2013年05月10日

「タイユバンの優雅な食卓」アンドリュー・トッドハンター

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「タイユヴァン」。

30年以上もパリで3ツ星を維持してきた高級レストランです。

現在は2ツ星になっているものの、パリを代表するレストランであることには変わりないでしょう。

この本はそんな「タイユヴァン」の厨房に見習いとして入り、それを卒業したあと客としてディナーに出向き、食事しながら見習い時代の厨房を語っていくという構成です。

当時のシェフはフィリップ・ルジャンドル。

ペストリーシェフはジル・バジョル。

オーナーはもちろんジャン・クロード・ヴリナ。

ヴリナ氏やルジャンドル氏よりも、バジョル氏のエピソードのほうが多く語られています。

著者はアメリカ人のフリー記者とのこと。

このような立場の人が実際に厨房で働いて内情を書くというのは珍しいんじゃないでしょうか。

料理人が修行時代を書いた本というのはよくありますけども。

ここで書かれている著者の訪問は99年ですが、私もこのレストランには97年に1度、98年に2度訪れています。

他のレストランも訪問しましたが、私はここが一番好きでした。

現在はシェフもアラン・ソリヴェレス氏に変わり、ヴリナ氏も亡くなり、星も2つになり・・・・と、この当時とは様変わりしていますが。

楽しく懐かしく読むことができました。

ラベル:グルメ本
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2013年05月08日

「闇の華たち」乙川優三郎

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短編集ですが表題作というのはありません。

タイトルは収録されている六編それぞれに対しての総称といえましょう。

最初に収められている「花映る」では主人公隼之助の友人である和久蔵が妻と歩いているところを、酔った岡部という男に冷やかされます。

穏便にやり過ごそうとしたところ岡部の連れが妻の尻を掴むのです。

それが原因で和久蔵と岡部が斬り合いとなり、和久蔵は命を落とします。

原因はあくまでも岡部。

しかしその岡部は三十日の逼塞で済まされるのです。

和久蔵の友人である隼之助は納得いかず岡部が在籍する道場に出向き、岡部をやり込めます。

町中にその評判が広まり、屈辱の岡部は隼之助に果し合いを申し込みます・・・・。

どの作品も決して明るくはありません。

そしてどれも華やかではありません。

不運に生きる武士や女たちを描いておられます。

それを滑らかな丁寧な筆で描いておられるのです。

粒揃いな短編集でした。

今後もぜひ追いかけたい時代小説作家であります。

ラベル:時代小説
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2013年05月06日

「イニシエーション・ラブ」乾くるみ

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大学4回生の鈴木は友人から人数合せの合コンに誘われます。

あまり乗り気ではなかったのですが、そこに気になる女の子がいました。

歯科衛生士をしているという2歳年下の成岡繭子ことマユです。

その後また同じメンバーで海に行くことになり、鈴木はマユから電話番号を教えられます。

それがきっかけとなり二人は付き合うようになります・・・・。

合コンで知り合った男女が付き合うようになり、やがて別れる。

そういったストーリーです。

童貞と処女が結ばれて・・・・というとてもピュアで甘い恋愛小説。

なのですが・・・・。

いやぁ、深い小説ですね、これは。

読み終えまして「ああ、そういうことなのね」と本を閉じようとしまして、「いや、待てよ」と。

思わず最初からもう一度目を通し直しました。

それどころか付箋を貼りまくってあれこれ検証することに。(笑)

これ、2重にも3重にもトラップが仕掛けられています。

裏表紙のあらすじに「必ず二回読みたくなる」と書かれていますが、読みたくなるというよりは読まざるを得ないのです。

なるほど『side-A』、『side-B』と2章に分けられているのも納得。

上手く構成されていますね。

上辺だけを読めばまさに作品内で解説されている通りイニシエーション=通過儀礼。

しかし・・・・といったところですね。

ミステリーやサスペンスの要素もある恋愛小説といえるのではないでしょうか。

やや引っかかるところはあるものの、お見事です。

ラベル:小説
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2013年05月04日

「終の住処」磯崎憲一郎

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三十歳を過ぎて結婚した夫婦。

新婚時代からすでに倦怠感が漂っています。

11年を過ぎて妻は口をきかなくなります。

夫婦でありながらお互いを理解できず、まるで他人のような距離で暮らす二人・・・・。

う~ん、何気にシュールですね。

そしてマジックリアリズム。

エンターテイメントを排除した作風はまさに純文学だと思います。

これ、芥川賞を意識して書かれたんでしょうか。

あまり一般受けする作品ではないと思われます。

結婚生活を振り返り過去を語るわけですが、これが成功しているのかなぁ。

私の読解力が不足しているのだと思いますが、もひとつ理解できませんでした。

こんなシュールな書き方をせず、もっとストレートに書けばいいものをと。

そんなことを言えば作者の作風を否定してしまいますか。(笑)

いや、私があまりよく理解できないので負け惜しみなんです。

私にとっては痒いところにもうひとつ手の届かないもどかしさがありました。

ラベル:小説
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2013年05月02日

「ヒロカネ食堂 ヒロカネ式食文化論」弘兼憲史

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著者は漫画家の弘兼憲史。

「課長 島耕作」なんかで有名な漫画家さんです。

氏が食に興味をお持ちだというのは以前からおっしゃっておられまして、グルメ漫画を描きたいというようなご発言もどこかで読んだ記憶があります。

「黄昏流星群」というシリーズの第4巻に収録されている「星のレストラン」という作品は素晴らしかったです。

そこらのグルメ漫画など吹いて飛んでしまうほどの内容です。

「島耕作の優雅な1日」という映画紹介と飲食店紹介を兼ねた本も出しておられます。

さて本書ですが、氏の食や料理についての思いが述べられているわけですが。

なんでこんなに上から目線なんでしょう。(笑)

氏のおっしゃることはよくわかるのですが、なんだか押し付けがましい。

控えめに書いているようで傲慢さを感じましたね。

書いておられる内容も自身のご経験はともかく、なんだかマニュアル的。

ビジネスに関する著書もありますが、そちらもこんな感じなんでしょうか。

私はそんなの興味ないので読みませんけども。

文章ではなくやはり漫画で楽しみたい作家さんだなと思いました。

ラベル:グルメ本
posted by たろちゃん at 04:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 『ひ』の著者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする