2013年04月06日

「ベルカ、吠えないのか?」古川日出男

Cimg2140

1943年、日本軍が引き上げた後のキスカ島に残された4頭の軍用犬、北、正勇、勝、エクスプロージョン。

その4頭を始祖とした犬たちの物語です。

物語といいましても説明の仕様がないですね。

血統を縦軸に、世界各地に拡がっていったそれぞれの犬の生き様を横軸に、壮大に風呂敷を拡げておられます。

タイトルになっているベルカというのはもちろん犬の名前ですが、ではその犬を主人公に据えているのかというとまったくそんなことはない。

登場するのはほんのわずかで名前貸しのようなもの。(笑)

主人公といえる人物、いや、犬物が誰というわけでもない。

4頭を始祖としてあちこちに散らばり繁殖した犬たちそれぞれにスポットを当てつつ、当時の世界情勢を描写しています。

世界情勢といいましても、あくまでも犬たちにとってどうであったかという視線なんですね。

それが犬に語りかけるような文章でずっと綴られています。

読みましてこういう形式の小説もありなんだなぁと勉強になりました。

私には絶対に書けないと思いましたね。

といっても普通の小説も書けませんけどね。(笑)

んでプロの読み手の方々はどう読んだのだろうと気になり、手元にある資料をいろいろと調べてみましたら。

やはり皆さん高く評価しておられます。

中でも高橋源一郎氏斎藤美奈子氏との書評対談で発言しておられたのを読みまして、やはりプロにしてもそうなのかと思いました。

『※※※※※※はアイデアがあれば書ける。でもこれはアイデアがいくらあっても書けんがなっていう感じだな』

ちなみに※※※※※※は映画にもなった某小説です。

この作者はそれほど特異な才能を持っておられる作家さんだということなんでしょうね。

ラベル:小説
posted by たろちゃん at 04:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 『ふ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする