオーナーであったり、セックスの相手をするボランティアであったり。
オランダはセックスポランティアに関しては先進国だということで、現地にまで行って取材しておられる行動力がすごい。
このような取材を続ける中で、やはり「あなたは実際にセックスボランティアを経験したのか」という類の批判もあったようです。
本が出版されてからはなおさら。
しかし著者はあくまでライターという立場であり、自分が実際にそんな経験をすることにどんな意味があるのか、と答えられたそうです。
確かに自身が体を張っての経験によるルポというのもありです。
そういう人もおられます。
障害者がおられ、その人たちの「性」をボランティアする人たちがおられる。
それを客観的に外側から取材し、文章でルポタージュする。
ライターとして真っ当な行為でありましょう。
いい本でした。
しかし第一章には感動したなぁ・・・・。(涙)